アーサー王伝説については以前も少々書きましたがトーマス・マロリー卿が「アーサー王の死」として集大成したもので、最初に出会ったのはビアズリーの挿絵がきっかけでした。ケルト、中世騎士道、キリスト教聖杯伝説などが加わってものがたりになっているアーサー王伝説の映画でおすすめなのはジョン・ブアマン監督の『エクスカリバー』です。物語の要素に超自然的な事柄やケルト要素も反映されています。
以前ブーリン家の姉妹と英国映画(2008UKJAPAN)について少々触れた記事の追記です。

アーサーを騎士にする儀式的なシーンがとても印象的。
ランスロットのニコラス・クレー、エクター卿やケイ、パーシヴァルが従者から騎士になり、聖杯を探索する騎士として描かれるストーリーも好きなシーンです。モードレットも適役かと思います。アーサー王とグェネヴィアの結婚式やキャメロットの円卓のシーンも幻想的でとても美しい。何度となく観たくなる作品です。
アーサー王伝説は、失われたケルト文明が文化や主題となって後の世界に継承されている点がとても興味深いです。
音楽が「カルミナ・ブラーナ」(運命の車輪の輪・絶頂と衰退なのも効果的です。重要なシーンでは、物語の栄光と悲劇を暗示するように用いられます。

「アーツ&クラフツ展」(汐留)でバーン=ジョーンズのチョーサー挿絵を見て、以前「ビューティフル・デカダンス」展で購入した図録を改めて観ていました。文学要素と繋がりが深い19世紀ですが、来年2009年もこうした展示があるといいと思います。アレクサンダー・ポウプの著作のための挿絵や装丁デザイン、ロレンス・ハウスマンの『愛のヴィオル』(ロビンスン著)表紙デザインなどをみていると、やはり書籍と表紙デザインは重要だと思います。19世紀末は書籍や印刷出版が隆盛したためにデザイナーや画家が優れたデザインをパブリッシングに生かされてきまのがよくわかります。「消費」とは別のものづくりのポリシーが存在感を際だたせているのかもしれません。細密なデザインがとても美しい。

エクスカリバー [DVD]エクスカリバー [DVD]
出演:ナイジェル・テリー
販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2003-03-20
おすすめ度:4.0
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美神の館 (1984年)
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アーサー王物語〈1〉
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ビアズリーのイラストレーション (双書美術の泉 14)
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個人的に90年代はこうした企画展、シュルレアリスム、19世紀後半デカダンスから象徴主義に関するものが多かったせいか(10代後半から20代前半だったから特に?)現在の嗜好にも影響があるのかもしれません。個人的には2010年くらいからまた回顧と継承の動きがあるのでは、と思っているのですが。
(ルネサンスの後のバロック、その後の新古典主義などの流れのように、新しいものは前時代の見直しから始まるので...)

カルミナブラーナについてはバーミンガムロイヤルバレエの「カルミナ・ブラーナ」関連でも少々書いてあります。