月組公演「PUCK」を観てきました。
シェイクスピアの「真夏の夜の夢」をベースにしたミュージカル+22年ぶりの再演とのことです。作・演出が小池修一郎。ミッド・サマー・イヴを主題にした物語。
重要なことから書きますと、凄く良かったです、まだチケットが買える日があるのかわかりませんが当日券も貸し切以外なら可能だとは思うので可能な方は観たほうがいい!と断言できる舞台です。実は真夏の世の夢をベースにしている再演で現在の月組なら見たいと思って漠然とJCB会員貸切日で日曜ということもあり、チケットを申し込んでいたわけですが、幕開き3分くらいでなぜか自然に涙が出てくるという....詳しくは書かないほうがいいとは思うのですが、それなりに舞台公演を観ていても、こういう経験は稀有なことです。プロローグからオベロン+タイターニアの世界〜反転しつつの英国の森とハーミアたちの住まう屋敷と転換していきます。

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龍さん(真咲さん)演じるパックと愛希れいかさん(ちゃぴ)のハーミアの二人も、オベロンの星条さん(マギー)タイターニアの憧花ゆりのさんの世界観が完璧です。完璧かつ、そこにコミカルかつシリアス、シェイクスピアならではの含蓄ある台詞や言葉あそびもありますし、ファンタジーかつ客観性もありといろんな角度から楽しめる舞台です。

実は作・演出が小池さんだと後から知ったのですが(パンフレットとル・サンクを観てから)小池先生の作品では一番の傑作なんじゃないでしょうか。それを舞台に展開できる月組生はすごいですね。私見ですが完成度といいパワーと魅力といいかつての星組オーシャンズ11を彷彿とさせる作品だと思います。

龍さんと愛希さんは本当に歌も上手いしお芝居がとてもいい、前回のお芝居よりもずっと役を生きているという感じです。こういう感想が蛇足に感じるくらいです。
前回公演(3本立て「花詩集・明日への指針」)のときは確か龍さんの歌がナチュラルにベルカント的なうまさが出てきてると書いた気がしますし、愛希さんの高音の歌い方もとてもきれいだった。それが磨きがかかってますし、ダニーの美弥るりかさん(るりか)も凄く巧くなっていると思います、声の安定感と音程の正しさも美弥さんの持ち味のダンスとつりあってきて。上手いというのは技術的なことはもちろんなんですが、歌というのはやはり音楽と歌詞、言葉の意味が音楽にのると歌唱やミュージカルの持ち味や意味が出てくる。それが感じられたから前半から自然に泪がでたのかもしれない。
凪七さん(かちゃ)もいいですし、子ども〜少年〜大人の演じ分けが良い。ボビーに珠城りょうさん(たまきち)。真面目じゃないたまきさんを観るのは新鮮だ!それから沙央くらまさん(こま)のヘレンが素晴らしい。かわいくないと云われまくる女性役なんですがそれがやたらとチャーミングなんですが(笑)帰宅してから録画しておいたNOW ON STAGEを観てみたら、龍さんと沙央さんが話していて、「ヘレンがすごく好き」「まさおのヘレンも観たみたい、凄そう。」たしかに凄そうです!と全部書いているときりがないのですが、ボビーチームといい制服男子生徒といい、妖精のコーラスもきれいですし、群舞もパワーがありつつきれい、月組伝統ともいうべき揃い方(いい意味での)が心地よいのです。ウォブラーズ(Glee)を観たり聞いたりしていたからか、男子生徒群が出てくるたびに結構着こなしやら靴のおしゃれさを確認してしまいました。カラフルなスニーカーがいい味だしてます。靴といえば、憧花ゆりのさんのタイターニアの靴がとてもデザインがきれいです。たしか劇団は衣装と一緒に靴もオーダーすると聞いたことがあるのでこれから見る方は要チェックです。
パック、ハーミアが歌うなかでダニエル、ライオネル、ヘレンが演技し、メイドたちやチームボビー、男子生徒が着替えてきたりで見どころが沢山。ヌレエフ版シンデレラ(パリ・オペラ座)並に目が足りない!

