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ジャック・カロ展観てきました。

ローマ時代のカトリック主題から、フィレンツェ時代、ロレーヌ時代、反動宗教改革、戦争、風景、アウトサイダーと時代と場所、主題別のセクション構成で見ごたえがある。

エングレーヴィングの技術、遠近法、建築、町並み、風景、動物のデッサンも狂いがなく、寓意表現もデザイン性が高い。

思ったのは、明るさがあること。デューラーなどに比べて、版画のイメージよりずっと明るさがある。それは明瞭さからくるのかもしれないし、過不足ない技術の高さからかもしれない。

フィレンツェ時代の町並みには、アルベルティが描いたあの無機質な町並みがとりいれられている。バロックとルネサンスの間、絵画から音楽とスタンツェ、後のオペラの先駆けになる文化が反映されている。

反対に、ロレーヌ時代には遠近法を使いながらも、人物配置は重要人物は大きく描くという、マザッチョ以前の表現になっている。享受する側が、遠近法のリアリズムではなく、中世的な認識方法をしていたためではないだろうか。
ただし、アレゴリーはギリシア風で、ヘルメスなどが描かれる。それが中世の七美徳のように配置されている。


平野啓一郎のセレクション企画にデューラーがあるので比べてみてもおもしろい。

以下、印象に残った作品。

サン・ロレンツォ教会の内部装飾
二人のザンニ
アルノ川の祝祭(扇状)
ド・ヴロンクール殿、ティヨン殿、マリモン殿の入場

連作<七つの大罪>
日本二十三聖人の殉教
福音書記者聖ヨハネ

水辺の散歩道
ルーヴル宮の見える光景


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反動宗教改革は、対抗宗教改革と記載されていたが、たしかに対抗宗教改革のほうが言葉としてあっているかもしれない。


6月15日まで。

マニエラな気質で描かれ、バロック的な演出、構図を持ち、ルネサンス時代に見出だされたリアリズム、洗練されたカトリシズム、風刺と風景の共存とでもいうべきか、とても見ごたえがあり、文化世相も伝わる展示。