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図書館に資料を取り寄せリクエストし、その期限もあって、終了日の7月14日に目黒区美術館に立ち寄りました。ramaramaのyukiさんに教えていただいたのですが、この展示は横須賀美術館の巡回展だそうです。横須賀にはなかなかいけないので、膝の痛みや体調はあまりよくなかったのですが、・・・むしろそれゆえに、最終日に観に行くことができて良かったと思っています。
モリス商会のステンドグラスは、ファブリックのデザインやタイルのデザインもモリスデザインが細かく反映されていて、色彩も、モリス特有の自然界にある色彩がステンドグラスにも使われていました。
大理石の質感も表現されていました。

*このブログにのせている画像はすべて私自身が購入した図録からのものです。

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ミレイの「目覚め」ーー「眠り」と対の作品とのこと。(図録より)
表情といい、ファブリックの質感といい、詩的な表現といいしばし作品の前で立ち尽くしてしまいます。



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ステンド・グラスのための、バーンジョーンズの天使。カタリナの復讐をする天使。
ラフェル全派では、ゴシック美術のときのように天使が女性的ではなく本来的な意味合い、すなわち、秘密を告げるもの、中間的なもの、人間と神的なものの中間として描かれているので、それも好きな理由です。


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思っていたよりも大きなタピストリー。
「マギの礼拝」を主題にしながら、植物の描写、色彩も美しい。タピストリーの間(ヴァチカン)などでは古い作品を多くみられるが、19世紀のラファエル前派のものは精緻かつとても新しく輝いてみえる。


ウォルター・クレインの作品も多くみられてよかった。
アーツ&クラフツ運動では、芸術のための芸術というモットーと、実践的手仕事、労働の賛歌、自由(リバティ)、パリコミューンを記念した作品など、そのテーマは複雑かつ、いかに人間が人間らしく、智と技術を受容したコミュニティとして生きられるかということが模索され、目にみえる作品となったのが特徴だと思っている。

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ウォルター・クレイン <<自由>> リバティ 


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同じくウォルター・クレイン。
芸術、音楽、彫刻などの学芸と人間の五感すべてを盛り込んでいる。古代ギリシア・ローマ風の中に、アジアの磁器も描かれている。祈りの対象は「美」を具現化したもの。



そして何よりも、以前から見たかったウォーター・ハウスとイヴリン・ド・モーガンの作品が見られて、しばし失われていた何かを取り戻したような気持ちになった。
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特に、イブリン・ド・モーガンの「フローラ」が観られたことは私にとってはとても重要なことでした。
画家の叔父がフィレンツェにいたために、ボッティチェリ(アレッサンドロ・フィリペピ)の影響を彼女なりに受容し、油彩として描いている「フローラ」。

「ウィリアム・ド・モーガン展」(パナソニック美術館)で、一時イブリンの作品が出品されるといわれながら結局見られなかったので、今回は会場に来るまでウォーターハウスやイブリンの作品があるとは知らなかったのだけども、見ることができて良かった。各国や個人蔵の作品も多かったので基調な機会だった。図録の印刷も実際の作品に近かった。いつか、イブリン・ド・モーガンの作品「死の天使」がみられるとよいと思っています。

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フィレンツェ絵画のように、野の花がたくさん描かれている。
再生と春(プリマヴェーラ)をイヴリンなりに花の女神フローラ(フィレンツェ・フローレンスは花の女神フローラから取られた名前)として描いている。

そのほかに、モリスがデザインした中世のチョーサー体で出版した書籍(350部印刷)なども見られてよかった。
(私はやはり出版と制作、デザインと生活ということを考えてしまうため)

またモリスは、人が大学を出るともう何も学ばないということを当たり前と思って生きていることに常々疑問を感じていて、それを実践していた人だと思う。その点も、デザインとともに興味深いところでもあります。

大量生産と大量消費、大量廃棄、ほんとうの豊かさが何か、こうした問題は今も根深く透明になっている。

そしてそれを感性主義でも理論だけでもなく取り組み、目に見える作品として残してくれたことが重要だとアーツ&クラフツ運動に関して私が思っていることでもあるのです。
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目黒区美術館は初めて行きましたがなかなか落ち着いて作品をみることができました。
ただ、膝と腰を痛めている私としてはちょっと?やはり無理した感はあります。
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(コーネリアス・リスナーの私はなぜか目黒川周辺をあるいているときある原風景の中にいる感になります)

電車で移動し、5冊資料と文献をうけとり、外は暑い(といっても私は冷え性なので夏はつらくはないのです)ですが図書館の裏の木陰でレーヴィの短編「天使の蝶」と「パイドロス」を読みました。

それに関してはまた別の機会に書きたいと思います。

追記です

目黒区美術館にてこの展示に関してのアンケートを記入したところ、「スケッチブックの使い方」展〜描いたり歩いたり、そしてまた描いたり〜(7/23(月)−9・19(日)同美術館にて) のチラシと招待券を送っていただきました。期間中に脚をはこべたら、と思います。
中高生のころはよく絵ばかり描いていました。勉強の息抜きが絵か料理かという・・・

今もあまり変わらないといえば変わらないような?

いつかゆっくりスケッチや風景を描いたりするような時間ができるようになるでしょうか・・・