
イタリア、バロック絵画、通称カラバッジョ、画家の本名ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラバッジョの展覧会にようやく行ってきました。カラバッジョはかつて2001年「日本におけるイタリア年」にて初来日公開(於:東京都庭園美術館)に行き、<ナルキッソス><聖ヒエロニモス><果物籠と少年>とカラバッジェスキたちの展示を観た。
そのときの素晴らしい展示の数々は今も覚えている。
その後、ローマ滞在時には、<聖マタイの召命>をサン・ルイージ教会へ観に行った。この時の自然光のもとにみたカラバッジョの鮮明さ。目に焼き付いている。
今回の注目点は、以前にまして日本におけるイタリア(ルネサンスからバロック)の絵画理解が深まっているところに、カラバッジョを中心に、カラバッジェスキ(カラバッジョは作品制作をしながら移動したため、同時代的に影響を残している)、シモン・ヴーエ、ラ・トゥール、グエルチーノなどの作品を加えた時代とモチーフを概観できる構成になっている。
以下いくつか目に留まった作品について備忘録としてい書き残したい。
その後、展覧会を捉えなおしたい。
機”俗画
供”俗画 :五感
掘\妬
検‐啻
后仝
此〇村鵝
察\司譴叛賛佑凌靴燭平涸
Special Section :エッケ・ホモ (Ecce Homo)
西洋美術館の展示室はこのように構成されている。
最初に書いてしまうと、最も観たかった作品は、前回の2001年時に観られておらず、ミラノでも観ていない<エマオの晩餐>(イタリア・ミラノブレラ絵画館 Milan, Pinacoteca di Brera)と<エッケ・ホモ(この人を観よ) Ecce Homo)である。
もちろん、他の初公開作品も目的だったが、この二つを観に行ったといっても過言ではなく、それと同時に展覧会ならではの作品比較や同時代画家との比較、図像の変遷、モチーフを観ることができた展覧会だった。
私は幸運にも、日本で16年ぶりにカラバッジョの大規模な展覧会を観ることがかなっているが、まず国内で絵画作品に接し、なおローマの聖堂の中でいまも生きて役割を果たし続けるカラバッジョの壁面一面の大作を観ることができたら、おそらく、<召命>という意味も真に理解できるだろう。また絵画の最大可能性と技法を知ることだろうと思う。
作品リストのメモを観ながら追記する。
この日はたまたま監修者の方のギャラリートークもあり、資料を頂いた。


資料が大変わかりやすい。

私が注目したり興味深く思った作品、<女占い師>(カラヴァッジョ)当時多く描かれるトランプ詐欺師などの場面。ローマ・カピトリーノ絵画館から。カラヴァッジョはもう一つ作品があり<いかさま氏>は図版でしか観たことがない。(キャンベル美術館にあるという)・・・・今回作品の最後に、カラヴァッジョ作品がどこにあるかリストがあったのだがあれがとてもいい資料だった。図録ではその分、冒頭のほうにグレースケールで掲載されている。
この頃のカラヴァッジョはまだ背景を塗りつぶしてはいない、風俗画ではあかるい日差しを感じる。
その影の自然さをモチーフとともに観るべきだろう。また肖像画家は衣服や素材の描き分けをもとめられるからこの作品も描き分けが難しい衣服素材を描いている。
隣にシモン・ヴーエの同テーマがあるので比較すると画家がもつ技術や同じモチーフでも違うことがわかるだろう。(ちなみにいつも思うのだが、シモン・ヴーエが描く作品のモデルが趣味ではない・・・ことに今回気が付いた。いつも何かが・・・と思っていたのだが・・・)
ピエトロ・バリオーニ<合奏> この展覧会にはもう一つ、ヘンドリク・デル・ブリュッヘン<合奏(聴覚の寓意)>がある。バリオーニの作品は、英語タイトルでは5つの音楽家によるコンサート、というタイトルに対して楽器の描き分けが見事だとおもう。我々が古楽で効く、あるいはバロック以前の音楽の楽器を特徴ゆたかにあらわしている。
寓意画のほうでは、聴覚の寓意・アレゴリーとして描かれている、このあたりも見比べてみると面白いし、カラヴァッジョが生きた時代を我々も、文字、絵画だけでなく、五感的に想像してこのあとのセクションをみるといいのではないだろうか。
続
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