ブログネタ
行った場所や気になる場所 に参加中!
前売り券を買っていたルーブル美術館展。


と、いいますか、天文学者+地理学者はもう10年近く前から「来日してほしい」と言っていた作品、かつ、<<手紙を書く女>>(だと思う)のときの美術ファンアンケートで認知度1.2%だった作品なのです。それが来日する!と昨年秋くらい・・・いや夏のバレエ・リュス展くらいから期待していた展示です。

※フェルメールの作品は寓意画である。手紙を読む女は、修辞学、天文学者は天文学の寓意、リュートを引く女は音楽の寓意、画家のアトリエは絵画芸術の寓意。それを形式的には北方の風俗画に落とし込んだ形式をとっている。日常性と寓意が重ねあわされているから、いろいろな見方ができるし、何よりもこの画家はファブリック、ディフォルメによる精緻さ、ホント・ホルスト的な人知の光(ろうそくや炎(プロメテウス的)ではなく、自然光を描いていること。

と、主にこの作品を目当てにいったのですが、もっと重要なことが。
しかも出回っているチラシには作品もリストにも載ってません。

この展覧会の一番の見どころは、絵画彫刻アカデミー時代、それも黄金時代の作品たちが一同に、ジャンルごとに集められているギャラリーです。

具体的にいえば、シャルル・ルブラン<<キリストのエルサレム入場>> この大作が来日で公開されてます。

シャルル・ルブラン、ニコラ・プッサン、クロード・ロランはアカデミー時代の代表的な画家であり(プッサンとロランは、冒険者の世代にも入る・・・)ルブランはアカデミーの教科書的な基礎と画風をつくった人です。
色彩はラファエロ的、空気遠近法を用いた遠景と風景の表現、輪郭線によらず、かといってデッサンをおろそかにはしない素描派的な造形(かたち)、老若男女と幼子、子ども、ありとあらゆる人の表情と動作を描くドラマ性(レオナルドが<<最後の晩餐>>でとった手法。賢明な老女と女性はあきらかにミケランジェロのシスティーナ礼拝堂・天井画のリビアの巫女、デルフォイの巫女であり、老人らは預言者たちのようである。構図はレオナルドからミケランジェロのマニエリスム様式であり、ラファエロのような集団肖像画(アテネの学堂)の側面があるのかもしれない、とにかく、盛期ルネサンスのフランス化。そして絵画としてもとても秀逸であって、建築、植物(なんの植物かわかる)、犬たち、ロバ、あるいは聖人たちなども書かれていて、すばらしい教科書のような作品なのだ。フランスの絵画彫刻アカデミーの時代は長くはつづかず、50年程度だという。その後、ロココの後半から新古典主義がもう一つの絵画の主流となるのだが、こうした流れを学ぶこともできるし、風俗画とフェルメールの寓意的風俗画との違いもわかる、構成がすばらしい。

大事なことなので二回いいますし、思っていたよりも重要な作品が来日していて(チラシには載ってないので)いいますと、絵画のジャンルのセクションに代表作が集まっていて、「ルーヴル」だと実感できるので・・・
しつこいようですが、シャルル・ルブランを注意深く見て下さい。

思っていたよりも美術史的に重要なことが多い展覧会ですので、詳細はもう1記事にします。



図録は通常版と日仏バイリンガル版の2種。そのほかに子ども向けのリーフレットは無償で配布されてます。