パリ・オペラ座の「眠りの森の美女」Sleeping Beautyは3幕100年後のロココ舞台美術+衣装のマッチングが素晴らしいです。もう宮廷人の団員の方がいる後方や玉座の王妃と王も完全に絵画の世界です。
さすがにロココの本場です。そしてオーレリーとルグリ先生のオーロラ(1幕の妖精からの美徳の祝福+3幕で宝石の精からのさらなる気質の贈与、オーロラほど「完全人格」(オプティマル・パーソナ)を体現する人物はいない。デジレは「待望の」という意味。つまり100年の時間が必然となって3幕の宮廷での結婚式となる。

そこで問題になるのは、カラボスとはいったい何者なのか。
本当に呪いだったのでしょうか。そうだとしてもそれが運命の因果で結果、デジレは「待望の」人物かつ試練を克ちえてオーロラに相応な人物になるのですから。リラの精は、女性寓意のアポロンだと思われます。だから一幕の妖精は言い換えればムーサたちです。ムシュケーを与える存在。

眠りを幼稚だという方もいるかもしれないのですが、大変に寓意的な作品だと思います。
それを理解しないで上演するととても見応えがなくなりますし、その意味を突き詰めると、オペラ座の解釈のように徹底されて上演される。

舞台を観終わってどうにも満足いかないときなど、あるべき正確さと詩性、リエゾンするかのような踊りの流れで本来ここまで人は究められるのだ、と観たくなるオペラ座の演目です。
(オペラ座のドン・キも好きですが)

レティシア・プジョルの白い猫が大変に良い。
これぞ、パ・ド・シャ、そしてマイムのかわいらしさ!
宝石の金の部分が男性ダンサーなのがヌレエフ版のすきなところです。
バンジャマン・ペッシュとムッサンの青い鳥・フロリナも好きです。
見どころがたくさん。クピド(アモール)がクレール・マリ・オスタ。
リラの精と森の女王は逆のキャストでもよかったような気もします。(ジロの森の女王も見てみたい)



http://www.classictic.com/ja/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB/opera-in-paris/278/

オペラ座の演目を見てみましたが(ガルニエ宮/オペラ・バツティーユ)ノイマイヤーの新作やジャン・ギョーム・バールの「泉」など新作も豊富で良いなあとうらやましい限りです。
まったくえらい違いです(比較するなという感じですが)
自分たちの時代に、作品を作りそれが古典になっていくということを理解しない限り、単なるメディア再現性の繰り返し、クラシックというよりプチブルのアナクロニズムに陥ってしまいそう。





後でドン・キは別記事にしたいですが、ドロテ・ジルベールとカール・パケットのドン・キ
Don Quixote - Dorothee Gilbert and Karl Paquette Act3