過日2008年を振り返ってというタイトルで行って良かった美術展についてミレイ、ジョット展などについて書きましたが、今まで見て記憶に残る展示についていくつかピックアップしてみたいと思います。

「ベルリンの至宝展」
べルリン博物館島からの展示の数々、古代エジプトからドイツロマン主義までとにかくすべてが見ごたえがあった。バビロンの装飾レンガの青い色彩、西アジア美術、ギリシアローマ美術、ラファエロ・サンティ、プッサンまでどれも本当に素晴らしかった。フリードリヒの絵画を目当てにいったのですが、ボッティチエリ、シンケル、古代エジプト、オリエント美術など何時間いても飽きない空間でした..ニーチェを描いた絵画の日差しの明るさと赤いゼラニウムが印象的...
そして3回は行ってしまったように思います。

「カラバッジオ展」
イタリア年の目玉でミケランジェロ・メリージ・ディ・カラバッジオの作品とカラバッジェスキの作品が庭園美術館で展示され、本当に充実の展示でした。
これも数回脚を運んでしまった。
絵画にあわせた額絵やフレームも充実していました。
眼の前に今も掛かっているのはこのときに購入したナルキッソスです。

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写真はサン・ルイージ・ディ・フランチェージ教会(ローマ)で撮影した「聖マタイの召命」(2008年4月撮影)
この教会にはカラバッジオの大作が3つあるのですが、日本人で観に来ている人は他にいませんでした...斜めから観ることになるのですがとにかく鮮烈なほどに、浮かび上がる絵画です。



「パルマ展」
スケドーニの「墓の前の3人のマリア」が見られてよかった。
パルミジャーノの模写(ベルナルティー・カンピ)の作品などとにかく見ごたえのある作品ばかりだった。あまり人が入ってなくて実にもったいない。
観るほうはゆったり、好きなだけ観ることができたので空いているほうがいいのですけれど。解説もイコノロジーを取り入れたもので丁寧だった。
宗教画だから関係ないなどと思う人がまだ多いのはとても残念です、西洋絵画は歴史画と宗教画が長い間メインなので、それを避けていたらもっとも素晴らしい作品を見逃すことになる。主題も調べると画家と時代によって様々に書き分けられていてとても興味深いのですよね...

「鑑真和上」展
モナ・リザ(モンナ・リーサ)と交換条件にフランス側が指定してきたのが鑑真和上の坐像です。昨年、唐招提寺にもいってきましたが、公開される日ですらこんなに近くでは見られないのでは...といいますか、おそらくもうこんな機会はないのではないでしょうか。存在感..作品と呼ぶのもおこがましくなる気持ちがしますが、実在している何か、鑑真和上の存在感そのものを造形したかのよう。


「アレキサンドロス大王と東西文明の交流」展
East-West Culture Contact from Greece to Japan
まさか横たわる(眠る)ヘルマフロディトス像が来日するとは思っていなくて、驚嘆でした。エリアーデなど書の中でしか見たことがない作品がここに...という感じでした。プロフィールで刻まれる通貨の変遷なども含めとても興味深い展示だった。
金の蔦冠などのマケドニアの装飾品やアケメネス朝の杯、アレクサンドロスの頭像も多数あり、改めてみるとメアリ・ルノーの小説でアレクサンダーの顔はそれ以降の時代の彫刻すべての顔として残っているという旨の記述があるがその通りかもしれない。
先日図録も改めて見直したりしていましたが、やはり買って帰らないで後悔するよりはいつでも手元において眺められるのが重要ですね。

図録は帰ってから読み返す以外にも実は、時間がたってからみて役立つことが多い。映画や小説、文献を読んでいてふと思いついて見返してみるととても参考になることがあります。

フェルメールの「絵画芸術」「リュートを弾く女(音楽)」の2点。
またガンダーラ美術展ではヘレニズムの流れや多神教の変容が感じられて興味深かったのを記憶している。回顧展ではアンカーの絵画がまとめて観られたのも良かった。


近年のものを選んでみましたが、やはり時間が経っても作品との出会いは忘れません..絵画展も一期一会的なものを感じますが、広告やチラシに掲載されていない重要作品に会場で出会うこともあり、WEB上でももうすこし全体の概要がわかると良いと感じることがしばしば...

勿論ここに書いた以外にも「あの作品がよかった」..というのは多々在ります。
今回は企画自体、全体として素晴らしかった、貴重な機会だったというもの中心に。
新しい視点を与えてくれるような展示にいくと、様々なきっかけを得ることができると感じます。