NBSからのお知らせが届きました。

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<マニュエル・ルグリの新しき世界II>の出演者が次のとおり
変更となりなりました。
東日本大震災および福島第一原子力発電所の事故の影響から、
このような大幅な出演者、プログラム変更が生じましたことを
心よりお詫び申し上げます。

一度はこの公演自体を中止せざるを得ないところまで追い込まれておりましたが、
マニュエル・ルグリの粘り強い情熱が、この公演を実現に導きました。

原発事故の影響を危惧し来日を断念したのは、オレリー・デュポン、
イルゼ・リエパ、およびウィーン国立バレエ団のオルガ・エシナ、
マリア・ヤコヴレワ、キリル・クルラーエフ、エノ・ペシ。
また、ロマン・ラツックとウラジーミル・シショフは怪我のために
来日できなくなりました。
代わりまして新たに、マリア・アイシュヴァルト、バルボラ・コホウトコヴァ、
ドミトリー・グダノフ、ウィーン国立バレエ団からは木本全優が出演いたします。

この出演者の変更にともない、プログラムが下記のとおり変更になります。
マニュエル・ルグリは次のメッセージを寄せておりますが、
この困難な時期における氏の尽力に感謝するとともに、皆さまにおかれましても、
このような事情をご賢察いただき、何卒ご了承を賜りますようお願い申し上げます。


公益財団法人日本舞台芸術振興会



◇マニュエル・ルグリからのメッセージ◇―――――――――――――――――――


日本の愛するファンの皆様へ

それぞれのダンサーが来日するか否かを自身で決定するという厳しい状況の中、
予定していたプログラムと出演ダンサーを変更せざるを得なかったことを
遺憾に思います。
しかし、私は日本の皆様への愛情と支援の気持ちを表すため、
ぜひとも来日したいと願い、その気持ちを共にする仲間のダンサーたちが
私と一緒に来日してくれることになりましました。

プログラムは当初私が思い描いていた《マニュエル・ルグリの新しき世界》では
なくなってしまいましたが、最高のパフォーマンスを披露しようという
ダンサーたちの熱い想いと団結力を証明するものに変わりはありません。 

オレリー・デュポンの代役をマリア・アイシュヴァルトに依頼したことで、
私がオネーギンとして最初に踊ったタチヤーナと、再び踊る機会を得ることに
なりました。
フリーデマン・フォーゲル、ドミトリー・グダノフ、パトリック・ド・バナが
参加します。また、ウィーン国立バレエ団のソリストからリュドミラ・コノヴァロワ、
ニーナ・ポラコワ、デニス・チェリェヴィチコ、ミハイル・ソスノフスキー、そして
同バレエ団で最も才能あふれる日本人ダンサー、木本全優を皆様にご紹介いたします。
加えて、魅力的な個性を持つバルボラ・コホウトコヴァもこの公演に参加してくれる
ことになりました。
吉岡美佳、上野水香をはじめとする東京バレエ団がプログラムに理想的な輝きを
添えてくれるでしょう。

大きな悲劇に見舞われたにもかかわらず、皆様がこれまでと同じように公演に
お運びくださることを信じております。
皆様にお目にかかれるのを楽しみにしています。

心からの賞賛と敬意を込めて
マニュエル・ルグリ


<マニュエル・ルグリの新しき世界II>――――――――――――――――――――


■出演者

マニュエル・ルグリ ウィーン国立バレエ団 芸術監督
☆マリア・アイシュヴァルト シュツットガルト・バレエ団 プリンシパル
☆バルボラ・コホウトコヴァ ウィーン国立バレエ団 ゲスト・ソリスト
フリーデマン・フォーゲル シュツットガルト・バレエ団 プリンシパル
☆ドミトリー・グダノフ ボリショイ・バレエ プリンシパル
パトリック・ド・バナ 振付家、ダンサー

リュドミラ・コノヴァロワ ウィーン国立バレエ団 ソリスト
ニーナ・ポラコワ ウィーン国立バレエ団 ソリスト
デニス・チェリェヴィチコ  ウィーン国立バレエ団 ソリスト
ミハイル・ソスノフスキー ウィーン国立バレエ団 ソリスト
☆木本全優 ウィーン国立バレエ団 準ソリスト

※☆が新しく加わったダンサー



■プログラム

<Aプロ>
7月13日(水) 6:30p.m./7月16日(土) 2:00p.m.

