フランク・ブラングィン展の感想を!少々慌ただしい日々になってしまい、詳しい感想は遅くなりましたが、とても見ごたえのある展示でした。
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実は展示があるまで知らない画家・アーティストだった、ブラングィン。
すばらしい作品ばかりです。リーフレットにある<りんご搾り> <海賊バカニーア> は実際にみると、とても大きい油彩作品で、しかも完成度もとても高く、だんだんと小さいタブローになっていく近代のなかで珍しい。同時に現代への橋渡し的な意味も感じられる作品。現代アートへいたる中でエゴや感覚的作品が増えていく中で、主題としてのモデル、リアリティと絵画としての表現の均衡が興味深い。一見、鮮やかすぎるように見える色彩も、印象の鮮烈さとバランスの妙によってとても美しい。近代の印象派からアールヌーヴォーを経たコントラストの絵画作品だと思う。

ブラングィン展をおすすめしてくれてご一緒してくださったArt Life DiaryのHeyselさん、ramaramaのyukiさん、当日はありがとう御座いました!UK-JAPANの原美術館でのジム・ランビーのプレビューイベント以来3人でご一緒できてとても嬉しかったですし、色々お話できて有意義な時間が過ごせました。ありがとう御座います。


大画面のキャンバスによって、壁面装飾の仕事をしたブラングィンは、空間やその場に集う人々の視覚の中に、特別な空間の印象と、美と映るビジョンを模索したのではないか、と思う。
<白鳥>では白鳥に、植物レリーフのような、優美な曲線が薄い影のように映りこんでいる。鮮やかなオレンジや緑の色彩は、構図とのバランスの中で鮮烈ならがも美しい。美しい、とは調和が保たれていることが含まれるが、もうひとつは、素描と色彩がともに力強いことである。素描は、絵画の本質であると長く考えられてきた。そのことはやはり重要だと思う。

壁面装飾は、自然光がどのように入り込むのか、視点はどうなのか、そういったこともおそらく計算されている筈。自然光が入り込む空間におかれていれる様子は、大画面の映像で見ることができます。
しかし、失われている作品も随分と多く、美術や創作にとっては受難の時代だったことも窺がえます....


エッチング作品のブリュージュを題材にした風景と人物の作品もすばらしい。<ハンニバル号の解体>もまたすばらしい作品である。精緻で、陰影が印象的であり原画の素描が生きている。船員をしながら、画業を行ったブラングィンの特性が現れている作品である。

また、木版画の作品はモノクロームの中で陰影が強調されるエッチングと比べて、更に原画の魅力に気づかせてくれる。

<慈愛> <市場の露店>もまた光の描き方がとても印象的である。
画家の目線が、再構成されている。光の強さ、そこに居合わせたような街や人々の存在が伝わる作品である。



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「白鳥」のポストカードは早速飾ってみましたが、もっと違うフレームにいれて自然光があたる場所に、置きたいです。

ロイヤル・アカデミー・オブ・ロンドン、カナダ・ナショナル・ギャラリー、ウィリアム・モリス・ギャラリー、ブローニング美術館(ブリュージュ)、そして多くの個人蔵の作品が一同に見られる機会はあまりないだろう。
日本では初めて、回顧展も2回目という貴重な機会である。美術の値打ちは、見る人それぞれが受け取るもの。ぜひ、多くの人に見てもらいたいと思う。美は他人の価値観にはよらない。しかし、多くの人にとって美と移るものには、普遍性もある。

ブラングィンの原画で、漆原由次郎が彫りと摺りを行ったブリュージュの町並みや橋のある風景を題材にした版画のセクションもとても見ごたえがある。モノクロームのエッチングとは違う、魅力が多種の摺りによって、見ることができる。

それからブラングィン展と併せて開催されている素描・習作展では、普段展示されていないギュスターヴ・モロー作品が展示してあり、感激しました。こちらは額絵を買ってきました。

マラーホフを観に5月に東京文化会館へいく際に、ぜひブラングィン展の図録も購入したいと思います。