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三田文学名作選をようやく手元におくことができました。
創刊100年ということで、江藤淳氏、小川国夫氏など多くの作品が選集として収録されています。
埴谷雄高氏の文も・・・埴谷雄高氏の葬儀・お別れの会には私も脚を運んだ。棺に入ってスーツをその遺体にかけられた姿と、読んだ作品、短編集(「虚空」など)が交錯した。精神と肉体について、死とは何か、しかし言葉とは何か、そういったことを思った。会のなかでは現代(当時)の作品についての批判も含めて、文学の意義が語られた。
新宿で行われたその会には小川国夫氏の姿もみかけた。
私は当時19歳だったのだが、今もそれはよく記憶している。

(ただし埴谷氏の作品や考えについて私は全面的に肯定したり、心酔はできない。家族は面識もあり、吉祥寺の家に訪れたり、演劇を介して大変につながりをもっていたようなのだが。理解することはできる、動機も意義も理解できる。それでも全面的に心酔や嘆息はできない。そして多くの読者がまるでファンタジーのように文庫版をよんでいる現状にも迎合できない。いまだに心酔している人が、革新とか精神のリレーといったことがらを正しく理解しているのかどうか。私にはその点も疑問にも思うのだが・・しかしながら10代のときに「最後の審判」を通じて提出された問題は今の自分にもやや残ってる問題意識でもある。はたして、私たちは自分が正しいと「思う」ことには無批判あるいは無自覚なのではないか。アイデンティティと正当性と、他者性は無関係でいられるのか?)

江藤淳氏の漱石についてのテキストを読み返したいと思った。
高校生のとき、17歳くらいのときか、私は柄谷行人氏の「漱石試論」「近代日本文学の起源」を薦められて読んでいたのを思い出した。

三田文学選集についての刊行はしっていたのですが、会を通じて入手できてよかったと感じます。100周年記念のブックカバーも頂きました。
本をつねに持ち歩いている私にとってはありがたい記念品です。


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桃の花と、自宅にある雪柳が芽吹いてきたので一緒に活けました。
フィリッポ・リッピの大判のカードは、フィレンツェで購入したものです。

先週右目をいためてしまい、お返事、ご連絡などが遅くなりもうしわけない限りです....

:: 拍手お返事::
2011.02.19 20:28 浜小僧パリ・オペラ座バレエ ルネサンス精神とアカデミーの技芸
たいへん参考になりました。ありがとうございました。
記事をお読みいただきありがとう御座いました、あくまで私見と推論過程
の見解ですが、単に装飾的なもの、華美なものが本質ではないと思うゆえでもあります。