「・・・・忌み嫌われた悪魔もまた、もともと光り輝く天使であった。
悪魔とは堕ちた天使のことに他ならない。
(なぜそんなことになったのか(中略)
ここから明らかになるのは、人はしばしば、他者(他の信仰や神話)におかる天使(的存在)を悪魔呼ばわりしてきたという隠れて歴史でもある」

*ゴシック美術やイギリスのラフェエル前派が好んで描いたゲオルギウスは、ギリシア・ローマの学術と学芸を龍にみたててそれを駆逐するという「ドラゴン(異教)退治」のモチーフであることなどだろう。

「・・・逆に天使には祝福された聖人、福者たちを祝い寿くという重要な役目が与えられた。そのためには、歌や楽器が得意でなければならない。天使とは優れて「想像界」(ムンドゥス・イマギナリス)の住人。」
(「天使とは何か」より


「書くの如く、「悪魔」「悪霊」はしばしば不寛容ゆえに敵視される他者の神々の別名になってきたのだし、このことは出口のみえない、今日の政治的・宗教的対立のなかで、一段と深刻化している問題でもある」

(同)

岡田先生のこの新書はとてもわかりやすくまとめられているが、福音初期者たちの差異についているのも興味深かったので、記事は二つにする。