昨年に続き、ルネサンス研究会に参加・出席しました。

2016-12-10-11-59-10

2016-12-10-11-58-30

昨年参加し、来年か再来年に発表してみてはどうかというお話を頂いており、本来は発表者として出席するつもりだったのですが、今年は色々とありまして、納得のいく研究纏めができず・・・しかし、研究会にはぜひ出席をといって頂きまして、出席いたしました。

2016.12.10 午後1時より

[研究発表]

「ペストの流行とトレンティーノの聖ニコラウス信仰」(仮題)

………………………………………神戸女学院大学非常勤講師 河田淳


「ベンボ『俗語論』の亀裂〜文献学と《規範》の狭間〜」

……………………………………………京都大学文学部教授 天野恵


「君主鑑と暴君放伐論のトポス

――フアン・デ・マリアナ『君主と君主への教示』(1599年)の考察――」

……………………………………早稲田大学文学学術院教授 甚野尚志


IMG_0654



IMG_0653

IMG_0651



河田先生のペストとトレンティーの列聖とその詳細資料は大変興味深いものだった。また私は主にFirenzeのアカデミア美術館にあるような13世紀から15世紀の聖人画の変遷はわりとみているのだが、ベスト流行期(といっても長い)はまた新たな特徴があると思った。例えば、ミケランジェロの最期の審判では、キリストは裁く神として描かれており、もはやマリアもその裁きの厳しさに顔を背けて、とりなしの役割をおっていない。
対してトレンティーノを描いたものは、イエスもマリアも聖トレンティーノも、言葉を交わしあうように見え、もはや3名とも神と地上の疫病に対して、執り成しの役割をもって描かれている。
当時の人々の心象や不安はいかばかりのことか。
我々は資料や描かれた絵画、あるいは建築、彫刻などからその背景であったり社会情勢を知る手がかりを得ることができる。
河田先生が紹介された北イタリアの教会は、10月30日の地震で相当な被害を受けてしまったようだ。
また、やはり私自身がFirenzeにおける重要な聖堂の一つとして、サン・スピリト教会があるのだが今回もそこが一部出てきた。

IMG_0656

IMG_0655


俗語論については、イタリア語としてトスカーナ俗語を基にした言語と、例えばVeneziaの言語は差異があり、この成立課程を文献研究とベンポによるダンテ引用を具体的な例として詳細に説明されていた。
フランス語がアカデミー・フランセーズによって文法体系が出来た課程を少し学んだので、同じロマンス語圏の言語としてやはりその成立課程は興味深い。

IMG_0657


甚野先生が扱われた、ファン・デ・マリアナによる「暴君放伐」についてのテーマはフランス啓蒙思想への水脈としても関心があった。イエズス会は暴君放伐を認めており、そうなると暴君に対する進言などは日本史の中でも比較的16世紀には観られるように思うのだが、いまだマリアナの著作や暴君放伐論に対しての日本での研究はほとんどなく、かつ、日本では暴君放伐論がほとんど議論されてこなかったことはとても興味深い。
通常、あらゆる政体では、このことは議論されている。
日本での大学の歴史が浅いというのもあるかもしれない。
君主制とは、その君主の権限をいかに制限するかという議論はついてまわるものだと思うのだが(イギリス史における議会制定は王の王権の制限の制定と税制についての議論が最初だった)
大変に興味深い内容でした。今回の甚野先生の発表は、秋にトレントでの発表されたものを、ルネサンス研究会では日本語の資料を含めて報告されました。

IMG_0658



IMG_0650



ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村