
11月25日から開催していた「インキュナブラの時代」西洋初期印刷本コレクションとその広がり(ダイジェスト)展に行ってきました。
グーテンベルグ聖書は12月18日水曜から21日土曜日の期間に4年ぶりに公開されました。
(私が高宮先生の英文学(アーサー王伝説とトーマス・マロリー周辺、ケルト文化等々包括的に)を履修した時に丁度、授業中に案内があったのを覚えています。
秋の丸善での貴重書展のダイジェスト版ということで図録も購入しました。(ただしダイジェスト版とはいえ丸善ではグーテンベルグ聖書は展示なし)
初日の18日はグーテンベルグの展示時間に間に合わなかったのですが、貴重書のポストカード集(義塾の図書館で以前はセットで買えた。)でも有名な、プルタルコスの「英雄伝」(対比列伝)ほか初期印刷本と彩色本に関心があるため、それでも十分見ごたえがありました。
マルシリオ・フィチーノ「新プラトン主義者著作集」(ヴェネツィア・アルド版 1497年9月 1978年1月2日)(De mysteriis Aegyptiorum, Chaldaeorum, Assyruorum (Marsilius Ficinus)
とマルティリアス・カペラ「メルクリウスとフィロロギカの結婚)(1499年12月16日)の展示を見た時にほぼ満足といいますか、やはり自分が好きな時代はこのあたりなのだ、ということを再認識した次第でした。
レオモンタヌス「方向・距離方表」(1490年代1月2日 アウグスブルグ)、ヨハネス・デ・サクロボスコ「天球」(1500年7月7日)、アリフォンソ10世「天文表」(ストラスブール 1490年)等。
丸善の貴重書展では、さらにアリストテレス著作集、エウクレイデス「幾何学原論」(1482年)なども展示されこちらは図録で確認することができる。
この展示の後、三田から納富先生のクセノフォン、イソクラテスの新ギリシア哲学史の講座へ行ったのだが、講座後に貴重書展の目録をお渡しする時に少し貴重書についてお聞きできた。
フィチーノの新プラトン主義著作集はおそらく、慶應義塾時代に入れた筈、丸善で展示されていた「アリストテレス著作集」は更にギリシア語での初期印刷本なので読者数を考えるとさらに貴重かつ初期印刷を試みた方々の熱意は凄いものがあるという話でした。
インキュナブラとは「ゆりかご時代」という意味である。(納富先生からお聞きした)
フィチーノの例にあげてみても、彼の「饗宴註解」は1463年に出版されている(最初ラテン語、のちに俗語トスカーナ語)になり、新プラトン主義者著作集の年代をみても1478年に手書き写本、1497年にアルド版が出ている。
この時代の特色は、手書き写本という中世からの伝統的な技術と、活版印刷という新しい媒体が比較的同じスピードで刊行されたので急速に知識層に広がったのだった。フィレンツェにおけるルネサンス(リナシタ)では、元々ローマからのラテン文学は読まれ書かれてもいたが、フィレンツェ公会議前後1442年を機会に市民層でギリシア語文献の読書や蔵書が増え、それを受容する層が形成されていたことが大きい。ニッコロ・ニッコリなどは財産をほぼ本にし、それを知人たちに貸して写本していた。こうした下地のもとに、ミケランジェロがラウレンツィアーナ図書館を作り最初の図書館となったのだ...。ギリシア語の活版印刷はそのために活字を作り組み合わせるために、仕事としての意味は時代を考えると貴重なものとわかるだろう。
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グーテンベルク聖書は今回、日替わりで展示されるページが変わっていたのもすごいことなのですが、2回目は学友の陽子さんと観に行きました。
イソクラテス、クセノフォンの講座の時に、同じ受講生でギリシア・ラテン語古典の学習者であるあるHさんにもお知らせしたところ翌日に観に行かれてました。
土曜日は展示室も盛況で、展示期間中に観にいけないEさん(プラトン、新プラトン主義学習の先輩)の分も図録も購入しました。
学部生が在籍中に見られる機会があれば、と3、4年に一度は展示機会を設けているというお話を図書館のかたからお聞きしました。
今回、一部撮影可能だったので写真も掲載します。




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