もう随分と日がたってしまったが、<フランダースの光>展はすばらしい展示でした。
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特に最初のセクションの風景画が素晴らしい。
光に充ちた森林とその奥には、画家の目が捉えた自然の調和、光によって感得されるもの、が無言のうちに表現されている。
絵画や創造物というのは、自然物質にしてしまえば、顔料でありキャンパスや板絵である、しかしそれは当然、物質としての価値ではない。
絵画芸術は、平面なキャンバスにおいて、自然そのもの、光といったものがあらわされるからである。動画のように時間的制約ももたない。


アルベイン・ヴァン・デン・アベール<春の緑>がすばらしい。光にみちていて、自然主義と神秘主義がどちらも自然に描かれており、なおかつ生きた風景として描かれている。
ホフマンスタールがいう「魂ある自然」とよんだもの・・・それと画家の心象が重なる風景が多かった。ベルギーのある川の流域をめぐる様々な視点。エミール・クラウス<ピクニック風景>
アンナ・ド・ウェールト<6月のわたしのアトリエ>
も印象にのこる作品。大きさも想像していたよりもずっと大作で、丁寧に仕上げられている。ベルギー王室コレクション、ゲント美術館からの作品が多かったが、個人蔵も多かった。

田園の人、都市から訪れた人、こうした表現のなかにも、産業革命に対する、ジレンマ・・・が静かに描かれている絵もある。

後半にしたがい、色彩と光はすがたを潜める。
ドイツ表現主義の影響のもとに、同じ川をめぐる人々、風景、主題も変化する。同じ画家ですら、その変化は顕著である。

図録を最後まで買うかどうか迷ったのですが、ロシア風景画展以来、見応えのある展示だった。ramaramaのyukiさんありがとうございました