一、 息子(むすこ)
金次郎 染五郎
捕吏 信二郎
火の番の老爺 歌 六
話題とみどころ
 師走の雪の夜。火の番小屋の偏屈な老爺(歌六)のもとに、捕吏(信二郎)が立ち寄り、続いて大坂から来たという金次郎(染五郎)が訪れます。追われる身のこの無頼漢が、まさか九年前に別れた、生真面目な我が子だとは・・・。

あらすじで読んでいたよりも面白かった演目。
染五郎の声や演技は見ごたえが、歌六さんの老爺のあたたかみある頑固さ。
この親爺に本当の事というか迷う様も見ものですが果たして老爺は本当に息子と気が付かないのか、・・老爺は最初から気が付いていたんだと思いますね・・
実に微妙だし、本筋としては気が付かないという設定なのでしょうが。演技にはその裏の心理があったように見えた。
だからこそたびたびかかる大向こうの声が後半につれ涙声まじりの人がいたのでしょう。短くシンプルで、ほぼ台詞のみで構成されてる劇だが残る作品。
舞台の雪が寒々ときれいだった。


二、 一谷嫩軍記
熊谷陣屋(くまがいじんや)

熊谷直実 仁左衛門
源義経 梅 玉
藤の方 秀太郎
堤軍次 愛之助
伊勢三郎 宗之助
駿河次郎 吉之助
片岡八郎 桂 三
亀井六郎 由次郎
梶原景高 錦 吾
弥陀六 左團次
相模 雀右衛門
話題とみどころ
 息子の小次郎とともに一谷の合戦に臨み、平敦盛を討って帰還した熊谷直実(仁左衛門)の陣屋に、敦盛の母藤の方(秀太郎)と、直実の妻相模(雀右衛門)がやって来ます。ともに我が子の安否を気遣う二人を前に、熊谷は敦盛の最期の様子を語って聞かせ、討ち取った首を御大将の義経(梅玉)に差し出します。が、それを見た二人の母は驚愕。首は、小次郎のものだったのです。

なんとも重々しい・・舞台は重厚。衣装や設定、義太夫の節も揃い重厚です。
仁左衛門の目を瞑った苦悩の表情。
雀右衛門の嘆く姿は痛ましい、すすりなきが聞こえた。(先ほどのは親爺の悲哀だけどこちらは母の心情に訴えるますね)すじがきを事前に熟読していたので初見でも理解できてよかった。
時代物、義太夫狂言は予習・イヤホンガイドを使ってみると理解できて感動が何倍にもなる。仁左衛門は出てきたときと引っ込むときでは顔がひとまわり違うくらいにやや痩せていた、それだけ気力・体力とも使う演目なのだろう。
僧侶姿になって花道へ引っ込む演技がこの演目の無常さの象徴、場内が終幕と勘違いしてざわついてしまったのが残念。最後まで見届けたい演目。


三、 雨の五郎(あめのごろう)
うかれ坊主(うかれぼうず)


『雨の五郎』 曽我五郎時致 吉右衛門
話題とみどころ
 父の敵討ちを前に、雨の中を馴染みの傾城・化粧坂の少将に逢いに行く曽我五郎(吉右衛門)。キリッと力強い荒事師の五郎が、ふと見せる艶やかな風情が魅力の舞踊
『うかれ坊主』 願人坊主 富十郎
話題とみどころ
 願人坊主(富十郎)は、門付けで芸を見せて歩くのが生業です。素肌に薄い十徳(羽織)一枚という、ごまかしの利かない出で立ちでの、軽妙飄逸な振りの数々。


雨の五郎、大薩摩の曲が好きなので見ているだけで楽しい。衣装いでたちも傾いた姿でみていて大満足です。通常若い人がやる踊りで、最高齢の五郎だとか。
しかし良かったですよ!昔よりも踊りがとても好きになっているので細かい部分まで見るようにしています。

うかれ坊主。ちょぼくれ、まぜこぜ踊り、いろんな踊りの芸に通じてきわめていないとできない演目なんでしょう。有名な踊り場面のもじりみたい、歌詞がしりとりになっているそうで、おどりもそんな感じで繋がっていきます。
しかしこんな生業のひとがいたというのが驚きです。いいなぁ・・


四、 人情噺文七元結(にんじょうばなしぶんしちもっとい)
左官長兵衛 幸四郎
女房お兼 鐵之助
手代文七 染五郎
娘お久 宗之助
家主甚八 幸右衛門
手代藤助 錦 吾
鳶頭伊兵衛 友右衛門
和泉屋清兵衛 段四郎
角海老女房お駒 秀太郎
話題とみどころ
 左官の長兵衛(幸四郎)は、腕はいいのに博打好きで働かず、女房のお兼(鐵之助)と喧嘩が絶えません。見かねた娘のお久(宗之助)は、自ら吉原に身を売る。さすがに猛省した長兵衛が、お久と引き換えに得た五十両を懐に家路を急いでいると、身投げしようとする和泉屋の手代文七(染五郎)の姿が目に入ります。売上金五十両を紛失した詫びに死ぬしかないという文七に、長兵衛は……。

娘が身売りと聞いてあまり愉快ではないですが・笑、現代の感覚でとらえてはいけません。とにかく面白い!幸四郎の台詞といい演技といい、自然体。女房役のの鉄之助とのかけあいも絶妙。着物をなんとかつくろって出かけるところといい、面白いところばかりでした。染五郎の文七、ちょっと頼りなさげな所がまたハマりますね、幸四郎とのかけあいも面白くて。テンポがなんともいえません。うーん見にいけてよかった!!
11gatu kabuki