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舞台「マルガリータ」観に行ってきました。
上演する企画は耳にしていましたが、実際にチケットを買うと決めたのは多分9月中旬くらい・・・
EXシアターは傾斜が適度でそれほど前方席でなくても舞台は見やすい、オペラグラスはもっていきますけれど

概要は公式サイトを見るほうがいいと思うので、観た印象深いところを。

・中浦じゅりあん(鈴木拡樹)がうまい。一幕ではヨーロッパから帰港したばかりの使節団、2幕での経年を彼の台詞や言動、物腰から感じられた。
派手な変化を演じているわけではない。同一性の中で、周囲が変わり、彼の中の一神教信仰がより昇華されたものとして生き方に結びついている。

・出演すると思っていなかった役者さんたちがたくさんでており、やや驚いた。

・細貝圭さんは上手いのだが、芝居上のクライマックスをどこに置きたいか、少し整理されていないようにみえた。
彼の苦悩はとてもよくあらわれていたし、やむを得ない事情もあったこととは思うのでそこは理解できる
。しかしもっとも彼を悩ました、受難と彼が思った事柄が舞台からは伝わりづらい・・・


本来クライマックスになるところの鈴木ジュリアンとの口論も・・・

原作を読むとフォーカスされた、4名、むしろミゲルとジュリアンの話に、傍観者としてのたま、がいるという構成で、そこに信仰に対する俗権(政・まつりごと)が錯綜する。
ヨーロッパは聖俗の権力と権威をわけたのだが、それをわが国ではなぜか(今日も)一元化しようとして失敗するようにも思える。

あちらも立て、自分を仮にそうするだけで本心は変わらない、という折衷主義は、結局うまくいかないだろう。
本心を偽っただけで、まわり(世間)を欺けてもあとから・・・ということ自体が、一神教のコアとずれている。

しかし今は、本題にもどろう。

2点、改善してほしいところがあり、一幕冒頭と中盤、2幕の中盤とラストにある、半端なミュージカル形式のオープニング+エンディングの演出と、白い布を使ったコンテっぽい(が、動きは創作ダンスレベルで踊れているわけでもない、振り付けと場と音楽のどれにもあってない)ダンスの演出が・・・残念。それから一幕はもっと服飾史に沿った衣装でもよかったのでは・・・
とくに白い衣装。
修道服を「きれいに」しようとしたのかもしれませんが、・・・そういう価値観ではないんですよね・・・
イタリアの教会は生きているので、訪れると神父のかたも会いますが、飾り気のないとてもうつくしいシンプルな装いです。そのあたりが・・・残念、当時の服飾を考慮すれば(予算の問題はあろうとも)もっと4人の特別さは表現できたように思うのですが・・・

お芝居と演技のクオリティは真に迫る舞台で、いい場面はたくさんあった。
クライマックスの鈴木ジュリアンは本当に素晴らしかった。2幕で伝導する井深マンショと染谷マルチノがマイムで表現される演出も良かったと思う。隼世を演じた白又敦、八神蓮、清正(清正っぽいかは別として)の寿里は、舞台が進むうえでの土台となる世界観を構築する質で、ストーリーを支えていた。こういう部分はとても重要で、作品の質に関わる大切なところで丁寧に演じられていた。
舞台「美しき生涯」の秀吉、ねね、七本槍の面々のやりとりが恐ろしく笑える(そして緊迫した場面では目が離せない)のをどうしても思い出してしまうんですけどね。「正則!人の分まで食べるでない!」美穂圭子さんがザ・ねね、野乃すみ花がザ・茶々なので…機会があればぜひご覧ください。この石田作品と、「黎明の風」は演劇好きならば絶対にお薦めする作品です。話がずれた。

秀吉をみたときには、「あれ、あの秀吉たにやん(鍋のNOBUの客/信長の家臣)では?」と気づいた(遅い)のですが、上手かったなと..鍋の回想シーンでの家臣役も小西ともどもうまいと常々思っており、このレベルがせめて大河に出てれば毎週みるかもしれないのに・・・と蛇足ですが)

また書き足すと思います。
パンフレットはよくできてて、購入してきましたので、日本キリシタン史と合わせて読み返そう。
殺陣の指導と大村彦右衛門に武智健二氏。血風録で原田左之助がとても良かったので、思いがけず観られて嬉しかった。大村の殿役の八神蓮も良かった。声や演技が安定しているし、ちゃんと時代の空気が出るのですね。


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正宗が意図をもって行った慶長の支倉の使節団とも絡めても面白いかもしれません。

しかし、ヴァチカンに行き、ローマを観て...という見聞をほとんど国内には活かせなかった、というのは今の構造とほぼ似ていて、この国の病、極度の折衷主義には失望します。
(とはいえ、ヴァチカンが今の形になったのは、反動宗教改革の時なのですが...)


「もっと歴史を深く知りたくなるシリーズ」となるようなので、今後も歴史を問う作品の舞台化期待したいです。



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フィレンツェの写真と...(2009)
ローマの写真をと思ったら、データが見つからない。

(それも憂鬱の理由なんですよね、PC関連でとてもテンションが低くなるという....なのでフィレンツェのトルナブォーニにあるテラスの写真とバルジェッロの回廊)


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マカオ St.ポール大聖堂跡。
このファサードには、日本でキリスト教弾圧をした家康を告発する形で刻まれています。
そうした当時の気持ちは本当に理解できるし、風化されてはならない...


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海上のマカオの橋とスコール雨あがりの空。
この空を見ていたのだな、と・・・・この写真は、今年2014年8月3日午後に撮ったものです。

晴れると舞台で使っていたようなマニエリスムやマンテーニャが使っていた明るい水色がさしてきます。


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開場を待つ場所が・・・あまりなく、かといって六本木の屋内施設からはやや距離があり、体に優しくない上演前後。まあ張り切って(なけなしの元気を出して?苦笑)待ち合わせて行ったのもあるんですが、またミッドタウン方面に行ってかえってくるような胆力もなく。
ライブなども行うホールなので、劇場内のバーはけっこう充実。ジントニックやウォッカトニックなどのよくライブハウスであるような場所があります。これ、上演中はもちろん飲むのは禁止ですけど、休憩中開演までは席で飲めるシステムにしたほうがいい・・・と思うんですが。
アンケートを後日送れるシステムになっているのか?いないのかが解りずらい。
ホールスタッフから難民的に移動させられるという・・・アンケート書いてもらえなくなったら、終わりなんですよね・・・

この作品はDVD化は決定しているようです。
おそらくもう1回くらい、感想書きます。かけるかな...
急に観に行くことを決めた作品でしたが、行って良かったです。



CAST

千ヽ石ミゲル(清左衛門) 細貝圭
中浦ジュリアン       鈴木拡樹
伊東マンショ        井深克彦
原マルチノ         染谷俊之


川上ジュリア
八神蓮
白又敦
石井智也
北代高士
武智健二
小峰めぐみ
那奈
米田敦
尾崎礼香
寿里
菊地美香
大堀こういち
山崎樹範


http://youtu.be/cFid-6nC4n0?list=RDcFid-6nC4n0

Marco Fabritio CAROSO
Two dancis from Il Ballarino (1581)
1582年の前年の作出。












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