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昨年度の言語文化研究所の公開講座は日程上参加・受講できなかったのですが「これはいかなくては!」
と今から思っている2011公開講座、『ウェルギリウスとホラーティウス』を記事に。
(2009年 公開講座については出席したのでおそらく過去ログに参記事があると思うのですが・・・)

ラテン文学では、ウェルギリウスとホラーティウスについて、具体的な作品を読みその違いを説明するという小論を書いたことがあります。ウェルギリウスは『アエネーイス』があるので比較的文献・テキストも手に入れやすいですが、ホラーティウスは、私は確か、『農耕詩』と『詩論』で書いた記憶があります。(今もこうした小論は手元にファイルしてありますが。評価もよかったので・・・)

ウェルギリウス『アエネ-イス』
ウェルギリウス『アエネ-イス』


ギリシア・ローマ古典文学案内 (1963年) (岩波文庫)

著者:高津 春繁
販売元:岩波書店
(1963-11-16)
販売元:Amazon.co.jp



ラテン文学は、アウグストゥス(オクタヴィアヌス)とマエケナスが中心になってギリシア時代の文学・哲学・諸芸術を自分たちの時代に再興させようとしていた黄金時代(つまりウェルギリウスとホラーティウス)、銀時代(セネカなど)、銅時代などに区分されます。

==以下公開講座リーフレットより==

紀元前1世紀後半は、一般にラテン文学の黄金時代と称されます。その代表的な存在が、ウェルギリウス(前70−前19年)とホラーティウス(前65年ー前8年)の両詩人です。この講座では第一人者の研究者の方々をお迎えして、両詩人の作品について様々な角度からお話しいただきます。


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詩学 (岩波文庫)詩学 (岩波文庫)
著者:アリストテレース
販売元:岩波書店
(1997-01-16)


ホラティウス全集ホラティウス全集
販売元:玉川大学出版部
(2001-12)
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ラテン文学は、たとえば、アプレイウスの「転身物語」などは、美術ー舞台芸術などにも多くの原点になる主題ですし、音楽にも大きな影響を与えてます。ドイツ文学などでは、例えば、『朗読者』などでもアエネーイスは文中に登場する。(ドイツ・ギムナジウムでは大抵アエネーイスが古典として読まれるからだろうと思うのだが・・・ヨーロッパではキケローがこうした古典である場合が多いけれれども、では日本ではこれに相当するような「高等学校」で必ず読まれるような古典としては何にあたるのだろうか?と先日、ある集まりの中で話題になった。
私見ではもしかしたらそれは、漱石の晩年の三部作になるのではないか、と思っている---のだが、それは私が高校生の時に薦められて、柄谷行人『漱石試論』と『近代文学の起源』を読んだからかもしれない。

昨年末、以前書いた学芸大教育学部を受験し合格した人に個人的に相談にのっていたというかいっしょに試験問題を読んだりしていたのだが、そこでも漱石の三部作は近代人の「エゴ」「自我」・・・主観と客観などの問題として取り上げられていたから、なのだが・・・ その時にわからなくても、言葉が残ることがある、そして何度読んでも発見がある、それが古典の生命なのかもしれない。

10月はおそらく私も試練の時期かつ、出張+仕事も増えてくる時期だと思うのですが、この講座はぜひ参加・出席したいと思っています。

メアリ・ルノー原作を映画化した「アレクサンダー」の冒頭で流れ字幕ででるのも、『アイエーネス』の一説です。

アレキサンダー プレミアム・エディション [DVD]アレキサンダー プレミアム・エディション [DVD]
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ルノー作品についてはwarp(国立国会図書館web資料アーカイブ)に保存されている私の記事があるのでそちらを参照下さい。

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古代オリエントの歴史古代オリエントの歴史
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しかし、ウェルギリウスは、自分の作品をすべて焼き捨てるようにと言いのこして生涯を閉じている。
だが、オクタヴィアヌス(アウグストゥスこの名前はのちにつけられたもので、オクタヴィアヌスは自分は「第一の市民」であるとしていつつ、権力を徐々に集中させていったといわれている。)

年末にフランス語留学して今はフランス語でブルデューを読んだりしている大学院生が自宅に遊びにきたときに、「今使ってない言語を勉強したって仕方ないじゃないですか」と言ったので、「何をいっていますか!」と討論(苦笑・・・)でも話あううちに、すぐにいろんな角度から理解しようとしてくるし、語学力や数学的な能力は私は及ばない(と思っています)こちらもいろいろと頼みごとをしてしまいます。
(バレエ発表会も声をかけたので来ると思います。なにせ鈴木晶先生もご存じですからね・・・なるべくいろいろ見たほうがいいのです。高校時代にソシュール言語学に興味をもってそちらにいった人ですから)


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期限1世紀前後のローマは、ギリシア時代の規範にしつつ、違う文化へと変容していく興味深い時代でもある。
トレヴィの泉のもとの水道は、アグリッパ時代のものから今もかわらず、使われているし、その建築物は遺跡というよりも現在も使えるものが多い。(野外劇場など)ローマを歩くと、広場、そして水飲み場としての泉、フォロ・ロマーノ、そしてバロック美術・建築・彫刻(ベルニーニ)があり、教会にはカラヴァッジオ絵画の傑作があり、ヴァチカンもいかなければならない。疲れたらナヴォナ広場などでコーヒーを飲んだり、感想を語ったりも醍醐味だし、テヴェレ川沿いを歩いたり。こんなことを書いているとローマに行きたくなってしまいますが・・・私は腰痛持ちなので、ローマはローマだけに絞らないと途中でリタイアしてしまうはめに。
イタリアは本当に、フィレンツェならフィレンツェ、ローマならローマ、ヴェネツィアならヴェネツィアと決めて都市に滞在しなけければならないでしょう。それぞれの人々も気質も違うし、話すこともとても愉しめる。

やや話がずれましたが、現在上野で行われている『古代ギリシア展』に行かれた方もぜひ、起源前1世紀後半、金時代や銀時代、銅時代のラテン文学や古代史を参考にしてもらえたらもっと楽しめると思うので記事にする次第です。


私は一介の受講希望生にすぎませんが記事にさせていただきます。
講演についてはこちらを参照ください。


ギリシア・ローマ世界における他者ギリシア・ローマ世界における他者

(2003-09)

納富先生の論文もこの本に収録されています。(ネットではおそらく検索が出ないと思われる)





詳解ラテン文法詳解ラテン文法
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