先日の追記になりますが、バレエダンサー10名のランキングがダンスマガジン誌上(2月号)に発表されていました。
個人的にランキングという形ではないですが男女別にバレエダンサーを挙げてみたいと思います。

<女性ダンサー>
オーレリー・デュポン
アリーナ・コジョカル
スヴェトラーナ・ルンキナ
マチルド・フルステー
マリ・アニエス・ジロー
レティシア・プジョル
マリア・アイヒヴァルト
マリーヤ・アレクサンドロワ
エレオノラ・アバニャート

<男性ダンサー>
マニュエル・ルグリ
マチュー・ガニオ
アンドリアン・ファジェーエフ
ウラジーミル・マラーホフ
アレクサンドル・リアブコ
イリ・ブベニチェク
カール・パケット
バンジャマン・ベッシュ
カデル・ベラルビ


バレエダンサーそれぞれによさがあり、その人の特性というものがある。
バレエも一言でバレエとは何かといえるものでもない。しかし作品はテーマと本質をもって造られているのだし、それを最大限に表現することが作品を演じ、踊ることになる。舞台をみるときには、そんなことを思って見ることが多い。
現在思いついたところで挙げてみたが、例えばマリーヤ・アレクサンドロワは身体能力の高さとパのダイナミックさに加えて繊細な音楽性が素晴らしい。「カルメン」も「オディール」も「ドン・キ」も彼女ならではの魅力が出る。マチルド・フルステーも音楽性の高さと身体能力の高さが素晴らしく「スパルクタス」でみられるような魅力、「ジゼル」などのロマンティックバレエの繊細さもとても表現力が高いと思う。
(マチルド・フルステはダンス・マガジン1月号にバーレッスンの様子が掲載されていた。ところでルグリもローラン・イレールもオペラ座の昇進試験ではプルミエに選ばれなかったダンサーだった。スジェからエトワールに任命され、その後の活躍と芸術性は言うまでもない。やはり卓越した芸術性というのは時には、何か「試験」をクリアする以外の天性のものが必要なのではないだろうか...マチルド・フルステもそんなダンサーのように思うのだがいずれにしてもプルミエ以上のダンサーだと個人的には思っている。また彼女の「スパルクタス」が観たいと思う。「ジゼル」や「シルフィード」またはベジャールやプレルジョカージュの作品も合っていると思う。両義性を表現できるダンサーだと思う。)エレオノラ・アバニャートはシチリア生まれのダンサー。中世シチリア・ノルマン時代を彷彿とさせる地中海と北方ノルマンの特性を持っているダンサーで「メディアの夢」などで観られるようにコンテンポラリーでの神話性や神秘性が作品に華を添えることができるように思う。
演技力とバレエのテクニックの正確さ、音楽性含めてマリア・アイヒヴァルトも素晴らしい。マリ・アニエスジローは、地母神的な歴史性をも体現できるダンサー、彼女のほかにはそのようなダンサーはまだ見られない。

バレエのパやヴァリエーションを美しく踊ることはもちろん、正確に踊ることもかなり難しい。しかもどんなに難易度が高く、身体に負担がかかる動きでも、演じ踊るダンサーは、「美しく、至福の喜び」を表さなければならない。二重性を含んだ構造がすでにそこにあるわけだが、たとえばジゼルの2幕は「死んでいるけれども活き活きと」(自らの内発性に操られるように)演じ踊らなければならない。
振り付けを正確にこなす、自分のものにするだけでも大変な超人間的なことだけれども、素晴らしいバレエはさらにその地点を離れた表現に至っていることが多い。
そうした舞台を見られるときに観客もダンサーも何かを共有することができる。

素晴らしい公演をみたあとに、劇場を去りがたい気持ちになり、もう一度みたいと思うが、例えばギリシアでは劇場空間を市民が共有し、悲劇を共有することで人との繋がりを築き、都市国家(ポリス)の基盤となっていたというのもうなずける気持ちになる。

生きていくためには物質以上のもの、余剰なものが必要で、そのためにアートや芸術
は生まれてきた。踊りも芸術も神にささげられるものとして発展してきた面があるが、それは本来、時間の有限の中で生きなければならないことに気がついた人たちによって、「人」が心から必要としたために生まれたのだと感じることがある。

素晴らしいバレエをみると歓びで一杯になるとアリシア・アロンソがかつて言っていたがその通りだと思う。

2009年のバレエ公演で注目しているのは、すでにチケットを取っている「パリ・オペラ座学校」の4月公演、東京バレエ45周年の「エチュード」とノイマイヤー作品、デンマーク・ロイヤルバレエの「ナポリ」。エチュードにはマリインスキーのレオニード・サラファーノフとシュツットガルドのフリーデマン・フォーゲルが出演するとの事。
デンマークロイヤルの「ナポリ」はおそらくこのカンパニーでないと全幕公演はしない演目だし、踊りも見ごたえある場が多いのでぜひ行きたいと思っています。

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