マイケルの映画、THIS IS IT. 観てきました。
THIS IS IT. または、THIS IS TRUTH..と言える映像だと感じた。
実は公開が決まってからも観に行くか観に行くまいか迷っていました、結論から言うと、本当に観に行って良かった。観に行くか迷っているファンや昔マイケルの曲に触れた人は絶対に観に行ったほうがいいと思います。

なぜ迷ったのか、それは昔のステージングや映像を観ているだけに、どこかがっかりしたら嫌だ、そして彼の死後に掌を返したようにわき上がる商戦のようなものに遠心的になっていたからです。

一言で感想を言うと、90年代のステージングへのパッション、踊りや歌、エンターテイメントのレベルの高さ、マイケルの姿、すべてが全然衰えていない、むしろ成熟しつつ彼の魅力の本質が変わっていない、30代のときと変わっていないという驚きでした。「ヒストリー」の中のMTV95年アワードの映像と全然変わっていないのです...
何がいいたいかというと、「報道の中」でしか映し出されないマイケルは「変わってしまった」というイメージだったのです。
報道やマスメディアを通じてしか「知る」ことができないという現代的な構造について、知っているつもりだったし、いつもニュースや新聞でもそのことを意識しているつもりではいます。彼の死後にそうしたことを更に意識したけれども、今回もそのことを実感した。

この映画を観るまで、ロンドン公演にむけてここまで念入りに作り上げられていたことも知らなかったし、本当に実現寸前、幕が上がる寸前に急死したのだという実感が募った。

まだ観ていない人もいると思うので、ぜひ観て欲しい。
スムース・クリミナルの新しいツアー用の映像も素晴らしいし(最先端の技術で取られるモノクロ映画の醍醐味)、スリラー3Dもいい。ダンサーたちのパッション、ミュージシャンとマイケルのやりとり、セットリストごとのリハーサル映像、2時間があっというまで、あと2時間みていてもいいくらい。もし観なかったら後悔しただろう。

ダンサー指導で、バリシニコフ風ね、と言っているのもバレエ好きには面白いシーンだった。

マイケルの他者性は、主観主情的で功利主義的な人には理解されないのだろう。
だから、特異だと彼らが「思う」情報や映像や写真で、あっというまにイメージは改変されて、マイケル本人からは遠のいてしまうのだろう。

プラトンの洞窟の比喩を思い出す。
「洞窟の最奥にいる人達は、目覚めた人が促しても彼を嘲笑し、最後には殺してしまうかもしれない」(「プラトン」)どこか、逆説的な罪状で告発して、最後には殺してしまうという世界の構造を思い出す。深読みしすぎかもしれないが、ソクラテス、イエスの死の構造と再生と似たような思いがしてしまう。


二酸化炭素の余剰すら売買しようとする風潮、ますます利己的かつ私生活圏だけにしか関心をもたない私化が進む中、何かそこで行動しようとした人、しかも影響力もあり、経済的影響力も持つマイケルを何かが排除しようとしたのだという思いは強くなる。

「これは自由のための最大の集会」「4年で世界を変えよう」というマイケルの言葉を本当に恐れた人たちがいるのではないか・・・と思ってしまう。

(現に1948年革命はミサや広場での集会から短期間で起きたのだから....)

だからこの映画は本当にすばらしいけれど、「これで見納め」などと思ってしまうのはよくない。
エンディングの「マン・イン・ザ・ミラー」はシンボリックだ。
鏡の中の男、と日本語では訳されているが、それは正しくない。
鏡の中の人、つまり、鏡に映った自分から変わろう、自己に対して向き直ろうそこから全てははじまるのだし、終わりはない。

11月末まで公開が延期された。ぜひもう一度観に行こうと思う。
DVDも出るのかもしれないけれど、やはり参加する観客の1人としてもう一度映画を観に行こうと思う作品だし、映像作品としてもマイケルへのオマージュとしてもとても質の高い作品だと本当に感じた。ステージを作り上げていたすべてのクリエイターやアーティスト、ダンサーたちの姿が観られて本当によかった。

「観客のもっている曲のイメージに忠実にありたい」
「最後のカーテンコールだ」というマイケルの言葉がどこまでも真実だ。


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10月28日公開日に観に行ったという方が、最後のほうで「何故死んでしまったのだろう」と思って泣いてしまったと言っていたのですが、私も同じでした。何故(why)という問いを止めるべきではないと思った。
ヒューマン・ネイチャーのwhy...もそのように聞こえてくる。再生してくる。


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