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記者発表会にも出席した大英自然史博物館展にようやく行ってきました。実は内覧会にもご招待頂いたのですが(駐日英国大使館より)予想外の体調不良で出席できず、本展をようやく観てきました。
写真は、バンクス(Joseph Banks)の展示パネルです。バンクス花譜集は、以前、Bunkamuraでも展示がありました。南米、ニュージーランド、タヒチなどをめぐり精緻な植物画が有名です。いわゆるボタニカルアートとはまた違い、南洋の未知だった植物が描かれています。

館内は、一部を除いてほぼ写真撮影が可能となっています。
ロンドンで公開されている始祖鳥、ドードー、モアなどの最新研究成果に基づいて作成された復元映像が館内で豊富に見られます。この動画とその画面は撮影禁止です。(記者発表の際にもそれはお話しを聞きました)
※撮影については会場で確認下さい。


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水彩画とそのバリエーション。



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カール・リンネの二名法。種と類、カテゴリー...それらは理性と知識によって再分類されていきます。生物に名前をつける際の普遍的な方法として科学の世界で用いられている。
展示されている標本を観ていると、「似ているものと似ていないものとは」(古くは「パルメニデス」そしてアリストテレス)理論と実際の分析を経て研究されたことがよくわかる構成になっているので、科学史を概観できる。

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ハンス・スローン卿のほかにいくつか肖像画も展示されている。興味深いのはこちら。貝を手にした肖像画。
通常の肖像画では、持物(自らの財や家柄等を示すアクセサリーや衣服等)のリアルさを求めて描かれるが、このゲスターバス・ブランダーの肖像画には化石貝殻と書物が描かれている。
画家はナサニエル・ダンス。(1770年頃)
肖像画としてもとても見ごたえがある。

Portrait of Gustavus Brander ( by the artist Nathaniel Dance)



肖像画で手にしている貝の化石がすぐ下に展示されているのが大変興味深い。


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ハンス・スローン卿の言葉。館内には、ダーウィン、ウォレスなど多くの科学者・研究者のことばも掲げられている。



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写真では伝わらないかもしれないが、最初の部屋にあるタマカイの標本の大きさには驚く。
実際に見てみると驚くというのが、博物館や美術館での重要な経験だと思う。これは後半のタカアシガニ(日本)やサーベルタイガー(1万2000年前)、オオナマケモノ(約1万2000年前)の巨大さも同様である。なぜならば、日常感覚だけが常に正しいとは限らないからで、例えばヤスパースは発見、思考には「驚き」の要素が不可欠だと言っている。驚きから、好奇心、関心へ、その思いから今度は知識を調べて真実を追求する。発見は過去の業績を参照しつつ、自分の発見を知識やデータ、分析結果から導き出す。こうした一人ひとりの探究の道が見えるのも本展の魅力だと思う。

   
IMG_1408記者発表でも取り上げられたニホンアシカの隣にこのタカアシガニ(Giant Japanese spider crab)の標本があります。

   


貴重書の魅力についてもはじめに記載しておきたい。
プリニウス「博物誌」の最古の印刷版(大型本)、ダーウィン「進化論」直筆原稿などの他に多くの貴重書が展示されている。後半は歴代館長たちの研究成果である本、蔵書などが並ぶ。この部分だけでも関心がある方にとっては時間をかけたいところだと思うので、私としてももう一度脚を運びたくなった。博物館展の見どころは多く、テーマごとの展示とその解説も丁寧なので関心が高いもの、初めて目にするものには時間をかけるのが正解だと思う。

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GWを前に、本日4月28日は貴重書に関してのギャラリートークがあるそうなので、先にこの記事を掲載しておこう。開館時間も21時まで延長されているとのことです。

詳しくは公式の情報を参照して下さい。https://twitter.com/treasures2017

--"本展第2会場に展示中の貴重な書籍の秘密を、国立科学博物館研究員によるギャラリートークで解き明かします。18時〜、19時〜の2回。


--"【GW中は夜間がおすすめ!ドードーナイトキャンペーン開催!】4月28日(金)〜30日(日)および5月3日(水・祝)〜7日(日)の18時以降に入場した方全員に、オリジナルドードーステッカー(非売品)をプレゼント!!※写真はイメージ。キャンペーン内容は変更の可能性があります。
<blockquote class="twitter-tweet" data-lang="ja"><p lang="ja" dir="ltr">【GW中は夜間がおすすめ!ドードーナイトキャンペーン開催!】<br>4月28日(金)〜30日(日)および5月3日(水・祝)〜7日(日)の18時以降に入場した方全員に、オリジナルドードーステッカー(非売品)をプレゼント!!<br>※写真はイメージ。キャンペーン内容は変更の可能性があります。 <a href="https://t.co/tSLyN0VgDW">pic.twitter.com/tSLyN0VgDW</a></p>&mdash; 大英自然史博物館展 (@treasures2017) <a href="https://twitter.com/treasures2017/status/855632254374223872">2017年4月22日</a></blockquote> <script async src="//platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script>


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公式WEBページには講演も映像公開されている。http://treasures2017.jp/

https://www.facebook.com/treasures2017/

セクションごとに関心をもった展示については別記予定です。ヴェスビオ火山の石は原石と研磨されたものの両方が展示されている。自然と人の手を加えた物質の変化、差異がよくわかる展示だと思う。
原石がもつ魅力は自然(Nature)の力を、それを研磨する方には審美、方法、技術などが見て取れる。
この二つは科学にとって重要な結びつきを持っている。

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https://www.gov.uk/government/world/organisations/uk-science-and-innovation-network

http://www.visitbritain.com/ja/JP/

http://www.innovationisgreat-jp.com/blog/
Innovation of Great キャンペーンblog
キャンペーン特設サイト内《英国大使館

http://www.greatbritaincampaign.com/
GREAT

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8000万点にのぼる博物学標本のコレクションを所蔵し、観光地としても人気を呼ぶ大英自然史博物館(ロンドン)の初の世界巡回展。恐竜なのか鳥類なのかが議論を呼んだ「始祖鳥」、ダーウィンの『種の起源』直筆原稿など貴重な約370点のほか、オリジナルのCG映像も公開します。⇒https://info.yomiuri.co.jp/event/exhibition/2289.html