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舞台 <イコール -Equal - >の千秋楽を観てまいりました。
この舞台は、三上真史さんと辻本祐樹さんのお二人による二人芝居です。赤坂レッドシアター

(赤坂見附よりすぐ)。

2015-07-08-16-22-44

こちらの舞台は、まずステラ版/ルナ版の2つのVer.で1つの作品となっているようです。辻本さん、三上さんが出演されたのはステラ版。日程的に千秋楽の昼公演しか見られる可能性がなく。辻本さんの先行予約で申し込みさせていただきました。無事にチケットとチラシを受け取りまして(配送)チラシのデザインをみたときからお芝居が気になっていました。しかし事前の予習は、ほとんどせず、まずありのままを観たい、という気持ちで行きました。(つまり二人芝居であること、主人公たちの名前、その周辺で語られる人々数人、その程度だけおさえて観に行きました)

このお芝居、ほんとうに素晴らしかったです。理由は、レッドシアター内の客席に座った瞬間から、芝居の空間と時間に入れるようなセットと照明、こうした設定のお芝居をするのによい空間がまずできあがっていたためでした。持ち物や部屋の様子と最初に読んできた設定がすぐに結びつきます。
お芝居の第一印象、つまり二日目である火曜日二幕までは、自然に観ていられるでしょう。るフェアで(るフェアはDVDでしか見ていないのですが)観た三上さんであるとか、同じく頼朝を演じたときの辻本さんであるとか、または肺を病んだ二コラを演じるとき、ちょっと咳き込むと「・・・あ、池田屋事件(の沖田総司)」とリアルフラッシュバックしました。気さくな感じを演じているときの三上さんは、初期ラナンキュラスでTVに出ていたときのよう、なんて軽く思っていたわけですが、・・・・二コラとテオが「医者は病人を治すのが仕事、病人は治されるが仕事」という最初の台詞あたりから、なにかおかしいと気が付くわけです。そして一幕あいて5分くらのときには、これは肺を病んでいる二コラは体を病んでるがテオはどちらかといえば違った意味で病気かつ治らないものにかかっているな、と気が付き始めます。
創生記にかけた自然界創造の7日間をベースに、そこへ記憶や追憶と真実が織り交ざる劇なのですが、さらに複雑なのは二コラとテオ役が幕ごとに入れ替わっていることです。
つまりテオ役として出てきた三上さんは2幕では二コラとして机に座り、ニコラ役の辻本さんはテオとして外套、帽子をかぶり「部屋の外」から帰ってくる。そして似た台詞が繰り返されるのですが、そのときは役柄は同じながらも表現がまったく違うので、まずそこが魅力です。
水曜日、つまり三幕のあたりから客席はなにかがおかしいと感じるのではないでしょうか。
つまり、語られる事柄があまりにも少ないのです、これは何か無限ループのような状態になっていないか、時間の進みかた、現在はたしかに存在しているのか、語られる人物たちのすこしずつの異変は、ほんとうにわずかな変化なのか。・・・・夥しい本が積まれた小部屋で語られはじめるのは、錬金術について。つまり化学の前身です。パラスケスス、ホムンクルスといったことばを連想しますが、何か秘められたことがあると気づかされてくるのもこのあたりからです。

狂気とは何か。もし正気の人間がいるのだとすれば、それは別の狂気にかかっている。
自己同一性とは何を根拠にしているのか?
自分が何者であるか、マロニエの木の枝に気が付いて嘔吐感におそわれる瞬間のような三上さんの変化。
本当にそれがおきたかのような(実際にそのことを自覚しながら稽古が進んだのだろうと思うのですが)お二人の演技(というのもおこがましいが、正統な演技です)力、ことばと表情、声の表現力、アクション要素すべてによって「イコール」という作品の存在の確かさ、を感じた濃密な時間でした。すばらしかったです。

暗転するときの辻本さんの眼の光は凄い。意志を超えた意志をこの方はふと表すことがあるのですが(血風録の沖田が土方と真剣で勝負するとき、その前後と菊一文字の回など)あの、なんともいえない力がみなぎっていました。戦慄しますね。

DVDの予約を会場で行っているとTwitterのフォロワーさまからお聞きしていたので、予約しました。
しかしパンフレットを買えずに帰ってきてしまいました。といいますか、芝居空間がすばらしくて、しばらく下界(東京の日常)には出たくなかったくらいです。今もじゃっかん引きずってますが・・・

FBにまず第一感想を書いたのですが、照明がとても印象的。窓辺にたたずむ辻本さんの二コラは、ミレイの<マリア―ナ>のような黄昏感でした。とても絵になる舞台照明と映像、セットだと思います。
本があるとタイトルをかならず確かめたくなるのですが、オペラグラスでみてもちょっと判別はできませんでしたが、英語百科全集のような背表紙を確認...違うかも。
それからテーマや世界観は、19世紀の南ドイツあたり?と思ったのですが、17世紀末のようでもあり、三上さんの一幕の台詞はふつうに現代でもあるようなやりとりなので、常に突きつけれられてきた現存在の物語なのだと私は思っています。それから見ていて2000年最初のサウンドノベルかVPのフレンスブルグのような世界観でもあります。(先行でチケットと一緒に辻本さんの事務所からいただいたチラシのよると、18世紀初頭のヨーロッパ田舎町。とのことでした。サレルノあたりは中世からこうした研究がありFirenzeも早いです、名前と語られる出来事から考えると、フランスも除外されます、やはり南ドイツなのではないか、と勝手に想像していました。それから字幕が出るときの映像が、モノクロの世界樹っぽいイメージだったので)

はたして、私を存在しつづけることとは?
不死にあやかることは古代から考えられており、プラトン主義の伝統では転じて自己保存=アカデミックな水脈の継続、知の継承、血族地縁を超えた真なる伝統・・・こういうものも短絡的な眼では一括されてしまいそうですが、そういった意味でも、考えるところもたくさるテーマですし、純粋におもしろく、濃密なストーリーと設定の中で、垣間見えるユーモアもあって、そして鬼気迫る舞台でした。もし演技や表現の力が不足されている方が演じたら、成り立たないと思います。
素晴らしい舞台でした。

千秋楽とのことで辻本さん、三上さんから挨拶もされていました。見に来られなかった人も多いので(実際私も日程的に1日だけですし周りの観劇好きな人をお誘いできてなくて(7月初めが意外とあらゆるテスト期間にはいっている)一人で行きましたが、一緒に観て語りたい舞台でした。
ぜひ、キャストお二人が話されたように、ステラ版の秋公演を希望したいです。
(お二人は東名阪神?(信越?どちらかの真意は三上さんに聞かないとわかりませんが)

本当に観に行けてよかった舞台でした。



二人芝居 イコール Equal

脚本・演出 末満健一

ステラ版 三上真史 × 辻本祐樹

2015.7.2−8 赤坂RED/THEATER



2015-07-08-16-22-522015-07-08-16-12-41

会場にて。花の一部。
血風録の時代考証の山村さんや、NHK趣味園、る・ひまわりさんからのお花が来てました。

レッドシアター、見やすくていい劇場だと思います。機材も新しそう、演出映像も自然。


   

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