『エリザベス』は放映されたもので観たのですが、『ゴールデンエイジ』は舞浜シネマイクスピアリまで観に行きました。DVDの発売も決まったようです。
フェリペ二世の肖像画を以前行って買った『プラド美術館展』のカタログをひっぱりだして観てましたがとても似ていますね。
公人の部分の歴史と個人的なドラマ(受容と責任)とプロテスタント・カトリックの対立、常に突きつけられる選択と岐路の図式が個人的には興味深い映画だと思っています。
二作目ですが、単独として観られる部分のほうが強いかもしれません。
今回は、衣装や建築物のシーンが素晴らしい。聖堂内の映像などは空間を感じられる撮り方がされている。
イングランド、スコットランド、スペインと3国の差異が言語、衣装、建造物、風景を通して見ることができます。スペイン勢が格好いいんですね。
それからイザベラが絵のまんまです!だからこその風格が出ています。

予告ではさほど触れられてませんが、女王と侍女、ウォルター卿の関係性はなかなか複雑なものがあります。王政での主従愛というのは極めて個人的な部分に寄っている部分が強い場合が多い。ベスにも友愛を超えた部分で裏切られた部分がエリザベスの空虚さに繋がっているというのか。
実際のところ、ベスの行為は現代的部分が強すぎるような気もします。エゴを超えた忠誠心などは必要とされないのでしょうか。捧げるという部分はないのでしょうか。 無私の愛・無償の忠誠がエゴという人もいるけど、本能的に生まれる部分があると思う。前近代的な主従関係というものは深い繋がりによって支えられている。
 
ゴールデンエイジは、ケイト・ブランシェット一人見ているだけでも満足です。映画の舞台装置と時代に完璧にはまっている存在感。
前作のイギリス国教を定めるときにどう発言しよう?と苦悩してるエリザベスのシーンがよかったのですが、そんな彼女の公人としての内面性と葛藤を描いたシーンは今回は割愛された部分なのでしょうか。
私人としてのエリザベスが全面にでていた気もします。
台詞も醍醐味です。字幕みてるとはいえ、殆どは聞き取れる・・・イギリス英語は発語が綺麗だし、よいですね・・・オーストラリアの映画学校出身の方はシェイクスピア演劇を学んでくる分、アメリカ人俳優・女優より歴史ものにも向いているのだと思う部分が。


カトリック vs プロテスタント という世界図式でしたが・・アメリカの国民感情としてイギリスとの溝を埋めたい意図があるのかもしれません。元々は同じと云いたいのかな、と隠されたメッセイジ性にも目がいってしまう。アメリカン・ソフトパワーというのは、無意識の支配。 
高度に作られた娯楽によって支配されていると自覚しないまま、国家理念と体制を受け入れるように出来ているのです。以前TVでハリウッド映画は人類の財産ですよ等と安楽な発言をしてる議員がいたがわかっていっているならともかく? 
 
それから神の意志で敗北したのだと涙を浮かべるフェリペ二世が実は印象に残っています。王権神授説=神の寵愛(君主)だから、敗北が「見放されたから」という理由づけをする王の絶望感は言葉にできないものなんだろうな、とその想像しづらい部分がよく出ていたと思う。
しかしなんといってもケイト・ブランシェットに尽きます。

『ブーリン家の姉妹』もbunnkamuraなどで公開されますが、世界史の細部に沿ったご都合主義でない映画作品がもっと作られるとよいと感じます。
歴史考証と人間心理の普遍性が描かれているものはぜひ劇場でみたいと思う作品です


UK-Japan 2008 WEBサイトに記事掲載!




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