TVをあまり観ないので話題になっていた作品を後から観て驚嘆することが多いです。

『新選組血風録』(2011/NHKBS)を観ました、いや観ています。
原作は司馬遼太郎で何回か映像化されているようですが、2011年版、なかなか見ごたえあります。キャスト配役がなんとも自然です。
沖田総司役の辻本祐樹さんが素晴らしい。
朗らかななかに剣をふるうものの修羅が棲む感じ、身のこなし、形の美しさが自然によく出ているのが清々しい。放送当時も賛辞があったという殺陣はちょっと神がかっています。何度か見直してしまいましたが、残像がのこる美しさ。台詞の言い方も好きですね。

原作ファンの方によると、ここまで動くのはリアルじゃないという意見もあるようですが、原作から生まれた新たな媒体としてのドラマ。見せることで可能になり広がる表現。
そこで沖田という卓越性を一目で表現できているのはやはり凄いことなのではないでしょうか。

他に斉藤一、原田、土方歳三、山崎烝などもとても自然で純粋に話や世界観を楽しむことができます。ちょっとしたやりとりの中で感じられるリアリティ、存在感がいい。

それから町人・商人、会津藩主なども役柄にあっていて入り込める。
鴻池を演じる近藤正臣さんがいることで世相と時代をより感じることができる。
かつての「黄金の日々」などで感じられるような秀逸な演技。いや演技という言葉も違和感が生じるくらい、役に生命が吹き込まれている。

衣装もお着物の素材や色が綺麗です。
新選組の設定で作られる映像は多いですが、衣装の質感・生地感などが悪いと入り込めません。

配役の妙は、かつての『新選組!』(大河)の山南さん(境雅人)以来のよさ。
(この大河は好きで観ていましたが、山南切腹の回以降ショックで観るのが非常につらくなったのを思い出しました...)

時代劇なのですが、描写は現代的なところもあり、個々のドラマと細かくパーソナリティを描き出す手法で、事柄だけをおったものではないのも特徴かと思います。
全12回.こうした特質のためか続きものですが一話独立(海外ドラマ/NCISのような)としても観ることが可能なところがいい。連続性をもちながらも、一話一話にテーマがあるため見応えがあります。

当時もBSは入っているので見られたはずなのですが、たぶん多忙で観られなかった。
それに2011年4月放送だったので当時はまだまだ世相的に大変でした(今も根本的には解決していないのですが)首都圏は計画停電で仕事の時間配分が大変だった記憶があります。
放送された時期がよかったとはいえない、遇有性を意識しつつ、良い作品だと思うのでまだ観ていない方は是非、といえる作品です。


地上派NHK、CS等で再々放送、やはり原作ファンの方が希望しているという続編を希望したいところです。同じ配役で観たいと思える秀逸な作品です。


新選組血風録 DVD-BOX1【DVD】


第11回菊一文字より

セル版のほかレンタルでも視聴化。できればNHKは再放映して欲しい。