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ドメニコ・ギルランダイオの<聖ヤコブス、聖ステファヌス、聖ペテロ>(1492-94)のポストカードを飾りました。つぼみのニュードーン、紅葉したブルーベリーの枝、ローズヒップ、はま菊、アイビー、ポインセチアを一緒にいけています。昨日つぼみが開いたら冬の最後のばらというようななかなかの大きなきれいなカップ咲きの花が開きましたのでまた写真を追加します。

この作品はアカデミア美術館に収蔵されている。フィレンツェのアカデミア美術館に行ったかたならばわかると思うのだが、特に短い滞在期間だととにかくミケランジェロの<ダビデ像>(一説にはアポロン、ダヴィデをレオナルド(ダ・ヴィンチ)が市庁舎(ヴェッキオ宮)の前のロッジア下に置くことを提案したらしいが、ミケランジェロは怒って反対し、「このダヴィデは太陽の下になければならないのだ」と主張し、ロッジアの下に置かれることはなかったという逸話が残っているほどであり、当時のフィレンツェとロレンツォの主張していた「ペリクレス時代のアテナイを目指す施政と文化」を考えてみてもアポロン説はそこそこに信憑性があると私は思っている。アカデミア美術館でも太陽光がはいるドームのしたにダヴィデはあるので、おそらく彼の意志をフィレンツェは尊重しているのだなと感じるし、自然光で観るこの大理石像は本当に美しいし素晴らしいものだ。とにかく奴隷像とダヴィデのインパクトがすごいので、おそらくギルランダイオのこの大作も目立たないほどなのだが、やはり圧倒的にすばらしいテンペラ画だと思う。当時の顔料や壁龕、大理石、衣服の質感、東方風の聖人といい、フィレンツェ・ルネサンスの絢爛期・大工房技術の結晶のような作品。こういう風にあらためて作品を観られるのが何度かイタリアをおとずれた人でも愉しめた貴重な展示だったと思う。
付言するならば、アカデミア美術館は美術史に沿った作品展示をしているので、ルネサンス前、つまりジォットに至るまでの13世紀から14世紀の絵画も実はとても見どころがある。ルネサンスを研究すると、その直前の変化の過程などがとても興味深いし、ドメニコ会やアルベルトゥス・マグヌスが言っていたような価値観が反映されている作品があったり聖書解釈や世界観の変化がとても興味深い。
(これはミケランジェロのダヴィデを観た高揚した気分のあとでもしみじみと実感できることだ)

アルベルティ「絵画論」以前という意味で、興味深い作品はバルトロメオ・ディ・ジョヴァニの作品2点である。
図録の42頁ー43頁。
透視画法が反映されているようでいながら、絵画はどこか夢想的だ。しかも色調がまるでモダン作品のようなのであって、中世とルネサンスのあいだのようでもあり、写実性や再現性といった絵画とは別の価値観で描かれている作品。なんとも浮遊感がたまらない。奇妙な静謐さ。ベネディクト会にまつわる主題。
1485年の作とされている。
同様の魅力は、マッラーディの画家作としてこの作品の前に展示されていた作品にも通じる。こちらは1500年の作とされている。1502年のラファエッロの死をもってしてルネサンスは一応終了と考えられており、そののちはマニエリスムの時代からバロックへ・・・とされるのだが、この作品の1500年というのも不思議な魅力があり、いわゆるルネサンス絵画の価値とは別の絵画の可能性というのが見える。もちろんフランドルのそれでもない。どちらかといえば、フォンテーヌ・ブロー派などの流れに近いのかもしれない。(主題は注文主によって変わるのでここでは主題のことを言っているのではない)このあたりはわからないので調べたくなった。来日して紹介されているのだから意味があって展示されているのだが(思想史や美術史のながれをみるような展示だった!例:<正義の寓意>)
そういう意味でも、ボッティチェリ、リッピ、ペルジーノが来日公開されたことのほかにもとても貴重な機会だった。

これら3点の作品のポストカードはつくられていなかったので、家には飾れないのですが、作品写真は図録をぜひ参照してほしいものです。

素晴らしい作品だと思ったものをもう一つあげておくと、アルベルティネッリとロレンツォ・ディ・クレーディ<聖母子と洗礼者ヨハネと二人の天使たち>ヴェロッキ工房出身らしさもあり、構図の安定感(レオナルドから提唱されてラファエッロで完成される)も空気遠近法も反映されている、トンド(円形)作品。(1520-25年頃)

こちらはカードになっていましたので、アドヴェント期間でもありヴァニティに飾ってみました。ボッティチェリの洗礼者ヨハネと聖母子のワイド版カードはリビングへ。この作品はマリアの背景にある薔薇が効果的でモチーフとしてもアトリビュートとしても良い。リッピのテンペラ画がもっとカードになっていれば良かったです。


Galleria a Degli Uffizi,
Arte a Firenze da Botticelli a Bronzino: verso una 'maniera moderna'


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