
東銀座 MEGUMI OGITA GALLAERY にて 金子國義展 「聖者たちの戯れ」(サクラメント)が行われています。
金子さんのアトリエからお葉書を頂き、私は10月の某日に一人で行ってきました。
(東銀座は乗り換え駅でもあるのです)
葉書になっている<< The Book>>はギャラリーの方とお話ししたところ、長く描き続けられた作品とのこと。130.3×194cmの大きな油彩。2007-2011年とプレスリリースにはある。
プレスリリースの用紙をギャラリーの方がくださったので以下、引用させて頂きます。

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「一度見たら忘れる事のできないキャラクター像を描く金子國義は、デビューから常に時代を超越し、ファッション・イラスト・芸術のボーダーを突き抜けたポジションで活動を続けてきました。キャラクターを絵画のフォーマットへ落とし込み作品化するこのスタイルは、後の日本を代表する国際的なアーティストへ多大な影響を与えて、また一つのアートの形式となりました。今展「聖なるもの」では、芸術家金子國義が自己の内にある城の最も暗く神聖なる場所へ光を当て、より神秘的な領域を表現しています。
(中略)
今展は金子の50年に渡る作家活動の集大成として、150号の大作を中心にその先駆性と独自性を『聖なるもの』として再び振り返ります。」
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構図としては、レオナルド以前画家たちの<<最後の晩餐>>を思わせる。
(レオナルド以前の最後の晩餐は、ユダを含めて一列に配されるようになったのだが、ギルランダイオ、フラ(ベアート)・アンジェリコほか多くの場合-修道院の食堂に描かれている-はユダだけが食卓の前面に配されていたり、ななめの構図もある。)
ワイン(キリストの血)の色の深さ、写本の精密さ、慟哭や信念を表す表情の強さなどは今までの金子さんの絵画とはまた異なる特質がある。精密で、マニエリストな面を思わせる。
13人はおそらく、聖者たちなのだろう、ステファノ、福音書記者たちなのかもしれない、これは本当は金子さんと直接お話ししたいことなのだけれど・・・
バロック絵画のような黒い空間、だが西洋絵画の持物によるステレオタイプな表現を用いずに、「聖者」たち「聖なるもの」(それはバタイユーボードリヤール以降に呪われたものとしても解釈できる、またアガンベンが「オイコノミア」として説明する力・装置)をもあらわしているように感じた。
青山・イデーで行われたとき以来の(私が脚を運べた限りの話ですが)大規模な展示だと思う。
作品としては<<アダムの種>>、<<放蕩息子の帰還>>が印象に残る。
特に後者は、カラバッジョとカラバッジョ派以降の定番的テーマとしていくつもの作品をみているから、このテーマや、<<受胎告知>>などの主題は、作品を多くみていくと最も画家の特質が現われるテーマなのだ。
(絵画を見るもののとって、例えば受胎告知においてどのような表現があるかだけでも、多くの作品を見ているととても興味深く感じるだろう。実はウフィッツィ美術館のチケット販売所の裏に、サンドロ・ボッティチェリの<<受胎告知>>があるのだが(この絵画は「イタリア年」のときの記念切手にもなった)、天使ガブリエルがどのくらい急いでマリアのところに来ているか、マリアはどのようにその告知を聞いているのかなど見比べていくととても興味深いのです。これはよく美術館にいっては、娘とよく話すことなのですが。
クラシック音楽が演奏家によってどう演奏され分けられるのか、バレエがどうダンサーによって演じ踊られ分けられるのか、そういうこととも関連があること、と思う次第。)
このギャラリーでの展示に脚を運べてよかったし、この空間で作品を見ることができてよかった。
アリス・シリーズなども違うコーナーで展示があります(ポストカードも)。
私は一枚ものの2011年カレンダーの図柄がよかったので、額装して注文しました。
金子さんがいらしたときには行けなかったのですが、サイン入りのものが丁度あるといっていただきまして、黒の額装でお願いしました。いらしたらきっと、以前生田訳の大型本にしていただいたように、お名前を書いてくれるのでしょうけれど!
ギャラリーの方とお話し、期間中に新作が飾られるとおっしゃっていたので
(注:今電話でご連絡を頂き、新作はまだ制作途中とのことです。しかし明日は金子さんもギャラリーにいらっしゃるとの事です)
ぜひ足を運んで頂きたいと思い記事にする次第。
場所は東銀座からマガジンハウスを通り、ナチュラル・ローソンの隣の地下です。
他に見てもらいたい方のためにもカードを数枚頂いて送付、手渡しさせて頂きました。
私も本来ならば11月初旬にもう1−2度訪れるはずだったのですけれど、現在仕事場にずっと籠っており行くことが難しい。一人でも多くの方に見てもらいたいと思っております。
活動そのものが、結果よりも重要なのです。
それを自分にも言い聞かせられた。
私はギャラリーを訪れたこの日、ある事柄でじつのところ憔悴していたのですが(仕事含む日常雑事のもろもろにおいて)作品を直接見て金子國義さんの画家としての内面的力を直接感じ、ーしばらくお会いしていないのですがーその内なる力に向かいあえたことがとても大きかったのです。

写真は、ナンニ・ディ・バンコの 「四大殉教者」(オルサン・ミケーレ/Firenze)

ドナテッロ の「受胎告知」(サンタ・クローチェ/Firenze)
(・・・現在関連書籍・文献と一緒に仕事場に移住しているため掲載)
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