2017-03-31-14-50-25



3月31日の美術関係者・メディア向け試写会にて本作を観てきました。

ー「世界三大美術館といわれるのが、フランスのルーヴル美術館(1793年)、米国のメトロポリタン美術館(1870年設立)、そしてロシアのエルミタージュ美術館である。もっとも古い1764年設立のエルミタージュの歴史はエカテリーナ2世の317点の絵画コレクションから始まる---」

 本編は、エルミタージュ美術館、サンクトペテルブルグの広場から宮殿をギャラリーとして使っている展示室の様子から収蔵美術品を観ることができる美術館ドキュメンタリー映画である。そして、この美術館の歴史をたどることは美術と芸術と人間社会の関係を端的に表すエピソードも備えていることも特筆に値する。
 1719年にピヨートル1世が法王クレメンス11世から<タリウスのヴィーナス>を入手する。この古典期の大理石像にはピグマリオンのようなエピソードがあるが、これをきっかけに1764年、エカテリーナ2世は西欧諸国と軍事面だけでなく文化力を同水準とするためにコレクションを始めた。革命期、ナポレオン時代、世界大戦時と美術品は危機に晒され、実際には切り裂かれた絵画があったり、焼失した建築もあった。作品保護だけでなく、学芸員や研究者たちも強制的に職をはく奪されたり、強制労働によって亡くなった人も多かったという近現代史にも触れている。美は普遍的な意味を持ち、それを造形化したり保護してきた力とは別に破壊する力も台頭する。これらをどう考えるかも重要なテーマのように思われる。
 作品における革命のシーンは、『戦艦ポチョムキン』『イワン雷帝』などで知られるロシアのエイゼンシュテインテイン監督の『十月』(1928年)のシーンが使われている。エイゼンシュタイン監督の映像がスクリーンで観られる機会ともなっている。

 設立時前後から2014年のエルミタージュ美術館の記念年に至るまでの歴史、インタビューを背景に、美術館のコレクションが明瞭にスクリーンに映されるさまは見ごたえがある。
 手元に当日頂いたプレス向け資料があるので、登場する美術品を順に記載してみよう。

・エカテリーナ2世が着用した正装用ドレス(1767年前後)
・ベロット <ドレスデンのノイマルクト広場>
・ティツィアーノ <エジプトへの逃避>
・ラファエロ・サンティ <聖ゲオルギウスと竜>
・レンブラント <放蕩息子の帰還>
・ジョルジョーネ <ユディット>
・レンブラント <ダナエ>
・レンブラント <聖家族>
・スナイデルス <鳥のコンサート>
・ルーベンス(リュベンス) <修道士の頭部>
・ベラスケス <教皇イノケンティウス10世>

・ミケランジェロ・ブォナローティ <うずくまる少年> (彫刻)
・カラヴァッジョ (ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラバッジョ) <リュートを弾く若者>
・古典古代彫刻 <タリウスのヴィーナス>
・レオナルド・ダ・ヴィンチ <リッタの聖母>
・レオナルド・ダ・ヴィンチ <ブノワの聖母>


これに加えて印象派やキュビズムなどの絵画美術が登場する。ルノワール、モネ、ドーミエ、マティス、ピカソ、カンディアンスキー、ゴッホ、ゴーギャン...

レンブラント作品は、バロック期に主にカラヴァッジョ、カラヴァッジェスキによって描かれていたテーマが、むしろ彼の生きた時代の人々、服装、生活様式であらわされているので、その差異をみてとれるだろう。また、カノーヴァの彫刻<三美神>や古典古代期の彫刻のギャラリーはぜひ脚を運んでみたくなる展示室となっている。
ミケランジェロの彫刻は、制作年代は登場しないが、アカデミア美術館(Firenze)やルーヴルのいわゆる奴隷像から後期のピエタの中間にありそうな作品であって、ミケランジェロが作品を製作するときに「私は大理石から余分なものを取り除いだけである」という言葉を反映させる大理石像。彼のノンフィニートの作品にみられる、自然(大理石そのもの)を残しつつ、人の手と技術で美を形作るという特徴が見受けられるだろう。
レオナルド作品は<リッタの聖母>がレオナルドらしい作品でスフマートの技法と素描重視の調和がよく表れていると感じた。スナイデルス<鳥のコンサート>もぜひ見てみたい作品。
頻繁に現れるギャラリーにかかっている絵画・タブロー作品はいずれも大型で壁面いっぱいに、そして建築や内装にあわせて展示されている。コレクションの審美的な特徴は映像からもよく伝わってくると思う。



ロケはサンクトペテルブルグ、英国、ワシントンDC、オランダで行われている。
一つだけ付言したいのは、第二次世界大戦におけるイタリアはたしかにドイツとも同盟国だったが、もともと共和制と「ローマの娘」をアイデンティティとするイタリア・フィレンツェはドイツ軍によってポンテ・ヴェッキオを除く橋をすべて破壊されたり、都市のレジスタンス活動もあったため、当時のドイツ軍の庇護にあったわけではない。
戦争によって生成や美的なもの、生産的な活動、保護する力よりも破壊する力が働くことをやはり考えなければならない。それゆえに、エルミタージュ美術館も宮殿からパブリックな美術館として存在しており、「芸術作品は世界が所有する至宝。だからエルミタージュ美術館は万人に開かれている」(※資料より)というコンセプトで公開されている。

考古学、武具のほか、新エルミタージュ美術館はじめ建築と室内装飾も映像でみることができる作品。

4月29日から有楽町ヒューマントラストシネマ(有楽町イトシア)ほか全国で順次公開予定。

監督・脚本・製作 マージ―・キンモンス
出演 / ピオトロフスキー現館長、建築家レム・コールハース、彫刻家アントニー・ゴームリー、トム・コンティ
2015年 イギリス / カラー/ 英語・ロシア語 83分
原題:Hermitage Revealed 
後援:ロシア連邦大使館、ロシア連邦交流庁 (Rossotrudnichestvo)







映画『エルミタージュ美術館 美を守る宮殿』予告   トレイラー

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劇場情報ほか公式サイト:http://www.finefilms.co.jp/hermitage/

公式Twitter :https://twitter.com/hermitage0429


3月より公開されている「エルミタージュ美術館展」(六本木・森アーツギャラリー)
http://hermitage2017.jp/


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*なお当日はフィレンツェとピサで公認ガイドをなさっているY様と御一緒しました。















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