レビューを追加したのでここにも掲載します。

2008年「ル・パルク」公演の際に会場で購入しましたが、再生に問題はなく日本国内のDVDプレーヤーに対応しています。

イザベル・ゲランとローラン・イレールによる初演キャストのパリ・オペラ座の「ル・パルク」です。ジャケット写真は3幕のパ・ド・ドゥのもの。

1幕、2幕の衣装はフランス・ロココの時代、ヴァトーの雅宴画を彷彿とさせる衣装がオペラ座のダンサーに大変似合っています。音楽は全幕モーツァルト。描き出されるのは、普遍的な愛の葛藤と苦しみ、その聖性が大胆に表されていて、その普遍さゆえに現代・モダンな舞台装置や「庭師」の存在などがシャープかつシュールな空間を演出しています。ローラン・イレールが素晴らしい。
ヒロインは『クレーヴの奥方』からインスピレーションを得たそうで、恋を拒み、自らに悩み、純粋であろうする意志をもった女性像で大変興味深い観ました。イザベル・ゲラン、ローラン・イレールは共にこの初演ファースト・キャストです。
オペラ座のコンテンポラリー作品の表現の深さ、解釈の奥深さ、テクニックの高さを観られるDVDだと思います。★を一つ減らしたのは、カメラ・ワークがダンサーに近すぎる時があり、実際の舞台での全体的な雰囲気・空間が観られない部分が1幕にあったためです。

個人的に、1幕、2幕もとてもすきな作品です。
『クレーヴの奥方』も読んでみましたが、成る程・・・と思う文体でした。
文体はシンプルなのですが、心理描写が大変細かいのですね。

ロココ・美術については、『世界美術大全集』や『ルーブル美術館』の大判図録などをみるとよくわかります。とてもあの時代のフランス的な部分(衣装や振る舞い)とそれに抗うような愛や存在の純粋さ聖性の部分がでている作品だと思います。>ル・パルク

ラファイエット夫人自身、ロココの時代の人なのに、アンリ2世の時代の世界を描きだしているところで、きっとロココの世情に違和感を感じていたのでしょう。
フォンテーヌ・ブロー派などのまだ合理的精神で整理しきれない心情や感性、そういったものも人間には必要なのだとそんな気がします。

アンジュラン・プレルジョカージュはそれを動物の部分と語っていますが、なんというか、前近代的な部分、そこには合理性では片付けられない複雑で繊細なものがあるのだと思うのです。そういった問題も、普遍性=モダンといえる。
こういった問題をバレエの舞台で表現できる・しようとするところがとても興味深いところです。

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