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2017年来春3月18日から開催される大英自然史博物館展、前回に続き展示の見どころ、記者発表会の内容を綴ります。今回大変、詳細かつ分かりやすい発表形式で写真も撮影可能でしたので、監修者の先生がたのPP資料写真を交えていきます。



「日本から英国に渡った標本」
今回の初の展示では、明治期以降に日本で収集された標本も「里帰り」展示がされることになっています。これは日本独自コンテンツとのこと。

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江戸時代はオランダがほぼ唯一交易国だったことから、日本の固有種の記載はオランダ14で合計17種。以前もこのblogで書いていたと思いますが、かつて禁教令以前は、コンペンディウム含め、自然科学、ラテン語なども学ばれていたのですが、西洋的学問が正当的に学ばれ始めるのは明治にならないと始まりません。
それまでの日本では固有種を調査研究することはそれほど行われておらず、植物に学術名がつき研究されるのも明治以降なのです...(日本の大学の歴史は150年たらずですので、マイペースにでもこつこつとした研究が積み重ねられていかねばならないのだな、と大学史などを学ぶとおのずと思うことでもあります.....)

発表された川田伸一郎氏(国立科学博物館 動物研究部 研究主幹)によりますと、英国からきた収集家は明治期の雇用された学者であり、例えば、国立科学博物館の前身である教育博物館の前身となる博物館設立にかかわったヘンリー氏(昆虫の採集)、アラン。オーストン氏もまた横浜に拠点をもち、アメリカ人のマルコム・アンダーソン氏は、英国公爵ベドフォード卿が資金を出して動物収集と標本作成をおこなった主な人物としてあげられるようです。
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川田監修によりますと今回の目玉の一つは、日本では絶滅してしまったニホンアシカの標本。
はじめて日本に帰ってきて、公開されます。古い手描きのラベルなども観て欲しいとのこと。
自然史研究は対象と資料の重視の仕方も、史学や考古の方法を重視する自然科学なのだな、とお話しをお聞きしていて思いました。

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ロスチャイルド家の話も少々。希代の博物学好きという側面をもつロスチャイルド家。今回ゾウガメにのっている姿(ライオネル・ウォルター・ロスチャイルド)のお写真も。本当に動物が大好きだったようです。特に、鳥と蛾!
現在は鳥類専門の大英自然史博物館の部門博物館として公開・鳥類研究機関となっていますがこちらからも出展されるようです。弟のチャールズ氏は1902年に来日して各地で採取を行っています。

またチャレンジャー号についても日本独自コンテンツとなるそうです。

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そのほか、日本発の世界的な鉱物標本である、輝安鉱(愛媛県で収集・1884年大英自然史博物館が購入)130年ぶりに日本にもどり公開されます。

また25kg以上ある隕石も公開されるとこのことです。こちらは1886年に鹿児島に落下した薩摩隕石。小さく飛散した隕石は国立科学博物館でも展示されていますが、最大の隕石が公開されるのも見どころではないでしょうか。私は地学と地学からみた宇宙研究が実は大変好きな自然科学分野なので楽しみにしています。

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総合監修の篠田謙一先生(国立科学博物館副館長 兼 人類研究部長) 日本側監修の真鍋真先生(国立科学博物館 標本資料センター コレクションディレクター)、同、川田伸一郎先生(国立科学博物館 動物研究部 研究主幹)、10月19日の記者発表にて説明と発表を行ってくださった3名の先生がたとポスター。

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関連資料としてレプリカですがいくつか標本や書籍資料。こちらはいくつかは、展覧会中に販売も可能とのことです。

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イグアノドンの標本も。

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ウィリアム・スミスの地質図も興味深い。現代地質学の基礎を築き、ダーウィンに先駆けて聖書の世界観・宇宙観を覆した人物とされています。彼が初めて製作した英国地質学が展示されます。
地層対比、化石の調査をもとに行われた研究は、地理学や地質学的な観点からも興味がわいてきます。

その他、かの大プリニウスが記した「博物誌」(1468年/大英自然史博がもつ最古の本)も展示されます。
博物学者アルフレッド。ウォレスがダーウィンに宛てた書簡なども・・・

古典研究者や文献学の方も関心がある内容も(すくなくとも私は大変展示がまちどおしい)多く、篠田氏が記者発表の質問で答えられたように、内容が豊富なので、どのような方(おこさまや学童も)でもそれぞれに楽しめる展示になりますとのことでした。それに小学生中高学年や中高生にも観てもらいたい展示だと、私自身も発表を聞いていて思いました。勉強するには興味の対象が必要ですし、驚きや興味関心なしに学ぶことは推進できません。

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最後は、監修者篠田先生の現地からの報告と大英自然史博物館についてもう少し掘り下げ、本展のコンテンツ構成などを記事にしたいと思います。


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読売新聞10月13日付でも記事となったピルトダウン人(偽)の写真。





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大英自然史博物館展(於:国立科学博物館・上野)Best of London's Natural History Museum2017.3月より 概要と見どころについての記者発表会