牧神の午後 マラルメを読もう (慶應義塾大学教養研究センター選書)
牧神の午後 マラルメを読もう (慶應義塾大学教養研究センター選書) [単行本]


バレエ・リュス展(国立新美術館)開催中ですが、目に留まったのもあり書店購しました。
『牧神の午後 マラルメを読もう』は、マラルメの「牧神の午後」のフランス語原文、著者による翻訳、および解説が一読できる形になっています。

舞台芸術や近現代アートに興味があるならば、今日的にはドビュッシーあるいは、ニジンスキーによる<<牧神の午後>>を想起するのではないか。
本書でもまずドビュッシーの”「牧神の午後」序曲”を聴くことから導入部分が始まっている。

ニジンスキーは、自らが振りつけたこの作品のアイデアとしてルーブル美術館にあるおびただしいギリシアの壺絵、特にプロファイルのアプローチに注目したようだと言われている。また跳躍で有名になったニジンスキー自らの振り付けは一切跳躍せず、横スクロールする方法で演出されている。

私が観た舞台はマラーホフと吉岡美佳による東京バレエの公演だが、映像で確認できる中でもっとも秀逸だと思えるものは、シャルル・ジュド(牧神)、ピエトラガラ(ニンフ)の映像があげられる。

牧神とニンフ、これらがマラルメの原文と照らし合わせられたとき、双方そしてテーマ自体が、「不在の花」なのだ。端的にいえば、実在しえないものをいかにリアルに(矛盾するようだが)表出させるかということなのだ。


ここのところ論理的なことを考えていたので、気分転換的?、くわえて慶應大出版フェアもあり詩・詩論を読もうと思ったわけです。

同様の演目でいえば<<薔薇の精>>で、マラーホフ、イーゴリ・コルブ(ボリショイ×マリインスキーガラの時だと思う)、エトワール・ガラ時のマチアス・エイマンが私の観た中では最高のものとして記憶されている。
(特にマチアスのついては バレエ・リュスへのオマージュ という過去記事で書いたことがある)

Bunkamuraのインフォメーションで、キエフバレエの公演案内を見たが、日本初で<ショッピアーナ>あるいは<レ・シルフィード>が公演される。 グランドバレエでないバレエ・ブラン(白)。かつて藤沼花奈先生と小林京奈先生が踊られるときにリハーサル前にVHS を出演するクラス生は見せていただいたらさしい。

話をマラルメに戻すと、最初から最後の行まで、同じテンポで全編を読むということを目的としており、コンパクトながら解説も含めて得るものが多い。


ニジンスキー 神の道化

ニジンスキー 神の道化 [単行本]


シャルル・ジュド(牧神)、ルグリ(薔薇の精)、ピエトラガラ・・・あのパリ・オペラ座の公演を収録したDVDは参照てきるように継続的に販売してほしいと思う。