

アルフォンソ・キュアロン監督、ネットフリックス初の映画(よって劇場公開を前提としていなかった)が3月9日より公開され始めていたのでシネスイッチ銀座にて、また2回目をイオンシネマにて観てきました。
映画を配信という形で発表するとはいえ、劇場公開を考えていなかったとはまったく思えないほどのスクリーンむきの映画作品。クラシックなヴィスコンティのリマスター映画を2年くらい前からジャパンプレミア含めてみていたからか、役者の演技、時間、メタファーや暗示を感じる丁寧な造り、また音楽を重視した映画本来の魅力がある作品が少しずつ増えてきたかなと思います。私はこの流れは歓迎していて(CGにもCGアニメにもファンタジーCGや最終決戦や最強は誰だとか過去最大の危機...あるいは日本だとプロパガンダ映画・・・にも辟易していて見たい映画がなかった時が多かった)
映画ROMAを知ったのは、インスパイアとしてタランチュラという曲をBeckが提供しており、これは一部トレーラーにも使われている。(BeckのMVはしばしばMexicoよりであることも多い)だから英国アカデミー賞よりも前から、この作品については知っていた。
英国アカデミー、ゴールデングローブ、オスカー・アカデミーと外国語映画の監督賞をキュアロン監督は受賞した。
スピーチをぜひテキストでおこしてあるページ(WEB記事を読んでほしい)
いわゆるねたばれをせずに、この映画の個人的に良かった点、もう一度見たい・・点を書いておきたいと思う。
(逆にいえば、私自身も、この映画のクレオの身に重ね合わせてしまうような出来事が多いのだ・・・だから私の記憶も眠った心も揺さぶられる)
冒頭での父親が乗っている身の丈にあわない高級車とステレオから流れてくるクラシック、煙草(彼は医者あるいは医学系研究者である)これも後からみれば非常に暗示的だ。
しかし始めのシーンからしばらくして、クレオが雇用されているスペイン中流家庭の3男の子どもペペは洗濯中のクレオに「なにしているの?答えて」と言われると「できない、死んでるもん(兄弟たちと玩具のガンで遊んでおり、仲間はずれになりクレオのところへくる)」と答える。
真上には太陽。モノクロながらにしてこの太陽はすべてを照らし出す光であり不動のエネルギーであり、そこにクレオも反対側から横になる。「ねえ、死んでるの好き?」「うん」
・・・クレオとペペの会話、あるいは対話、あるいは夢の話を率直にやりとりする場は純粋ゆえにこの映画の一つのコアになっている。
そして、画面が引いて映し出されるのは、周囲の中産家庭の屋上のあちこちでは、クレオがしていたような雇用主のための洗濯をするMexico原住民出身の女性たちが数名映し出される。クレオだけではない。彼女らのものがたりでもあるのだ・・・
キュアロン監督は60年代生まれかつ70-71年の激動の一年(メキシコ)をパーソナルな記憶をもとに描いていると思われるのだが、そうなると、キュアロン監督自身は、母親の電話を聞いてしまい、兄弟で唯一先に父と母のことについて知ってしまう彼なのかもしれない。(わからないが)
いろいろあるのだが、もう一つだけ今回は書いておくことにする。
クレオがある緊急時に病院へやっとたどり着ける。
もちろん、雇用しているマダム(彼女はペペやソフィたちの母親の母なのだろうか)は渾身でクレオを護って病院にくる。だがカルテを記入する段階になり、クレオのミドルネーム、家族の所在、年齢生年月日・・・すべて知らない、のだ。子どもたちはクレオを家族同然に受け入れている。それでも、そうこの瞬間までは、雇用主と家政婦であり、他者としてみていたことが浮き彫りになる。・・・・
所有物のために親切にはできる。(これだけでも、はたして4月以降に移民をうけいれる日本ではこうしたわけへだてない人としての接し方ができるのかどうか・・・?)だが、本当の意味では、クレオは名前を呼ばれはするけれども、ある時までは雇用主から個人としてみられていない。
それがかわるのは・・・・
他にも多くの意味が込められている。
自然音の録音が素晴らしい。
周囲の音が本当に背後から聞こえてきたり、鳥のさえずり、街の喧騒、笛の音・・飛行機が飛び立つおと。
イオンシネマ系でも公開がされ、4月5日から公開館も増えたようです。
PG15.
ヨーロッパ外国映画を観慣れている人ならば高校生でも大丈夫だとは思いますが、あまり娯楽作品以外みてなければ大学生以降でもいいのかもしれません。
個人的な感慨を書いておくとすると、ラストの海岸。
私が海へいき長い時間あの波をみているときは、ほとんどあの感じです。
不思議と、エレア派の有はあるのだ・・・(それ以外のものはない・・・)と感じるあの海の感じ。
生死の境界。
2回みると、より丁寧につくられた脚本や映像がわかると思います。
リボへ・・・ キュアロン監督自身が子ども時代に接した乳母や家政婦たちへ捧ぐとエンドロールの飛行機がとびたつ空へ、うすい文字で描かれる。
イタリアから帰国中のTwitterのYさんと有楽町でランチをして、シネスイッチへ。


サンタマリア・ノヴェッラのお土産トートを頂戴しました!
(写真はGUCCI銀座店 私が靴のメンテナンスをお願いしにいったため)
![キネマ旬報 2019年 4/1号 [雑誌]](http://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/book/cabinet/0491/4910207210491.jpg?_ex=128x128)
キネマ旬報 2019年 4/1号 [雑誌]
劇場公開を前提としてないので劇場パンフがありません
キネマ旬報が特集しています

4月5日付のアクセス記事 実は3日から不調で、10日あたりから復調したみたいですが。
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