U・ロパートキナ(Uliana Lopatkina)のライモンダ。
詩そのものを観るようでグラズノフの音楽と一つになっている。
あえて言うならば”イデアの影”、とでもいうような・・・しかし言葉では表しきれないものがあります。後ろへのパ・ド・ブレでは見えない糸でひかれていくよう。イデア分有の可視の領域、人の眼にうつる美の極限を形と音楽、見える美と見えない美の境界線で、鮮明に線分として浮き上がらせる。具体的にいえば、パとパの境界をまるで感じさせない。
ライモンダは、新国立の抜粋版、ABT(ジリアン・マーフィ)の来日公演全幕を観て以来全幕では観ていませんがなかなか全幕を上演するには日本では難しい演目ではないでしょうか・・・。通常のロシアクラシック作品が主役2名とパ・ド・トロワ、コールド、キャラクターダンサーで上演できるとすれば、ライモンダはダンサーの層が厚くないと成り立たない演目だと思います。難しいとわかっていてもボリショイ次回公演でライモンダを上演してもらいたい(以前も書きましたが・・・)
WEB上ではギエム、エリザベット・プラテル、アニエス・ルテスエュ、ドロテ・ジルベールなどのライモンダが少々観られるようですが、プラテル時代の全幕映像がないのが本当に残念。
現在ではDVDでセメニャーカのものが再刊されています。以前はVHSしか無かった(キーロフの「海賊」もそうですが)ものです。
![Raymonda [DVD] [Import]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/515VR5J4TCL._SL160_.jpg)
出演:Irek Mukhamedov
販売元:Kultur Video
発売日:2004-12-21
おすすめ度:

通わせていただいているスタジオではレッスン参観があり大変貴重な機会です。バーレッスンからセンターまで観ることができます。
最近では、ライモンダ、白鳥のパ・ド・トロワ、エスメラルダなどを少しずつ練習しているようです。
古典は振り付けが決まっている分、どう解釈しどうみせるのか、それもあたかも自然に、振り付けがもつ本来性を崩さずに形と線を表出するのか。観る側は割りと観たままの感想を口に出しますが、その形を身体が取得するまでには長い時間とレッスンの積み重ねがあります。
「人は時間をかけてより善きものを発見する」
価値あるもの、移ろわないものは、はじめから与えられはしない、ということをいつも思いかえします。
日記としては...推敲の日々。どうしても文章が長くなります。あっというまに一万字くらいに達してしまうのですが、おそらく理解が深まるほどに言葉もそぎ落とされて表現できるのでしょう。自分の立場と客観的立場との中間はどこなのか、不十分さと過剰な点はどこなのか、理解していると想いながら充分でない認識をどう察するのか、その自問の繰り返しです。
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