「ホワイト・シャドウ」
振付:パトリック・ド・バナ
音楽:アルマン・アマー
衣裳:高井秀樹(Stodja)
マニュエル・ルグリ、パトリック・ド・バナ
吉岡美佳、上野水香、西村真由美 ほか東京バレエ団

「海賊」
振付:マリウス・プティパ
音楽:リッカルド・ドリゴ
リュドミラ・コノヴァロワ、デニス・チェリェヴィチコ

「マノン」 第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マスネ
バルボラ・コホウトコヴァ、フリーデマン・フォーゲル

「アレポ」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:シャルル・グノー/ユーグ・ル・バル、エリザベット・クーパー
ミハイル・ソスノフスキー

「ラ・シルフィード」 第2幕
振付:ピエール・ラコット(タリオーニ版に基づく)
音楽:ジャン=マドレーヌ・シュナイツホーファー
ニーナ・ポラコワ、木本全優、
ほか東京バレエ団

「白鳥の湖」より、"黒鳥のパ・ド・ドゥ"
振付:マリウス・プティパ/ルドルフ・ヌレエフ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
リュドミラ・コノヴァロワ、ドミトリー・グダノフ、ミハイル・ソスノフスキー

「ファンシー・グッズ」
振付:マルコ・ゲッケ
音楽:サラ・ヴォーン(「ハイファイ」「ウェイヴ」)
フリーデマン・フォーゲル ほか

「オネーギン」第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
マリア・アイシュヴァルト、マニュエル・ルグリ


<Bプロ> 
7月15日(金) 6:30p.m./7月17日(日) 2:00p.m./7月18日(月・祝) 2:00p.m. 

「ビフォア・ナイト・フォール」
振付:ニル・クリスト
音楽:ボフスラフ・マルティヌ
ニーナ・ポラコワ、ミハイル・ソスノフスキー
東京バレエ団

「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ/ルドルフ・ヌレエフ
音楽:ルドヴィク・ミンクス
リュドミラ・コノヴァロワ、デニス・チェリェヴィチコ

「モペイ」
振付:マルコ・ゲッケ
音楽:C.P.E.バッハ
木本全優

「椿姫」 第2幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイイヤー
音楽:フレデリック・ショパン
マリア・アイシュヴァルト、フリーデマン・フォーゲル

「クリアチュア」
振付:パトリック・ド・バナ
音楽:デム・トリオ(トルコの伝統音楽)、マジード・ハラジ、ダファー・ヨーゼフ
上野水香、パトリック・ド・バナ

「マノン」 第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マスネ
ニーナ・ポラコワ、マニュエル・ルグリ

「サイレント・クライズ」
振付:パトリック・ド・バナ
パトリック・ド・バナ

「グラン・パ・クラシック」
振付:ヴィクトール・グゾフスキー
音楽:フランソワ・オーベール
リュドミラ・コノヴァロワ、ドミトリー・グダノフ

「カノン」
振付:イリ・ブベニチェク
音楽:パッヘルベル、J.S.・.バッハ、ホフステッター、オットー・ブベニチェク
デニス・チェリェヴィチコ、ミハイル・ソスノフスキー、大木全優

「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
バルボラ・コホウトコヴァ、フリーデマン・フォーゲル

「オネーギン」第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ
音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
マリア・アイシュヴァルト、マニュエル・ルグリ

※表記の出演者・演目は2011年6月21日の予定です。 
※演奏は「椿姫」はピアノ、その他はすべて特別録音によるテープを使用します。

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私はBプロへは行く予定です。
正直なところ、オレリー・デュポンは最初から来日しないのではないか、と思っていましたが、リエパが断念したのはとても残念です。
それでも、フリーデマン・フォーゲル、パトリック・ド・バナが来日すること、彼らの舞台と作品がみられること、ルグリの意思によって公演自体が行われることはよかったと思います。

ただこの種の公演中止、来日断念のニュースを聞くたびに、「私たちはここに住んでいる」ということをどのくらい来日する「芸術家」「アーティスト」は意識しているのだろうかと思うことがある。
芸術家として生きることとは何か。

ヨーロッパやロシアが夏はほとんどオフシーズンでバカンス期間のため、日本でガラ公演を行うことはほぼ恒例化してきていた。しかしそれは、ダンサーやアーティストにとって、原発事故や放射能の危険を考えると「割に合わない仕事」と捉えられているのならば、正直なところ残念な気持ちになることが多い。

そして放射能の濃度測定に関する話題はテレビ・メディアでは盛んだが、最近では原子炉自体がどのような状況になっているのかを伝える報道は減っている。まさにメディアは「見せながら隠す」という側面がある。

以前観たマリア・アシュシュヴァルトの「オネーギン」のタチヤーナは素晴らしかったし、「カノン」も今まで2回観ているので今回は3度目になる。バナの舞台は感想とルグリのドキュメンタリーで見聞きしただけなので、期待しています。しかしやはり「新しい世界供廚搬臧に変更になったプログラム内容には、公演中止となった「ニコラ・ルリッシュとパリのエトワールたち」の公演同様に残念です。