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先日記事にも書いた、メディチ・リッカルディ宮(パラッツォ・メディチ)の中庭です。レモンの木や彫像がローマのヴィラ的なものを感じさせます。冬でもレモンの木と緑が鮮やかで、石造りの町並みからこの中庭にでると「都市の中のヴィラ」を思わせます。ヴィラ文化はルネサンス時代にラテン文学を通じて、市民層に浸透していったといわれています。

回廊には、ドナテッロの装飾がみられます。この邸宅にドナテッロの彫刻があったところを想像しながら歩いてしまいます。ただしリッカルディ家によって改装されてしまったので、メディチ家の邸宅としての面影は、ゴッツォリのフレスコ画「東方三博士の礼拝」の間(礼拝堂)が残っているのみです。

やはり建築というのは中に入ってみないとわからないことが多く、改装されたといっても、建造物はそのままですから魅力があります。コジモ・イル・ヴェッキオが外面はなるべく質素にみえるように、と配慮してミケロッツィに建てさせた外装と内部の印象の違いなども、建築内部に入ることによって感じられる場所です。
ストロッツィ宮などは外観からの印象が強い建築物ですが、例えばアカデミア美術館やサンマルコ美術館(修道院)へ向う途中に、このメディチ・リッカルディ宮の前を意図しなければ通り過ぎてしまうほどです。コジモとミケロッツィの意図は成功したのだろうな,と感じられます。