後半は更になぜかの自然に号泣.....私の厭世感が極まれりというのもあるのでしょうが、なんというか「美しいもの」「真実」といった価値性を問う物語を喜劇と悲劇の間で書いたシェイクスピアもすごいですし、これを作出した脚本・演出も、演じ生命をふきこんだ月組はすごいと思います。DVDを買って帰ろうと思ったら20日にブルーレイが発売される模様。
(なので三本立ての花詩集DVDを買って帰りました。全組TOP特別出演もボーナストラックもあってうれしいサプライズ)

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パック公演限定デザート。 ベリー4種とムース、ゼリーなどのイメージ・ドルチェですね。
(休憩時間に食べたくなると思いますが売り切れてしまうこともあるので、開場から開演前の時間に余裕あるときが個人的にはおすすめ。比較的開演前の時間のほうが二階のビュッフェ・ラウンジは空いてるほうだと思いますし)


ショーは「CRYSTAL TAKARAZUKA」(中村暁・作演出)です。これがまた・・・銀英伝以来の幕開きからのライティングが鮮やか。レーザーがすごいです。よく劇団はきらきらという表現を使いますがこのショーは・・・最早、ぴかぴかです。なんだろう、耀きが凄い。衣裳もきれいでした。デザインと生地の質感と照明があってるんでしょうか。
月は群舞もすごいんですが...意外と後半のコンテンポラリーっぽい振り付けの部分もほんとうに揃ってきれいでした。コーラスもいいのですが群舞、ソロ、グループどこのパートもきれいです。ショーだと紫門ゆりや(しもゆり)さん、早乙女わかばさん、宇月颯さん、萌花ゆりあさん、貴千碧さん、朝美絢さんもよかったです。
前作の時も良いところがたくさんあったのですが、今作は人数×3倍くらいのパワーアップ感がありますね!

中村暁さん作品は<ゴールド・スパーク>以来ですが、今回はパンフレットにもコッペリア+ホフマン物語のモチーフは書いてありましたね!まったくの個人の感想ですが幕開きのプロローグはきらびやかなレ・シルフィードといった感じがします。レ・シルのあの詩感は残しながらのショーアップという感じです。ラテンのシーンからのロケットへの展開がいままで観たショーの中で一番自然な感じがしました。自然かつ前のシーンからのつながりで踊れてる!という感じです。歌はもちろんいいのですけれど、ショーの中盤あたりでのピケを左右で展開するシーンがあるのですがそこもとても綺麗。歌もお芝居もダンスもそろっているというのは組長さんが飛鳥さんだからなのかしらと思うところも、なんだか全体が輝いてみえるというのは本当に舞台を観に行ったときに一番良いなあと想えることです。
全体的に贅沢な注文をつけるとすれば、歩くときの足の出し方と足を上げたときに甲をもう少しだけ伸ばすとパーファクトという感じがします。アームスがきれいなのでつま先が抜けていると気になるというか、些細なことですし靴の問題なのかもしれませんが。とにかくどこをきっても断面がきれいな見応えのあるショーでした。ラテンのシーンも3種類くらいありますし濃ゆすぎず派手ではなく鮮やかかつフレッシュ+繊細さ、丁寧さもあって見応えがあります。コッペリウスのシーンは、ペトリューシュカ並に人形感がでていてここも見どころです。
フィナーレの愛希さん(ちゃぴ)のお衣裳がとてもきれいです、タイターニアの靴のデザインについて書きましたが、このちゃぴのフィナーレの衣装の裾がとてもデザインがきれいです。アダージョ的な女性群舞のときの衣装と振り付けもあっていてとても美しい。

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短く書くつもりが長くなってしまった。
しかも、この日観に行けなかった家族のために劇場を出たところでまずチケットブースで残り日程&残席を確認してしまったという。パックはとにかく完成度も高いのですがアドリブも凄そうですしね!
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それから演目がシェイクスピアベースだからかもしれませんが、男性客が比較的多かったのが印象的。月組生は見ごたえありますしね。ですのでもし気になっている方は臆せずに全然気負いなく観劇できますよ。

クリスマスディスプレイ等の写真は後で追加します。配役等また追記します。

blogmura


















ロミオとジュリエットもブルーレイ版が出たのですね。
PUCKはブルーレイを買おうと思います。

アルセーヌ・ルパンは公演には行けなかったのでCS放送で見ましたのでもう何回か見たら感想書きます。
なかなか家にいるときに全幕映像を見る時間がない!という。