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英国大使館後援の”クリスマスレクチャー”日本講演2016に行って参りました。2016年7月17日午後の回、東京工業大学)にて。開会時の英国大使館の方による説明ではクリスマスレクチャーは、日本では26回目、1990年から毎年行われてきた講演で、本国英国では190年以上歴史を持つ「クリスマスに科学からの子どもたちへのプレゼント」として行われているレクチャー。すばらしいですね。
以前からブリティッシュ・カウンシルからのお知らせで開催は知っていたのですが、今回娘とともに初めて参加しました。すばらしい公演でした。


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”How to survive in space?”宇宙でいかに生き抜くか

講師は、医師で国際宇宙ステーション(ISS)での健康管理や宇宙環境と宇宙飛行士の活動について仕事をするケビン博士。(Prof.Kevin Fong : 医師。宇宙空間や特殊環境下で長期滞在する場合の医療や生理学実験などについて研究。天文物理学、医学、宇宙航法学、宇宙工学の学位を持ち、ジョンソン宇宙センターで宇宙医療訓練を受ける。欧州宇宙機関(ESA)米航空宇宙局の数数のプロジェクトに参画)

講演はまず最初に、どうやって国際宇宙ステーションにたどり着くか? 英国で初めてISSに滞在した宇宙飛行士のTim Peak氏が宇宙へ向かう打ち上げ場面の映像からレクチャーは始まった。

軌道を目指す、すべてのロケットは垂直に打ち上げられたあと、東に向かうのはなぜか。
それは赤道に近いほど、地球の自転エネルギーを利用することができるからだ。その事をレクチャー・シアターで実験して説明してくれる講師の話はとても分かりやすい。こうした実験は,会場に集まった宇宙や科学に関心がある子どもたちや生徒たちが自らすすんで参加した。実験の補佐をしていたのは東工大の学生さんたちだろうか、とにかく素晴らしい内容だった。実験はテーマごとに行われて、10回近くあったと思う。

ロケット燃料、自転エネルギー、医学、化学、・・・宇宙という分野は多くの学知・知識が集まってできた研究分野だということがよくわかったのではないだろうか。そして、宇宙を目指すということには、それらの過酷な環境に適応できる身体とボジティブさもなければならないだろう、しばしばわが国では忘れられるが、伝統的教育は、知識だけではなく身体を同時に鍛えることでバランスを保ちながら培われるものだ。子どもの勉強を案じるあまりに座学だけにしてしまうことはよいことではない。
例えば、知が感覚・知覚でとらえた情報をもとに思考するならば、その元である身体は重要であるという基本的な事柄。小学生から高校生の教育で重要なのはその点だと思う。

具体的な事物を示しての説明が豊富で、曖昧なイメージで語られがちな宇宙、そして我々が生活している地球の、この世界との違いがとても解りやすかった。
例えば、エベレストを示して、酸素などの限界点、大気の層の薄さを示したりといったように。


また冒頭では、サー・アイザック・ニュートンのプリンキピア”PRINCIPIA”初版本も実物を示しながら(ガラスケースに入ったプリンキピアが登場)が紹介された。この本は、ラテン語で書かれた。それにニュートンは科学者でもあったが法学者でもあった。専門分野の知識の連携が重要で、英国の大学ではそうした環境が整っている。
我が国がこれから見直さなければならないのは、こうした知識の連携だと思うのだが...
新しい事柄を行うためには異なる知識からの発想・アイデアが必要だと思われる。

こうした極めて今日的、そしてポジティヴな観点をケビン博士は話してくれたように思う。

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我が国では専門知識を持った第一人者のかたが、一般あるいは子どもたちに向けて、こども向けではなく(将来のメンバーになりうる可能性のこどもたち)話す機会というのは限られている。子どもにはわからないだろうという思い込みではなく、知りたい、学びたいと思う子どもに対してのアプロ―チは十分だろうか。
今回初めて参加できてとてもよい機会だった。
ブリティッシュカウンシルからのお知らせで、何度か申し込む機会はあったものの、今回のレクチャーに参加できたことは私にとっても娘にとってもとてもいい機会を頂いた。
今後も注目していきたいと思う。




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