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ミケランジェロ・ブォナローティは、自身を彫刻家(芸術家)として自覚していた。システィーナ礼拝堂天井画や同じく<最後の審判>のイメージが強く、また写真や映像を中心としたメディアになりがちな現代では建築や彫刻はその場にいくことで強くその作品のもつ力が感じられるものなのでもあり、また日本ではやはり芸術=絵画(二次元 平面)が好まれるのもあって、美術愛好者、アート好きもまだ彫刻、建築、フレスコほどには愛好者はいないかもしれない。だが私はもともとミケランジェロの”ノン・フィニート”の美学、アリストテレスの哲学とプラトンー新プラトン主義(また新プラトン主義的なアリストテレス解釈)が思想史・哲学と美術史におけるテーマなのでミケランジェロといえば彫刻であり、彫刻と一体化した建築なのだ。その意味で、この展示は、盛期ルネサンス、フィレンツェにおけるルネサンス美術・美術史、西洋史、またフィレンツェ考古学博物館、バルジェッロ国立博物館から多くの古代彫刻が展示されているので古代からルネサンス、新古典主義時代、そして身体と精神、物質と本質、技術とは何かそういうことに関心がある方なら得られるものが多いと思う。

もう一度行くつもりだが、覚書として。

ラオコーン摸刻が来日展示になっており(ルネサンス時代の摸刻)ヴァチカンの中庭のギャラリーにアポロン像などともにおいてあるのが本物だが、近くによってみることはできないので、今回は摸刻ではあれど様々な角度から写真がとれる機会となっている。

ラオコーンは丸彫り彫刻であって、複数の人物を表現しており、その角度によってあらわれてくるものが違う。そしてある角度からはみえない人々の心の動きや身体の躍動感、瞬間的にとらえた場面でありながら、濃密な時間を感じることができる。

いくつかの角度から撮影した写真を掲載しておきたい。

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ラオコーン
(ルネサンス期 1584年摸刻 ヴィンチェンツォ・デ・ロッシ)Roma 個人蔵

1506年1月14日ローマで発掘された。この作品の他にもう一つ1520年バッチョ・バンディネッリによる摸刻(ウフィツィ美術館)よりも小さい。図録P.138から<ラオコーン>について数行のみ引用しておこう。


「バンディネッリによる摸刻は、大理石で古代作品を原寸大のままコピーした近世における初めての作例である。群像(ラオコーンの古代オリジナルのほうを指す 筆者付言)が発見された同じ年の6月には、創作された韻文が早くもイタリア中で広まっていた。というのも、この像はすぐにウェルギリウスの詩の一部(『アエネイス』第二巻 40-231)と結び付けられ、さらにラオコーンに関するプリニウスの一節、すなわち極めて有名であると同時に人間の苦悩の表現において並ぶものがないという記述(『博物誌』第36巻 37-38)と関連付けられた(からである)(展覧会図録 P.138)




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大理石彫刻の裏側や側面からもみられる。(写真を後ろからとるとギャラリーの方がうつりこんでしまうので掲載しません。映り込みには配慮しています)


第1章は「人間の時代」(The Ages of Man:Canons of Beatuy from Antiquity to the Renassanse)と題されている。(美の規範 古代からルネサンスへ)

アンドレア・デッラ・ロッビア(Andrea della Robbia)の<理想的な若者の肖像>(聖アンサヌス Saint Ansano)彩釉テラコッタも素晴らしい。フェーゾレ(Fiezole)のバンディーニ美術館から展示されている。(Meseo Bandini)



ミケランジェロの彫刻では<ダビデ>(アポロ)が展示されている。私がバルジェッロ国立博物館に行った時は、最後の出口近くのギャラリーにあったはず。バルジェッロ国立博物館の目玉はドナテッロの間といわれるドナート、ドナテッロの<聖ゲオルギウス><マルゾッコ>(ライオン像)、洗礼者ヨハネ像、ダビデ(メルクリウスと見立てることもある)がある部屋で、ギベルティのダビデ像もある。今回はバルジェッロから来ているダビデ(アポロ)がみられる貴重な展示。
国立西洋美術館では洗礼者ヨハネ像


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http://ousia.livedoor.biz/archives/52455000.html

この展示にあるナポリのフレスコ画について 

Fresco;<ヘラクレスとテレフォス> ボッティチェリのフレスコ


ヴァチカンの古代彫刻ギャラリーもこのblog内に記事があります
(ラオコーン、ヴェルヴェデーレのトルソー、カノーヴァのアポロン他)


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