川越市立美術館の特別展で中林忠良 銅版画展が開催されています。(2017年10月28日より)


アーティストトーク&ミニコンサート

 11月3日(金曜・祝日)
 午後1時30分から2時45分(トーク) 午後3時から30分(コンサート)
アーティストに会おう

 11月3日(金曜・祝日) 午後3時30分から5時

が企画されていたので行って来ました。



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http://www.city.kawagoe.saitama.jp/artmuseum/tokubetutenji/toku-index.html

中林忠良銅版画展―腐蝕の海/地より光へ

会期

2017年10月28日(土曜)から12月10日(日曜)

開催趣旨

 日本の版画界を代表する銅版画家・中林忠良(1937− )は、「すべて腐らないものはない」という観念の下、白と黒のモノクロームで表現される銅版画の世界を追究してきた作家です。本展では、中林の作品を一堂に展示し、1961年以来56年間に及ぶ画業を回顧します。
 中林は、疎開先で体験した雪深い風景を原風景に、モノクロームで作品世界を表現してきました。1963年、東京藝術大学油画専攻を卒業後、同大大学院版画専攻に進み、のちの1989年には同大教授となりました。これまで各大学で後進の指導にもあたってきたほか、日本版画協会会員としても重要な役割を担い、2003年には紫綬褒章を受章、2014年には瑞宝中綬章を受章しました。 
 川越市に隣接するふじみ野市在住の中林は、当館とは開館時からの深い関わりがあります。地域の人々をはじめとする多くの方々に、中林芸術の神髄をお伝えできれば幸いです。

掲載作品

 1 《転位’11−光−I》 エッチング、アクアチント 2011年
 2 《暗界の譜》 エッチング、アクアチント、ディープエッチング 1974年
 3 《根》 エッチング、アクアチント 1962年
 4 《Transposition−転位−III》 エッチング、アクアチント 1979年


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上記は美術館HPより


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アナログ盤 "あなたがいるなら" (If you are here) "夢の中で(In a dream)" のジャケットになった1974-75年の作品も展示があります。"Mellow waves" のジャケットとなった作品は金子光晴氏の詩集に用いられていて、この作品は金子作品とともに中央の展示ケースに収められている。
テキストつきの作品は、中央二つ目の展示ケースに中上健二作品、そして中林忠良氏自身のテキストとまとめられいる版画装幀大型本。

アーティストトークでは、油彩から始まり(当時の芸大では油彩の専攻しかなく、野獣派がメインだった。しかし中林氏は師事した駒井氏のエッチング銅版画に強く惹かれて、銅版画へ)
Mellow Waves のアルバムとアナログ盤のジャケットになった作品群である1975年の時期には、フランスから帰国しほぼ銅版画で自分の思うとおりの作品・絵を表現できるようになった。私は展示を観るのは恵比寿につづき今年2回目だったのだが、特に<囚われる日々 機´后咫1974)<囚われる風景 掘筺1972) <剥離される風景 検筺1972)に惹かれた。 
自由に見える日常、社会、切り取られた画面の中で(TVなど)分断される風景、人と人の分断などむしろ今日的な感覚を覚える人も多いのではないか。私は70年代後半生まれ。
恵比寿の展示のときに行かれたかたの感想もみていたのだが、1975年頃の作品だったとしって驚いた方も多かったようだった。

透明なキューブ状に閉じ込められた自然や風景。
交差点と人々と風景。白と黒とグレーとそこに透明というテーマが入っているように感じた。この透明さ、クリアなようで封じ込められている。その静けさ。

「白い部屋」より「はじめに闇のおそう」は実際に作品をみると、後ろ姿の女性の奥にあるのはベラスケスのマルガレータの肖像が入っているようにみえる。絵画の中の絵画は、ラファエル前派でもみられるが版画の世界でモノクロームの中で朧げなたたずまい。もともとベラスケスの肖像も鏡を通して描かれた観るものと描くものの視点を外部に誘う作品だが、アート的なアイディアもとても興味深いものがあった。
中林氏がトークの中で、日本ほど版画が身近な国はなく、そしてよいところは改良する試みをもっていること、と話されていたがそのことも今展示室と作品をみていると思い出されてくる。

