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写真は先日の続きでもある、エフェソスの図録を見せていただいたときのもの。そしてB様にお願いしまして、購入し損ねた「ヒストリエ」(講談社)の連載時の頁もみせて頂きました!

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すでにアレクサンドロスのカイロネイアには「あの反転、まさに神がかり」というコメントで台詞上では表現されていましたが、ついにモーニング誌で描かれたカイロネイア。
映画「アレキサンダー」(メアリ・ルノーの原作を元にしている)でも、隼がメッセンジャーかつ人知よりも見通す力としてシンボリックに描かれていますが、この連載時でもそこは描写されていました。

対話篇「ラケス」の勉教会をしたときに、「先慮」がどのように解釈されるかという話題にもなったのでまじまじとみてしまいます。そして、ラケスで語られたこと「隊列に留まること」あるいは「状況に応じて時には退却することも全体としては利になることもある」といったニキアス、「死の恐れ、あるいは恐怖の克服」といったテーマにも絡むと思うのですが、このいわゆるアレクサンドロスの「かみがかり」(英雄的であるとか)状態の瞬間的判断と行動が3ページくらいで描かれているのがよくわかります。
一体どのように描くのか?ということがずっと気がかりでして.....その割に掲載された時点で見逃していたので、大変ありがたく視させていただきました。あらためて感謝です!
もちろんコミックスは買いますよ。しかし連載時のものをひとめみておきたかったのです。

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アリストテレスとアレクサンドロスが直接どのような関係にあるのか影響がどうということは殆ど推測や憶測するにとどまります。しかし無関係ではない。

本来のアレクサンドロスにはヘファイスティオンという親友と名馬ブケファラスがおり...ということで、神的狂気というような知と行動と他との影響力との間にも観られていたとおもうのですが、この「ヒストリエ」は書記官エウメネス(ユーメネス)が記録したところによる形をとり、ヘファイスティオンもアレクサンドロスのなかのもうひとり、ということになっています。(それゆえに、やはり顔の表情アップは某赤司状態にも似てますが、そこはあまり同じようには思わなくてもいいかなと。二重、あるいは多重、らせん状の人格というのは多々物語られてきましたし、実際にもあるのでしょう。そこには立ち入りません)

ひとことで言えば、結果からではなく、おそらくそうした力をもっていたであろうアレクサンドロスが描かれた、ということじゃないでしょうか。単行本についてもいろいろ感想があるのですが、またそれはこの記事に追記したいと思います。

ここで描かれたのが「先慮(promethia)」なのかどうか。読んだ方や対話篇「ラケス」「メノン」などを読んだ方はどう感想をもつのか聞いてみたいところです。それもあって記事にする次第です。

「恐いもの知らず」to aphobon
「勇気があること」to anadreion

「ヒストリエ」におけるヘファイスティオンは、可能態(アレクサンドロス)のうちにあるデュナミス(潜勢力)なのでしょうか。あるいは逆ということも考えられるのでしょうか。

ヒストリエの面白さは、汎ギリシア主義を外側、当事者かつ外部者の眼(書記官)が描き、語るということだと思っています。読者は、書かれた言葉が、実際におきたこととは違うことがままあるという、歴史がもつ裾野、もっといえば、そこに書かれなかった人々が無数にいたということではないでしょうか....

さて、過去の人から見て、現在・現代のわれわれはどのように思われるのでしょうか。どのように映るのでしょうか。ペシミスティックな意味ではなく。





ヒストリエ(2)
岩明均
講談社
2012-09-28









ヒストリエはぜひ!LINEスタンプを出してほしいです。
よまれてるかたはわかると思いますが、もちろん、のり的には銀英伝的な感じのものです。
アッタロスやらポリュダマスだとか。
「文化がちがーう」が合言葉です。

内向きすぎる言動、内部吸引性が高すぎる社会は脆弱化する。
自己を観察することと、自己に埋没することは異なる。

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古代オリエントの歴史
小川 英雄
慶應義塾大学出版会
2011-04






小川先生の本は大変わかりやすいです。











ヒストリエを読んでいたら、読みたくなるだろうと思う本をあげておきたいと思います。

動物誌 (上) (岩波文庫)
アリストテレース
岩波書店
1998-12-16






可能現実存在 (アウロラ叢書)
ニコラウス・クザーヌス
国文社
1987-06



ラケス (講談社学術文庫)
プラトン
講談社
1997-04-10





これだけ文献をいれたので、感想カテゴリーで...

アレキサンダー(Blu-ray Disc)
コリン・ファレル
松竹
2012-12-21





私はアメリカ版の映画のほうもメアリ・ルノーの原作《翻訳 英語 とも も持ってますが、それは以前書いたので今回は割愛。

ヒストリエは3か国共同等で(BBCとか....)で映像化されないでしょうか。できる範囲でよいので...

アレクサンドリア [Blu-ray]
レイチェル・ワイズ
松竹
2013-11-27



これもありました。また(元気なときに)見直したくなりますが、学術が忘却してはならないことも示唆しているようにも。









物語ギリシャ哲学史―ソクラテス以前の哲学者たち
ルチャーノ・デ・クレシェンツォ
而立書房
1986-10



ルチャーの本は息抜きで読むのが好きなのですが(久々にメリッソス、モンテーニュ、ヴィーコのあたりも読みたくなってきた。)この流れ?でTFFS 13も近々感想といいますか備忘録を書いておきたいと思います。



私が学んだラテン文学は、ウェルギリウス、ホラティウス、オウィディウス、キケロー、ルクレティウス、でしょうか。もう少し勉強したいものです。


ローマ人の名言88
山下 太郎
牧野出版
2012-01





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輸入住宅カテゴリーなのに写真がないのも...なので書斎の小さいほうの本棚周辺。
ラケス ポリテイア の会のときあたりの日時。


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