BBCが英国内の13の慈善団体が共同で企画した、募金よびかけの無償放送を拒否、非難が殺到しているというニュース
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-36105720090127

ナクバ(映画)が公開されるという情報を頂いたのでここにも書いておきます。

私がオリエントの考古学関連で調べていたのもやはりこの建国とイスラエルをめぐる5つの考古学的立場を踏まえるというものでした。(すべて聖書に書いてあることを事実で信じるという立場(アカデミックな領域ですら)から出エジプトすらなかったとする立場までかなりの違いがあります。)学科というよりもこれは、現在の構図を理解するために必要な物事だと思います...ガザはエリコがある地区です。
それだけに隠された意図..もまだあるような気もします。果たしてそれは本当に「自衛」のためなのでしょうか。
ちなみに去年の調査だったか、アメリカで「聖書に書いてあることは事実でほんとうにあったこと」と「信じている」人たちは60%を超えているという...これは凄いことですよね...。保守アメリカ白人層かつ「善良」で「比較的裕福な」「中流」ほどその傾向が高く、...そうなれば事実としての「暴力」も「正義」なのでしょう...
ブッシュの先日の演説で繰り返される「正義と悪」の二元論に終始してることとその原理で8年間続いてきたのだと改めて感じましたね..

時事問題や国際関係のニュースは「そもそも」という視点から報道されることはあまりなく、ニュース用語は「基礎知識」「一般常識」という言葉で片付けられてしまうことは少なくない。しかし、「そもそも」という事の発端や解釈を辿っていけば、「一般常識」というものがあまりにも簡略化されてイージーに解されていることも少なくない。ありふれた「イスラム原理主義」「スンナ派」「シーア派」などの違いまで報道されることはなく、しかも「イスラム原理主義」という言葉はイスラーム世界にはない言葉なのに日常的に報道されている。シーアはもともと「党派」という意味だからそのままでは「党派派」という意味になってしまう。もともとはシーア・アリーという意味であって、これはムハンマドの娘ファーティマの婿で甥だったアリーを正当なイスラーム後継者とみなす層を指す。シーア派はどちらかというとプラトン的でスンナ派はアリストテレス的な考え方にたっている。直感智と経験智の重んじ方に差があるといおうか..シーアにはスーフィズム(これはネオプラトニズム的)や神秘主義もある。この辺りは牧野先生の本が大変わかりやすい。
とにかく本来的に多様なのだがそれを、英語圏だといとも簡単に考えるためか、複雑なものを簡単にとらえようとするからなのか、英語圏経由でもたらされるニュースも酷く簡略化されている。日本のジャーナリズムにおいて、それぞれの専門家の意見や解釈を含めて報道されることをもっと望みます。



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