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スパンアートギャラリー、行って来ました!
伊豫田さんの、水彩画鉛筆画、青い帽子の作品、ヘルメスの油彩、オベロンの鉛筆画、同じくバシリスク。
ノヴァーリスの『青い花』。
ヘルメス(Ἑρμῆς Τρισμέγιστος)は、マルシリオ・フィチーノ、ピコらによって、古代神学と信じられた書の著者とされている。ルネサンス期にみられるヘルメス信仰の面影は隋書に発見できる。
「ヘルメス文書」は全訳があるが絶版であり図書館にはある 。と思ったが結局ヘルメス文書のほうも、買ったのだった!

私はこの一部抜粋がのっているグノーシスと宇宙論を持っている。フィチーノは、「ヘルメス文書」をプラトンの「ピレボス」と同時に訳す仕事をコジモから依頼された。この作業の困難さは想像に難くない。
この<ヘルメス・トリスメギトス> 画像では拝見していたのだが、大型の油彩で驚いた。
その精巧さ。<バシリスク>にもみらえるが、ギルランダイオやマンテーニャが手掛けた彫金装飾や大理石彫刻、壁龕のような精密さである。しかし機械的というよりは、もっと象徴主義らしい絵画としての美しさがまず第一に印象深い。

ミニアチュールをこえた新マニエリスム象徴主義。 
色彩を重視するならば、これまでの印象派という意味ではなく、新マニエリスム印象派といえるような作品群だと私は思いました。
様式を決めるのはそれほど重要ではないですが、しかしアートが現代にふと表出したカルチャーだとすれば、これらの作品は絵画・マニエリスムの水脈へとつながる作品という意味で、私はそう思いました。
そんな印象を持ちながら、水彩で描かれた、青い帽子の作品がとても印象深い。

伊豫田さんに、タイトルを後日確認したところ、

「ありがとうございます。あの作品は【ヨリンゲル】です。『ヨリンデとヨリンゲル』というグリム童話を元にしました。」 と回答いただきました。ありがとうございます。

ちょうどTwitterのスパン・アート・ギャラリーさんが画像でUPしているあたりのコーナーです。

帰り際に、伊豫田さんご本人様と、以前イベントでお会いした静さんとお話できました。

本日はお話しできましてありがとうございます、たまたまのタイミングでやっと伊豫田さんにご挨拶できた感じで、嬉しいです。作品は見ていましたし、以前版画をお問い合わせしたご縁もあり。

<オベロン>が女性フローラ神(というよりも花のベッドで眠るあの童話の姫のようでもある)のようなモチーフ、ヘルメスは私の研究に関わりあるので勿論関心が。
水彩と鉛筆の作品がマニエリスム新象徴主義 と呼んでも良いような美しさを持っていて新しさをかんじます。
技術は表現のために存在する、ということがよくわかる作品が多く。

水彩の色彩と、モチーフのフォルムがみえたときに、鮮やかかつ静謐さを感じる。
イマージュとしてのインプレッション。

できれば会期中もう一度足を運びたい展示です。


IFFAの企画展にはたびたび足を運んでいるのですが、私が注目していて好きな画風の作家さんは、浅野信二さん、古賀郁さん、伊豫田晃一さん、中島清八さんです。
さらに私が2年くらい療養であまり外出できていない時期があり、この数年で作品の技術、つまりテクネー、質料、形相というような、物質として生まれるはずの作品が、非物質的なもの、つまり精神性、存在の有を一目みて感じる作品になっているなあと凄いと思っている作家さんの一人が伊豫田さんの作品です。

フライヤー的なものが手元にないので、ぜひ作品についてはサイト等公式の情報をごらんになって下さい。

※ 伊豫田さんから展示のDMを郵送して頂きました!ありがとうございます。
記事に展示の画像を追加しました。




荒井献
朝日出版社
1980-10




柴田 有
勁草書房
1982-01-20


現在この柴田有氏の「グノーシスと古代宇宙論」にヘルメス文書の一部抜粋がある。
大変貴重な文献。この版は持っています。





永田町で用事のあと、有楽町のスパンアートへ。この日は良い天気でした。
(20日に観た後にメモ書きした記事を後日修正しております)



ノヴァーリス
岩波書店
1989-08-16


伊豫田晃一展 魔物語の肖像展 〜The Anecdotes in Demonology〜