【東京大学教員の著作を著者自らが語る広場】

UTokyo BiblioPlazaは東京大学の教員の研究を知ろうとするみなさんの学びの導きとなる書棚であり多様な学知の拡がりにふれていただくための広場です。Books written by The University of Tokyo professors.
(公式Twitterの説明文から引用)

https://www.u-tokyo.ac.jp/biblioplaza/ja/C_00027.html

『哲学の誕生』 (ちくま文庫版) 

納富信留先生に新年のご挨拶をした折に、『哲学の誕生』ちくま文庫版について質問をし、この東京大学の教員が著作を紹介するWEBサイトに書いた旨をお知らせいただいたので掲載。

「哲学は前5世紀後半、ソクラテスとともに始まったとされてきた。だが、何も著作を残さなかったソクラテスが、なぜ最初の哲学者とされるのか。その事情とそこに込められた哲学的問題を、ソクラテスを主人公にした多彩な「ソクラテス文学」から読み解くのが本書である。この主題では日本で唯一の研究書であるが、一般向けの読み物としても楽しんでもらえる。
 
ギリシアにおける哲学の誕生を、ソクラテスとその弟子のプラトン、アリストテレスという3人の天才による奇跡的な達成と考える従来の哲学史観では、致命的に見落とされたものがある。それは、ソクラテスが何者だったかをめぐり、同時代の緊張のなかで多士済々の思想家たちが繰り広げた論争から真に哲学が形成されていく動的なプロセスである。

(略)

最終章ではソクラテスが明治以来の日本でどう受容されてきたかをたどり、日本で流布する「無知の知」という標語が歴史の歪みから発生した誤解であることを証明する。」
(同サイトより引用)


 
『哲学者の誕生ソクラテスをめぐる人々』(ちくま新書、2005年) はしばし絶版になっていたのだが、他にこうした議論やテキスト検討をし、日本での哲学の訳語や受容上の問題も詳細が纏められており、再版か文庫化の要望が多かった著作であると思う。
補論が加わっており、新書版後の世界での研究状況について、著者による「文庫版あとがき」が解説がある。
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ぜひリンク先ページを参照いただき、文庫版を読んでもらいたいと思う。
様々な専門分野にいる人や、これから大学でまなぶ人、学び直しをしたいと思う方にも。

このサイトを教えていただくまで知らなかったので、記事にする次第です。
1月の新ギリシア哲学史(エンペドクレス)の講座の後でも受講者の方と話題になったことも含めまして。



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ちくま新書版はこちら。
私はこちらをかなり読み込んでいたし、関心がある方に薦めたりしていたので文庫化をとても歓迎している。

http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480097941/
筑摩書房のページはこちら



(Twitterのほうでは、過去の克服 などの著作を世界史概説や2000年前後の国際関係で度々紹介されていたために読んでいた石田勇治氏の著作紹介がツイートされていました)




英語版のページもあります。

https://www.u-tokyo.ac.jp/biblioplaza/en/C_00027.html

”Philosophy is argued to have started in the late 5th century B.C., initiated by Socrates. Why is he considered to be the first philosopher when he did not leave any writing himself? This book approaches the background of this question and underlying philosophical problems through diverse Socratic literature with Socrates as the central figure. This is the only piece of academic literature on this subject in Japan, but it can also be enjoyed by lay readers.
 
The conventional notion of the history of philosophy holds that Greek philosophy was the product of miraculous accomplishment delivered by three geniuses, Socrates and his followers Plato and Aristotle. However, it overlooks something critical. It is a dynamic process through which philosophy was truly formed as a result of the contemporary controversy over the subject of who Socrates was.....”







UTokyo BiblioPlazaは、東京大学の教員の研究を知ろうとするみなさんの学びの導きとなる書棚であり、多様な学知の拡がりにふれていただくための広場です。学生のみなさんをはじめ、次世代をになう国内外のみなさんに、大学における知の卓越性や多様性を伝えることを目的に開設されました。
(同 固定ツイートの紹介文)