トークの内容を踏まえて、セクション靴任蓮Positionと転位と題された作品群では、ほぼ技巧的には自分の思い通りに表現できるところから、足元のもの、木々の枝、花、枯れた花などを精緻に表現する段階へ。
さらに腐食銅版画では、完成された版画の版を2時間ごとに腐蝕させていき最終的にはその形がなくなるまでを展示。版も展示されている。この腐蝕された版について、中林氏はリアス式海岸のような、自然が長く時間をかけて侵食して刻んだ形を想起するとお話しされていた。そうした時間が作り出すもの、完成した形から、腐蝕し変化する様子に完全な状態との差異、それぞれの良さ、味わいがあると話されていた。

白と黒の世界の表現でモノクロームゆえに光を強く感じるのにとても惹かれているのだが、靴ら犬離札ション、さらに2011年以降の作品、2017年の最近の作品のコントラスト、自然へのまなざし、他方空や宙、それをつつみこむ自然(上位のコスモス的なもの)が表現されている作品群がとても惹かれた。朝展示室へいき、1時間ほど観たあと、川越の街をあるき、午後からのトークと企画へ参加したのだが、とても見ごたえがあった。
「草が土になっていく過程、土も最初から土ではない、」そういった話もとても印象的だった。

中林氏は戦争中は新潟へ疎開されたそうで、そこでは雪のみの一色、白の世界でその静寂さが原風景になっているとお話しされていた。また、ようやく、石巻へいき、何もなくなってしまった漁村を目の当たりにされたそうで、その作品は6点の作品として《位置 ’17 光 検奸扮如ε検ε棔Π邸Σ此μ澄法,箸靴禿玄┐気譴討い襦

(私はこの作品の6枚のうち6 の作品に、いつかどこか の映像で表れている白(光)と黒の世界観の原形をみたように思えた)


オリジナル版画 文集 「版画とことばと供岼椶蹐時のはざまに(山のアトリエ日記)」(1993)の言葉テキストもとてもよかった。

アーティストトークの時にも質問させて頂いた。そして終わったあとにもお話しをお聞きできたのだが、文学を扱うときでもその世界を少しでも自分ならさらに表現していくというスタンスはあるという言葉がとても共感した。
たぶんそれが芸術だと思うし、テキストと文学、詩、絵画、あるいは音楽のよい関係(関連性 次に繋がるもの)はおそらくそうだと私も感じているからかもしれない。




版画にするサインと同じ書体でサインしましょうとお名前を図録とアナログ盤に書いていただきました!




mellow waves を聴きながら国道で行きました、この紙ジャケットは車内に置いていってしまいました。


川越市立美術館(KAWAGOE CITY MUSEUM)にて。11月3日。会期中もう一度いけたらと思っています。

入口には参考出品として、使用道具、技法別の版と刷なども展示されている。

はじめていったのですがとてもよい美術館でした。
(常設では猪熊弦一郎作品と、版画の東京の風景が印象的)
















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図録のほかCornelius 2017年の新譜 Mellow Waves(CD 紙ジャケット仕様 ジャケットに中林氏の作品が使われています。印刷自体も実は凝っているというジャケット。ぜひデータダウンロードだけではなくて、アートワークも...)

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同時開催で銀座でも新作展。ご案内をいただいてきました。





朝の開館まもなくから、まず中林忠良展を観、13時30分の中林先生による展示室でのお話しまで、本丸御殿へも。(一昨年喜多院へいったときには本丸御殿へはいけなかったので....こちらはまた別の記事に)



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常設部分も初めて観ました。猪熊弦一郎作品も展示されていました。