2016-10-15-22-04-10


10月15日 東京バレエ <ザ・カブキ>公演行ってきました。今回で4回目、NHKホールでの抜粋上演を含めると5回目かと思います。
とにかく素晴らしい公演でした。
東京バレエのためにモーリス・ベジャールが振り付けた本作。音楽が黛敏郎。まずは写真をupします。
配役を改めてみていたのですが、夏祭りガラ1日目のダンサーが数多く出ていました。とても音楽的かつ端正なパ、所作、納得でした。今回家族と分けて観に行ったので、13日、15日、16日をそれぞれ皆が観に行きました。
パンフレットを16日に買い足してもらったので、ようやく今日になり詳細を読んでいます。

過去に高岸さん、柄本さん、上野さん、三雲さん版を観ているので、今回初めて由良之介を演じる秋元さん、顔世御前に渡辺さんの回にぜひ行ってみたいと思っていました。

・プロローグ、現代の東京からの導入部分。ベジャールのカブキ、つまり忠臣蔵の世界は現代、今日との接点を作っていることこそが重要な点。二幕の討ち入りや一幕の兜改めに対比してもこの導入部分もまた見どころだと思う。今回も、映像作品は、以前伴内を躍っていた高橋竜太さんの作品。2010年以降の東京(TOKYO)とその空、街の下の若者たち。ブレイクダンス部分も見どころ。こうした演出が古くならない理由の一つで常にこの作品は今日と過去、自らと他者を繋ぐ物語として再生可能な舞台として現れてくる。

・塩谷判官(松野乃知)の一幕も映える。顔世(渡辺理恵)の厳かな佇まいとポワントワークが秘めた超越が見える。由良之助:秋元康臣、直義:永田雄大、高師直:森川茉央、一幕の振り付けは、ベジャール特有のどこか機械論的な動きに歌舞伎らしい動きも入るのが特徴だと思う。そこにもう一つ重要なベジャール振り付けのポイントはクラシックの高い技術の必要性が融合したパになっている。永久機関のような、アリストテレス宇宙機械論を彷彿とする規則性と物理法則に倣った動きと、重力と自然に逆らうクラシックバレエの動きが融合している。
秋元由良之介の魅力もここにあるのではないかと思う。要するに相反する舞踏の動きと物語、記号とが音楽とともに表出している。こうしたことは、クラシックの技術が正確で高いレベルではないと表現できない。それが見事にあらわされていた。

・勘平(入戸野伊織)とおかる(沖香菜子)。この場に現代の勘平とおかる、伴内も加わる。入戸野さんは青い鳥から注目しているのですが、見事でした。沖さんの正確かつ美しいパから目が離せなかった。おかるの振付も難しい、しかも軽く踊らなくてはならない。それがなんとも調和されていた。
勘平とおかるは2幕になってからの演技も良かった。おかるは小出さんの印象がずっとあるのだが、沖さんのおかる、入戸野さんの勘平はとてもよかったです。

・松野さんの塩谷判官、切腹の場。このシーンの密度も凄かった。観客は討ち入りと同様に、この場の目撃者となる緊張感。平野塩谷判官(平野先生)と少し似て、首元から上へ切り上げていた。とにかく密度の濃い、また死と何もわからないうち、闇の中で死していかねばならない塩谷判官の心情がとてもよく視てとれたのが、日にちを経過しても印象的。そしてこの場も2幕で再度、徴のように再生される一つの象徴的な場面でもある。

・先に重要なことから。討ち入りの場が今まで観た中でもっとも音楽にあっていて良い意味でとても揃っていて討ち入りシーンの密度が素晴らしかった。Va.2の宮川さんも素晴らしかった。そして由良之介の7分のソロ。

まだまだあります、
とにかく、ベジャールのバレエ作品は例えばパリ・オペラ座の第九など(映画「エトワール」に収録)を観ればわかる通り、非常にクラシックバレエの基礎の力の強さと繊細さ、正確さが求められる。そして音楽解釈や身体表現はとても文学的かつ記号論的だ。それが、特に専門知識がなくても分かるほど明瞭な表現になっている。
だからバレエに詳しくなくても日本語テキストが読めなくても、言語を超えて伝わるようにできている。
だがその伝達力はよりバレエがもつ美しさや舞踏の躍動感、静止する力などが求めれていると思う。
こうした作品が東京バレエに振り付けられた作品であることが素晴らしい。
そしてこの作品にはベジャール作品のエッセンスもまた封じ込まれている。例えば、「春の祭典」「ボレロ」のような。

今回の2016年公演は今回のキャストでぜひ海外公演も行うべきだと思ったし、15日の公演はできたら国内で放送してもらえたらよいと思う次第です。ローマやドイツ内、フランス、バーミンガム、クアルンプールかシンガポールあたりなどで・・・
そして<M><ベジャールのくるみ割り>や<ギリシアの踊り>なども上演されたらよいし、演技力も高いので<ペトリューシュカ>なども上演されると良いと思いました。

また追記します。



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http://www.thetokyoballet.com/

http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/topmenu/post-687.html

佐々木忠次追悼公演
モーリス・ベジャール振付
「ザ・カブキ」(全2幕)


◆主な配役◆

由良之助:秋元康臣
直義:永田雄大
塩冶判官:松野乃知
顔世御前:渡辺理恵
力弥:中村瑛人
高師直:森川茉央
伴内:高橋慈生
勘平:入戸野伊織
おかる:沖香菜子
現代の勘平:樋口祐輝
現代のおかる:三雲友里加
石堂:古道貴大
薬師寺:安田峻介
定九郎:吉田 蓮
遊女:吉川留衣
与市兵衛:山田眞央
おかや:伝田陽美
お才:政本絵美
ヴァリエーション1:岡崎隼也
ヴァリエーション2:宮川新大


◆上演時間◆

《第1幕》  14:00 - 15:15                 

《休憩》    20分 

《第2幕》  15:35 - 16:20