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ミケランジェロ展の告知が出ていました。
ミケランジェロ、ドナテッロ、マザッチオ等ルネサンスの神髄は、建築、空間と一体化している作品のため、現地に行かなければならない。その価値は十二分にある。
今回はおそらく、カーサ・ヴォナローティの作品などが出品されるだろう、またミケランジェロの「動かせる」作品はフィレンツェのいくつかの教会と博物館、カーサ・ヴォナローティを数年で移動することがある。(ガイドブックとの相違理由)短期間の滞在ではそれらを探すことも困難なことがあるので、「動かせる」作品だけでもこうして企画展示されるのは重要なことだと思う。

しかし同時に、彼の芸術の真髄は「動かせない」ものたちなのであって、本来の芸術とは「持ち運ぶ」類のものではない。(タブローが芸術ではないといいたいわけではない)
ミケランジェロは、自然の石(マテリア・質料そのもの)と人間の知・技術・想像を対比させるためにあえて同時に存在させている。未完成の美(ノンフィニート)は、「完了」していないために、観るものと作品を同時に引き合わせ、観る者との間に対話を生じさせるのだ。
先日、ルネサンス思想について質問を頂いたときに、フィレンツェで観るべき作品とは?と聞かれたが、サン・ロレンツォ教会・メディチ家礼拝堂、サンタ・マリア・ノヴェッラ教会、バルジェッロ博物館は絶対にはずせない。ミケランジェロ研究をしていれば、カーサ・ブォナローティもまた外せない。
ミケランジェロの芸術はおそらく、それを目にして遭った時に生まれる数々の問いと生きた感情の共有を可能とする。

何が言いたいかというと、彼の作品はドナテッロやブルネレスキの作品とともに、目の当りにしないと凄さがわからないのであって、日本におけるイタリア年の最後の展示になるこの展示をみた人が、本物を観たい/観なければ、と感じて貰えたら幸いだし、(せっかく)イタリアを訪れる人がもっと「スタンダール症候群」のような目的を持って赴いてもらえたらよいのではないかと思っている。


The Renaissance Philosophy of Man: Petrarca, Valla, Ficino, Pico, Pomponazzi, Vives (Phoenix Books)
The Renaissance Philosophy of Man: Petrarca, Valla, Ficino, Pico, Pomponazzi, Vives (Phoenix Books) [ペーパーバック]