暴政 20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン [ ティモシー・スナイダー ]


暴政 20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン [ ティモシー・スナイダー ]




ティモシー・スナイダーの「暴政」(慶應義塾大学出版)を再読。ティモシー・スナイダー著 池田年穂先生訳。


20のレッスンと題されたそれぞれの章のうち 20 「愛国者たれ」の項をみてみよう。

「愛国心(パトリオティズム)」とは何でしょうか?愛国心に悖るものから始めてみましょう、」
この書き出しの2ページ後の文を引用してみたい。


「現大統領(トランプ氏を指している)はナショナリストです。ナショナリストは愛国者と同じかといえばまるで異なります。ナショナリストトは私たちに、私たちがなりうる一番ひどい存在になれとけしかけます。そのうえで君らは最高だと私たちに告げるのです。
ジョージ・オーウェルも書いています。「はてしなく権力、勝利、敗北、報復などについて考えているのに、しばしばナショナリストは現実の世界で起きていることにはいくぶん無関心なものだ」
ナショナリストは相対主義者です、というのも、唯一の真実が、私たちが他者を考える際に感じるルサンチマンだからです。作家のダニロ・キシュが述べているように、ナショナリズムは審美的にも、倫理的にも、なんら普遍性を持たないのです」(P.112)

「対照的に愛国者は、国民がその理想に沿って望みます。つまり、私たちに向かって、私たちがなりうる一番良い存在になるように求めるのです。愛国者は、自分の国を判断する基準である普遍的価値観をもっていますし、いつまでも自分の国がうまくいくように祈っていますし、自分の国が向上することも祈っています」


「民主主義は1920年代、30年代、40年代にヨーロッパで挫折してしあみました。そして今またヨーロッパの大部分に加え、世界のたくさんの場所で挫折しかかっています。私たちに対し、未來で起こりうることがどこまで陰鬱な広がりをもっているかを教えてくれるのは、そうした歴史と経験です。

   
ナショナリストならこういうでしょう。「ここじゃそんなことは起きないよ」この観方は大参事の第一歩なのですが。

対して愛国者なら、起こりうるだろう「けど、私たちはそれを留めなくてはならない。」    そう口にするのです。(P.112)


   
ティモシー・スナイダー 『暴政』 20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン




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ブラックアース(上) ホロコーストの歴史と警告 [ ティモシー・スナイダー ]
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