10月19日午後に行われた記者発表の続きです。前回までの見どころ紹介を踏まえて、展示の構成、大英自然史博物館展開催までの経緯など、日本側の総合監修をされる篠田謙一氏(国立科学博物館副館長 兼 人類研究部長)のお話とPPを使った詳細な説明、渡英し大英自然史博との話し合いや収蔵品のレポートも含む貴重な内容からいくつか記事にしていきます。

今回はチャールズ・ダーウィンの進化論1859年『種の起源』("On the Origin of Species")の直筆原稿も展示されます。これは自然科学、生物学、サイエンスに関心がある方にも、貴重書文献に関心がある方や歴史に関心があるかたも大変に気になる展示物ではないでしょうか。

まず、大英自然史博物館(British museum natural history)の成立ちと名称表記についての説明から。こちらは最初の記事にも書きましたが当日頂いたプレスガイドから少々引用してみます。
「大英自然史博物館とは--- 世界でもっとも優れた博物学標本のコレクションを所蔵していると同時に、毎年約500万人が訪れる、イギリスで最も人気のある観光スポットの一つです。ロンドンのサウスケンジントンにあるこの博物館は、1881年、復活祭の翌日の月曜日に開館しました。それに先立つ1856年、皮革解剖学者リチャード・オーウェンはハイテリアン博物館の学芸員としての仕事を辞め、大英博物館の学芸員としての管理を引き受けました。彼は増え続ける博物学標本のコレクションを置くためのスペースがないことに不満をもち、これらの自然界の至宝を収蔵するためには、別の建物が必要であると大英博物館の評議員会を説得したのです。(略)1992年には名称を大英自然史博物館に公的に改名されました。
博物館は17-18世紀のかたちづくられたハンス・スローン卿のコレクションを源流としており、現在、世界中から集められた動植物や化石、岩石および鉱物は8000万点に膨らんでいます。その裏で300人以上の科学者や学生がコレクションを用いて病気や気候変動、地球の生物多様性への脅威といったテーマで研究に勤しんでいます」(プレスガイド p.2-3)
大英博物館の評議員を説得して建築物をまず建てたこと、また研究機関かつ公的(本来のパブリック)な知的共有の場となっている点が興味深いです。
こうした経緯も篠田氏が説明してくれました。

展示の構成
序章
大英自然史博物館のベストセレクション 自然界の至宝
1 至宝の宝庫 自然史博物館ができるまで
2 至宝の精神
カール・リンネと自然界を分類する任務
比較解剖学の父 リチャード・オーウェン
地球の歴史を解き明かす
チャールズ・ダーウィンの進化論
3 探検がもたらした至宝
太平洋を越えて
深海調査
南極探検 氷点下の科学
取り寄せられたコレクション・ウォルター・ロスチャイルドとトリング館
日本探検で集められた至宝
4 身の周りにある至宝
無限に多様な至宝
刻々と変化する至宝
5 至宝の過去、現在、そして未来
地球という宝庫
科学の進歩 そして未来

篠田先生は人類学が専門とのことでピルトダウン人の標本についてもお話しが聞けました。
記者発表会後に、質疑応答があり、日経サイエンスの記者の方が、ピルトダウン人はその偽の資料からどちらかといえば明らかにしない方向をとるようにも思うが、今回紹介される理由は?という質問が。
これに篠田先生が答えた内容が大変興味深いものでした。
「偽とわかってからもイギリスはこの標本を100年間保存し、再度詳細な調査をし、今日の技術によってどの点が偽だったのかということを解明しはじめ、現在それが終わりに近づいている。」
この話はとても興味深いものです。我々も古いものはそれだけで、価値を認めてしまいがち、つまり憶測だけで断定してしたり納得してしまうことも多いものです。文献学の中では、度々偽書というのはいろいろな役割をもちながらも残っていったり、なぜ真ではなく偽が残っていったのか、という過程や仕組みをしることは、今後の科学的立場(文・理とわず)必要とされるプロセスだと私は思いました。
こうした話を直接聞くことで、実際に展示や図録をみるのが楽しみになりました。

国立科学博物館側のキュレーター、監修者の方々と大英自然史博物館側の方との話あい。英国にて。
篠田先生もこちらは男性ばかりなのに、あちらはほぼ女性の研究者ばかり、やはり先進国だなと感じたそうです。これは本当にそうですね。日本だと夫婦で研究者であったり夫婦で博士であったりすることがとても少ないですし、国際的な話し合いの場の日本における男女比は明らかに男性優位です。大学まではほとんど半々に学んでいたりするはずなのに・・・これはまた別の問題ですが、英国やフランスなどでは職業に男女差はほとんど格差はないように思えます。

ダイアナ妃も手に取ったという標本、今回の展示では常設されていない資料の多くが初めて公開されるとのことです。


資料見本としてあった、ロンドン塔の堀で見つかったというライオンの頭蓋の標本レプリカ。
イグアノドン。撮影が許可されたので撮らせてもらいました。

大英自然史博物館では資料のレプリカなども購入できるようで、今回のミュージアムショップのコーナーも楽しみです。個人的には、古地図や花鳥の博物誌などが気になります。

100人を超えるプレスと我々英国大使館からの招待者数名で大変会場は盛況でした。
ちなみにこの国立博物館のホールもおちついた歴史ある場所でとてもよかったです。天井装飾など建築やインテリアに関心がある自分はじっくりみてしまいました。



2017年3月18日から開催です。
公式WEBサイト http://treasures2017.jp/
Natural History Museum http://www.nhm.ac.uk/
読売 http://www.yomiuri.co.jp/science/feature/CO023911/20160528-OYT8T50003.html
http://www.yomiuri.co.jp/science/feature/CO023911/20160527-OYT8T50026.html

国立科学博物館 National Museum of Nature and Science,Tokyo
http://www.visitbritain.com/ja/JP/
http://www.innovationisgreat-jp.com/blog/
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