『ブーリン家の姉妹』を観てきました。スカーレット・ヨハンソンとナタリー・ポートマンがブーリン家の姉妹を演じ、エリック・パナがヘンリー8世を演じています。
アン・ブーリンの妹、メアリーは今まで辞書にも出てこなかった女性。The Otherという言葉が被せられていて意味深い。ストーリーはまだ王女に王位継承権が復権されていない時期で、王権を巡る確執や策謀から姉妹が対立していってしまい最後には・・・と「1000日のアン」を格に正統な描き方をされている良作。
衣装や髪型が時代設定を盛り上げています、当時ヨーロッパで流行していたスペイン・カタルーニア発祥のドレスと刺繍の装飾。キャサリン女王が詩か歌か刺繍が出来て?とメアリーに問いかける台詞とも繋がりますが、キャサリンはスペイン黒糸刺繍の名人だったとか。当時の教養ある女性はラテン語の読み書きや詩を書けるということでしたが、さりげなくそういった美貌だけでは足りないという価値観が反映されてています。同様に、この時代は君主も武力が強いだけでは十分とはいえず教養や文化を持っていることが重要でした。ヘンリー8世は多言語に通じていたという。
『エリザベス』の冒頭と丁度リンクする作品です。処刑されるアン・ブーリンの娘がエリザベス一世になり、・・・ブーリン家の姉妹の冒頭のシーン、草原と子供達が遊ぶまだ何も知らないゆえの満ち足りた時・・そういった原風景に繋がります。
ブーリン姉妹の母と、ヘンリー8世の妻キャサリンが大変存在感が大きかった。

ところで、既婚女性の頭飾りがとても美しかった。実は結婚時のヴェールを被るという慣習は、イスラーム世界で結婚時にヴェールをつけるようになったのが起源です。おそらく、中世のイベリア半島経由でヨーロッパにも伝わった習慣なのでしょう。
(イスラームではムハンマド生前時は女性の地位は高かったが、死後ムハンマド言行録ハディースが編纂され、継承者争いの過程で女性蔑視的な思想が入ってしまった、と言われています。恐らく権力の後継から女性を排除したかったのでしょう、何故ならムハンマドの最初の年長の妻は資産家かつ実業家で初期のムハンマドの活動を支えた有能な人だったからでしょう。)

それからノーフォーク公の存在も忘れてはなりません・・・エリザベスでも存在感が大きいこのデュークがブーリン家でも常に策を巡らせます。しかし3大続いて反逆罪で処刑されているのだが、いまだに公は健在なのだという。
英国がカトリックとプロテスタントを選択する過程は大変興味深い。
ブーリン家の姉妹でもその点がさりげなく織り込まれていた。

スカーレット・ヨハンソン扮するメアリーが、城を去っていくときの衣装(紅色基調の)と姉妹が着ていた揃いのシノワっぽい衣装が素敵だった。衣装は、『恋におちたシェイクスピア』を担当した方とのこと。俳優ではヘンリー・パーシー役のオリヴァー・コールマンとスタフォード役のエディ・レッドメインが良かった。エディ・レッドメインはエリザベス・ゴールデンエイジにも出ていたようです。
それからアンやメアリー、キャサリン王妃がつけていたアクセサリーはAgatが作っていたものなんでしょうか、バロック真珠や大きな十字架などとてもデザインが美しかった。

UK-Japan 2008 WEBサイトに記事掲載



The Other Boleyn Girl
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翻訳もでているようですが、イクスピアリの丸善に寄った時に洋書原作があったので購入していまいました。