伊藤博明先生のルネサンスの神秘哲学を再読していた。(ちょうど冬の天体ショーや思いがけず聴きなおしているQueenの曲やコンセプトにはリベラルアーツ諸学が関係していると思っていたのもあり)



「すでにホラティウスは『詩論』において最初の詩人オルフェウスが「石のような獣的な人々」の心を和らげ、文明へと導いた最初の者だった、と述べていた。ボッカチョは『異教の神々の系譜』において次のように述べている。オルフェウスは野獣を穏やかにする。すなわち、血の気の多い欲深い人々を、詩人の「雄弁」はしばしば静穏さと人間性へと呼び戻す」のである。ここでオルフェウスは<雄弁>を備えた詩人となり、その詩の効果は<人間性>をもたらすこととされるのである。」

さらにフィチーノより年少者のクリトフォロ・ランディーノの言葉が引用されているのでつづけてみたい。

「彼は、フィレンツェ大学においてペトラルカのソネットについて講義する際に、次のように述べている。雄弁は、森に住み法律も慣習も知らない野獣のような人々を、共同体において一緒に住み、正義に服させるようにする。(中略)詩人たちによればオルフェウスは、自らのリラによって野獣を柔和にし、岩と草木を動かし、嵐を静まらせることができた。そして彼は、あたかも石で造られたかのように徳に無関心で、身体の快楽によって狂気にとりつかれた人々を「優しい言葉によって文明的な生活へと導くことができた」のである。(p.248)

「プラトンが説く<神的狂気>(これはパイドロスや饗宴でのテーマでもある。※筆者付言)という特別な力をうけた人々は、人間を超え出ようとしながらも神々になることはできないゆえに、ギリシア人たちのもとでは詩人とよばれた。」(p.249)






私のプラトニズム研究とルネサンス思想史美術史のテーマはプラトン 饗宴 パイドロス ピレボス 国家の線分の比喩、アリストテレスの新プラトン主義解釈とヘルメス メルクリウス主義考察等...だが、Queenの曲を聞きなおしたり彼らの歌詞やコンセプトをみなおしているときに、なぜ多くの人を引き付けるのかということを考えたりしていました。

ヘルメスや彼らのロゴになっている天文学 占星術と宮廷芸術ほかについても加筆します

「千年の暗黒時代の後、ルネサンスが花開く。エジプト、ギリシア、古代ヨーロッパの数多くの神々が召喚され、<古代神学>が大隆興。ヘルメス、ゾロアスター(ツァラトゥストラ)、ピュタゴラスら」(裏カバー)
15世紀フィレンツェのコンパクトで本格的な入門書。

プラトニズムの水脈とフィロソフィア、諸学はリベラルアーツ(自由学芸)として基礎教育のもとになっていることは重要なことで、エーロス論やパトス、ハルモニアなどの概念とも繋がっていく。・・・





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