E,H,ハービソン 『キリスト教学識者-宗教改革時代を中心に-』(知泉書房)を注文していて届いたので読んでいます。根占献一先生監訳。2月にでた書籍とのことでご紹介で知りました。

問題の本質はこの記事で書くこととは別のところなのだが、私が漠然と理解してなかった事柄、すなわち、ゴシックとは何を指すのか、ということが明文化されていたので引用しておきたい。


「中世のスコラ学者にとっては、時間を超越した抽象的な真理が最大の関心ごとであったが、これは中世において歴史的感覚が未発達だったことを反映していた。(中略)ゴシック芸術が明らかにする事実は、中世の芸術家に、異教の古代が生き続けていたということであった。ユリウス・カエサルやアレクサンドロス大王は中世の鎧をまとっていた。誰も歴史の連続性に本質的な断絶があると感じてなかったからである。フリードリヒ・バルバロッサは、今だに「ローマの皇帝」であり、「ローマ帝国」が存在した。」

(このことは、神崎先生の西洋史概説を受けたときに、先生が図解で説明されていた。古代ローマ(現在のROMEでもある)、東ローマ帝国・ビザンツ(否、あえてこう書いているが、本来はローマ帝国はビザンツを指すのだ。)、さらに神聖ローマ帝国は、つまり現在のローマがある古代ローマとはまったく時間と場所も違うのに、当の神聖ローマ側はそのことではなく、ローマとは自らであるという意識であった・・・
この現在からみるギャップは奇妙に感じるが、たしかに地図が発達しておらず、時間もそれほど自覚されなければそうなのかもしれない。)



「カエサルとバルバロッサ間の単なる時間的契約は、著作家たちは意識していたところだが、重要ではなかった。古典古代は、未だに同時代として感じられていたのである。しかし、ダンテの死後、この見方に変化が生じた。明らかにペトラルカは、彼の時代と古典古代との間に横たわる「暗黒の時代」を最初に口にした人物だった」
(第2章 p49)

これ以降はアルベルティの絵画論であるとかを読むと当時的な感覚の変化と宣言が観られると思う。


ヴァッラ、ピコ、コレットあたりを読み進めています、エラスムス以降はこれからです。

フィチーノがない、と思うのですがこれは根占先生が「共和国のプラトン的世界」で詳細に書かれている。


どの教科書もおそらく、ルネサンスから宗教改革までの時代記述は多くて5ページくらいであろう。
しかしながら、こうした変化には膨大な潮流があるのであって、私もだが、読んでいきたい。

エラスムスや北方の同時代思想や教育、美術を学んだ人にとっても、参考になるように思う。








花菖蒲いけなおしました。
春紅葉のあかね。