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最近映画も観られてないのですがラフマニノフは観ました。
予告編よりもずっとよかった、というかある意味苦しかった、他人事として感動するというのではなくて、始終共感してしまって。

幼少時のトラウマ、また望郷の念、単に出来事としてとらえられきれないほど実感としてわかる気がしてしまいます。ただ帰りたいと思うのとも違う、「本当にいる場所がなく、いるべき場所がみつからない焦り」価値観のギャップ、それら諸々の問題です。物質的に豊かなら満足できる人もいる一方で、存在根拠が満たされないと苦しいばかりの人もいます。創作や内面性で満たされているときだけ「生きている」と感じられるという実感・・・

幼少時ズヴェリに教えられるときの約束のシーンはどきっとさせられます。
「嘘をつかない」「自慢しない」「裏切らない」
セルゲイと教師両方の心情が解るだけに・・・
後に演奏会のシーンで客席に姿があったときは少しほっとしましたけれど・・
時代・世代の交代や継承、人から人へ継承されていくこと、そのもの・重みが感じられた。技術はそれを体験として持つものからインスピレーションと実体の技術として伝えられていくのでしょう、それゆえに技術の「生きたままの」継承がいかに重要か、重要だったかが解るというか・・・


いろいろあるのですが、1900初頭のロシアのアーティストたちは本当に大変だったとニジンスキーやバレエ・リュスの映画のときと同じような目線でみていました。
ニジンスキーが帰りたいと願ったロシアの大地はもうなく、帰れたとしてももうロシアはなくソ連しかなかったこと。二重の喪失が彼らから離れることはなかったと思う・・・苦しいです。

ロシアの、スラブの豊かさ厳しさ、美しさが旋律になって流れている。

欲をいえば、一楽章くらいずっと聴いていたいと思う。
映像のコラージュと音楽のまとまりでみせる部分があってもよかったかと思う。

他にもありますが、個人的な感傷が入ってしまいそうなので・・