7月27日はロンドン・オリンピック開催二年前に当たる日ということで、記念イベント&交流会に出席・参加しました。
場所は駐日英国大使館公邸(半蔵門)。
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2009年3月にUK-JAPAN2008の閉幕式に出席させていただく機会がありましたが、今回も駐日英国大使館よりご招待いただきました。ロンドンで開催されるオリンピックは環境やエネルギー効率、教育や医療面などにも配慮したものへと準備が進んおり、映像や写真、コンセプトと取り組みなどを聞くことができました。P1080316

ディヴィッド・ウォレン大使から日本語と英語で挨拶があり、その後、ウィリアム・ヘイグ外務大臣と、ロンドンオリンピック・パラリンピック組織委員会会長のセバスチアン・コー卿からのビデオ・メッセイジがありました。

ロンドンオリンピックは開催施設を建設するために解体した建築物の資材を、オリンピック公園建設に再利用するとのこと。

A Green Agendaのコンセプトが紹介され、この公園は開催後にはヨーロッパで最大の公園になるという点が興味深かった。公園は誰もがアクセス可能な市民的な場所です。日本の公共政策では公園と住居整備の整備が著しく不十分なことがよく私的されていますが、開催後も、その場が共有されること、持続可能なことが視野にいれられ、取り組まれようとしているのがわかりました。何事もプランとコンセプトがなければ実現できないのですから、やはり目先のことだけではなく、その後のことや、他の地域、世界にも開催がどう影響を与えるかということがとても重要に感じます。
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日本が滞在することになるラフバラ大学の研究と取り組みについて、キャサリン・ウォルシュ大学副総長(博士)から紹介がありました。施設面の充実だけでなく、シューズやウェアなどを工学的に開発しているそうです。
食事の提供も考えて、ラフバラ大学のシェフたちは日本食を学ぶために来日したそうです。

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ラフバラ大学のガーデナーが作った花壇。
春に花が咲いたところ(!)だそうです。


その後短編映像 istoryが上映されました。英国に留学中の井上康生氏が出演してロンドンの様子もまた映し出されています。

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istory(アイストーリー)
http://www.youtube.com/ukforeignoffice#p/u/6/sDSXK7x4Cmo
(映像は公式チャンネルにて視聴できます/ 7月27日から公開スタート)

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特別ゲストのバルセロナ・アトランタ五輪女子マラソンメダリスト有森裕子さんとトリノ・長野パラリンピック アルペンスキー金メダリストの大日方邦子さんからコメント&メッセージがありました。
有森さんは「オリンピックの後にその経験をどう生かすのか、それによってメダルの色も意味がある」というコメントが印象的でした。
大日方さんは5回のパラリンピックを経験されているそうで「若い人たちに自分の眼と肌で感じてほしい。観た感動がインスピレーションなること、愉しむこと。パラリンピックの原典もイギリスにある」というメッセージがありました。

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私自身が一番感銘を受けたオリンピックはやはりバルセロナでした。
オリンピックはスポーツだけではなく、文化とスポーツという人間の創造性が一体化する部分があります。音楽や芸術も関わります。現代では特に商業化(コメルス)に偏ったオリンピックもたびたび問題になりますし、実際に経済効果だけが成功の可否のように捉えられるような報道も見かけます。元々近代オリンピックは、アマチュア精神の復興をよびかけて1896年に呼びかけられたのきかっけです。

教育学者だったクーベルタンが、イギリスのスポーツ教育による人間形成に感銘を受けて勝利より参加が重視されて興ったものでした。ヨーロッパ中心だったのが第二次世界大戦後には世界的な動きになった背景があります。今ではあたりまえのように感じますが、女子マラソンも1970年代に入るまでは認められていませんでした。「女性には過酷すぎる」というのが理由でした。ですからアスリートたちはそういった壁も乗り越えてきたのだと思います。

私も昔陸上をやっていたので(短距離とリレー、幅跳びでしたが)やはり陸上競技には関心があります。

イベントではロンドン・オリンピックの<6つの約束>が紹介されたので、ここにも書いておきたいと思います。

・スポーツを超えて(文化・医療・教育など)
・6週間に限らず
・ロンドン以外でも
・単なるスペクタクルではない

やはり単なるスペクタクルになってしまうと、一過性のものになってしまいますし、目的至上主義のようなものに成ってしまうので、このコンセプトはとても重要だと思います。
私が思うには、やはり観る側も、単に感動したとか、メダル獲得、などではなくて、競技自体やルールを知ったり、選手・アスリートが緊張やプレッシャーと戦いながらもベストをつくすということも観ることが大切。
いつも思うのですが、どうも日本選手の結果だけを追ったり、メダルの有無だけに注目したり、個数を争ったり、そういうことだけが報道されると面白さや楽しみも半減してしまうのではないかと思うのです。
それだけでは大切なものが何も残らないように思うからです。

交流会ではウォレン大使、キャサリン・ウォルシュ副学長、駐日英国大使館広報部の担当者様、ブリティッシュ・カウンシルの担当者様、それから当日出席されていたブログ執筆者様とご挨拶・お話させて頂きました。
ロンドン・オリンピックの取り組みや準備、開かれた大会への実践などを知ることができる貴重な機会でした。


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ロンドン五輪のキャラクターをかたどったケーキ。
目を有森さんと大日方さんが入れて完成したところ。
切り分けられたケーキも頂きました。ドライフルーツたっぷりの英国らしいケーキ。見た目だけでなく味もこだわりが。

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交流会+ランチ・レセプションの写真を少々。
一口サイズのアペタイザー。他にミートパイやサンドイッチ、シュリンプを使ったお料理など。

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ポストカードの写真にもスポーツと自然、環境、創造性との関係が感じられます。

私が興味深かったのはロンドンオリンピックでは、物資の輸送を船で行っているということ。陸路を使うよりもエネルギーを節約できること、競技施設では雨水(天水)を溜めて水洗トイレに利用するなどの工夫がとられていることです。映画「The Age of Stupid」でも、今あるエネルギーをどう利用するかが問題とされていましたが、こうした取り組みにもその視点を感じました。

コンピューター、機械化された現代社会では、身体やスポーツは「人間に残されている自然」という意味も持っています。

インターナショナルインスピレーション、文化芸術プログラム Unlimited(アンリミテッド)に関してはまた記事を書きたいと思います。